第36話

 色々と考えたのだがここは魔法を使って土の部屋を作ろうと思う。立派な小屋ではなくすぐに取り崩せるような土壁と屋根のものだ。想像しやすい風にいうと竪穴住居みたいな、かまくらみたいな感じだ。それと奥に作業する用の場所も作っておく。上に穴が空いていて通気性も抜群だしこれで新しいポーションも作れる。


 「この場所は後で簡単に埋められるので大丈夫だと思いますが何か問題があれば言ってください。」


 一応アーランドさんに一言だけ入れておく。


 「いや、寧ろここはそのままでも良いんじゃないかな?いくらセーフティゾーンだからといってもここに街を作るほどの規模もないから誰も整備していないんだ。もしよければ僕の分も作ってくれないかい?そうだね、お代は銀貨5枚でどうだろうか。使い終わったら壊してもらって構わないよ。その度にまた頼むからさ。」


 「え、この程度のことでよければ無料でやりますけど…?」


 「いや、ここはハッキリとさせておいたほうがいいよ。と言うのも多分だけどこの住居を見て他のパーティーの居残り組が目を光らせているだろう?多分他のメンバーが帰ってきたら君に頼み込みにくるよ。その時の指標を作っておいたほうがいいと思うんだけど。」


 「あー、わかりました。そう言うことなら有り難く頂きます。けど一旦作ったものを壊す必要はあるんですかね?」


 「一応残しておいても良いけど、最初に作った人だけお金を取られて後から来たメンバーが好きなように使うのもおかしな話だろう?」


 「んー、難しい問題ですね。僕がいる間は問題がなさそうですけど離れるとなれば別の話になりますからね。」


 「残しておきたい人は残しておいても良いが勝手に使われても文句は言えないとかにもしておかないとね。」


 「あ、良いこと思いついたかもしれません。ちょっと試したい事があるので中に入ってきますね。商品を並べて置くので大丈夫だと思いますけど見ておいて貰えますか?」


 「いいよ、行っておいで。」


 話している間にも住居を作っておいたのでアーランドさんが荷物を中に入れながら商品も見ておいてくれるようだ。


 さっさと住居の裏に行って試したいことを行ってみる。まずはこの住居に魔力を通し始める。うん、やっぱり自分の魔力で作った住居だからか簡単に浸透する。そして、その外壁に合わせて結界を張るイメージで契約魔法を行使する。内容としては魔力を通して契約したものしか中に入れないと言うものだ。…よし!成功した!これで個人の所有物に変える事ができる。けど、この魔法を永続的に行うには自分の魔力を食い続けることになって効率が悪い。


 改善案を考えているとふと魔道具のことを思い出した。まずは、竪穴住居を石造に変えて物理的な力で奪われないように襲われないように安全を確保する。そして魔石をはめる場所を作っておき、魔石を嵌めて魔力を通せば契約魔法が使えるように魔法陣を組んだ石板を入り口に設置する。ここで取れる魔石を使えば1日1個で使えるようにしよう。

 

 それとこのセーフティゾーンをダンジョンの敷地に変化させてダンジョンポイントに変えたいからほそーい糸のような線だけを本部から引っ張ってきてここに繋げて広いゾーンを展開する。こうする事でダンジョンポイントの消費を抑えながら領地の拡張を行った。これは他の場所でも使えそうで良い発想だな。既にセーフティゾーンはダンジョンの敷地になっていてダンジョンポイント収集地になった。しかし、問題も浮かび上がった。


 エルドレアでも同じことをしようとしたがあそこまで大きくて広く、人が集まっている場所だとそれ相応のダンジョンポイントが必要になるみたいで直接支配するくらい、つまり莫大なダンジョンポイントを消費するみたいだ。判定の基準は不明だが今はここを使えるだけで満足しておこう。


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る