短編
結婚
俺様の花嫁が決まった。なんと思ってもみない相手だった。
ザルカスの屋敷の
相手も「なんであんたなんかと」と暴言をよく吐いていたから、あいつも意外だったのだろう。
まあやっぱり
そんなこんなで今、愛の女神ラフロスの神殿であいつは花嫁衣装に着替えてるんだが、俺様は
いつもの黒い服だとまわりが駄目だとうるさいから今日だけはブルーのマントが鮮やかな神官服でコーディネートだ。
あいつが支度を済ませたみたいだな。迎えに行くか…。
「わたしでホントにいいのね?」
馬子にも衣装とはよく言ったものだぜ。びっくりするぐらい変身を遂げたものだ。
あまりの変化に驚いて庭木も立ちどころに枯れてしまいそうだ。
友人たちからの祝福でポロポロ泣き始めたな。酔っ払ってるんじゃねーのか? バツイチで初婚じゃねーのに
「ほれほれ泣け、わめけ。いつものおまえはどうした」
いってぇ。ぶん殴りやがった。生命の指輪が割れたぞ。高ぇ指輪なんだからなコレ。
あん? 誓いのキスだぁ? いらねーだろそんなの。
…えらくじっと見つめてくるな。
腹の子供が少し邪魔だが軽くしてやるか。
チュ
…顔を赤らめんな恥ずかしい。
あとの儀式はなんだ。ブーケを投げるのか。こいつが投げたら海まで飛んで行きそうだな。
おお。アムリタがブーケを取ったな。必死だなぁ。まだ若いのに。
いや、実年齢はわからねーな。魔女だしババアかもしれねぇ。
それにひきかえこいつの年齢はなんとなくわかる。まだ若い。見た目は俺様と同じぐらいだな。長い腐れ縁だもんなぁ。最初の頃はまだ可愛かったのに。いつから筋肉ゴリラになったのか。
やべぇ。口に出てた。あとでぶん殴られるな。
いってぇ。また指輪が割れた。
結婚式、やーっと終わったぜ。
まあ結婚したところで何もとくに変わらんと思うがな。
「あなた。おつかれさま」
あなた!? きしょっ! やめてくれ! いつものゲイズでいい!
いきなりデレるのはやめてくれ!
「じゃあ…アンタ」
アンタか…まぁそれぐらいがいいな。まあキサマも休め。腹のガキにさわるからな。
「なぁに? やさしーい。アンタこそデレてるじゃない!」
「うるさい! ほっとけ!」
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