いつもと変わらぬ今日を過ごした人たちへ

小説の醍醐味を非日常のときめきにあるとすれば、エッセイの魅力は、日常にひそむきらめきを再確認することだと思っている。その意味で、何気ない毎日のなかの、ちょっとした出来事に焦点を当てた本作は、まさにエッセイであり、過ぎていったいつもと変わらぬ今日や、訪れる平凡な明日を、いとおしく思わせてくれる。