さんすうこわい。『算数の呪い』より

 昔から、数字が絡むと思考のすべてがストップします。

 まず、単純な並びすら覚えることを脳みそが拒否しますし、計算なんてとんでもない!!

 なので、支払いの時はいつでも緊張感を持って挑みますが、それでも釣り銭を間違えられたことにあとになって気が付く事多々あります。

 日付も覚えられず、書類を書くときには必ず間違いのない何かで確認し、仕事中はどこか目につくところに日付のメモを貼っていました。

 電話番号は様々な手続きで連呼するのでさすがに忘れませんが…。

 それにもかかわらず、作家や歴史上の人物などのどうでもいいゴシップなどは覚えているのは何故だろう。

 脳みその使い方を間違えていると、つくづく思います。


 さて。

 そんな私の前に挑戦的な題名で現われたのが、この絵本。


 『算数の呪い』。

  作: ジョン・シェスカ

  絵: レイン・スミス

  訳: 青山 南

  出版社: 小峰書店



 もう、題名からしてなんの挑戦状だ?と構えてしまいました。

 開いてみると数字と数式の嵐・・・。

 逃げ出したくなるのをこらえてページをめくりました。

 呪いは最後まで見届けないと、解けてくれませんからね・・・。



 この話は、純粋すぎる主人公が、先生の言葉を真に受けたことから始まります。



 『月曜日の算数の時間、フィボナッチ先生はこう言ったのよ。


  「みなさん、たいていのことは算数の問題としてかんがえられるんですよ」


    火曜日は、おかげで、問題だらけ』(原文引用)



 ここで主人公は呪いにかかってしまいました。


 やることなすこと、すべて算数に当てはめないと気が済まなくなるのです。

 ちょこちょこ算式と関係ない問いが混じっているのはご愛敬。

 どの会話も、どの行動も、数式に導かれ、最後にはゾンビに・・・。

 迫力ある画面を堪能下さい。


 そして迎える水曜日の朝、そして・・・。


 最後のオチが、また、効いています。

 ここは肝心なので、書かないでおきますね。


 とても楽しい物語だと思います。

 そもそも、月曜日の算数の先生の名前が『フィボナッチ』ですよ?

 歴史に名を遺す数学者の名前がしれっと使われているのです。

 伏線はそこから始まる、なんて恐ろしい絵本。

 

 子供のころにこの本に出会っていたなら、未来の私はもう少し算数と仲良くなれたかな。

 いやいやいや。

 三つ子の魂百までで、きっとこの絵本を楽しんで終わりのような気がします…。

 それほど手ごわい、私の脳みそ。

 でも、苦手意識は少し薄れたのではないでしょうか。


 算数と聞くとついつい身構えてしまう、おとなも子どもも。

 一度は読んでみてほしい、『算数の呪い』です。


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