第13話

「リュウのせなかにのって」


 リュウのせなかにとびのったクロがたっくんにいました。


「リュウ、がけのしたにとびおりるんだ。つばさをひろげてゆっくりちゃくするだけでいいから」


 クロがリュウにつたえますが、リュウはブルブルふるえています。


「こんなたかいところむりだよ」


だいじょうぶ。ぼくがまほうをおしえてあげる。ちからいっぱい『ゆうき』ってさけぶんだ。そして自分じぶんをしんじてとぶんだよ」


 たっくんはそううと、リュウのせなかでりょううでをいっぱいにひろげました。


「ぼくがキミのつばさになるよ。せーのっ」


「「ゆうき!」」


 リュウは力強ちからづよめんをけると、たかくとびがりました。


 するとリュウのまわりがやわらかくあたたかいひかりでみたされました。


 ひかりのつぶがたっくんのうでのまわりにあつまってゆきます。


 どんどんあつまるひかりのつぶはかたちになり、おおきなおおきなつばさになりました。


「リュウ、とぶんだ」


 たっくんのこえわせてリュウがつばさをひろげるとたっくんのつばさとかさなりました。


 そしてリュウとたっくんのつばさはひとつになり、リュウのせなかにひかりりのつばさがあらわれたのです。


 リュウはそのままたかくまいがりました。


 たっくんがふりかえるとたくさんのこわいカゲがめんでうごめいています。


「ママにもらったタカラモノだけど、大切たいせつともだちをまもらなきゃ」


 たっくんはポーチからビーだまをとりすと、こわいカゲにむかってちからいっぱいなげました。


 ビーだまはおおきなひかりのたまになり、あたりいちめんをまぶしいひかりでおおいます。


 たっくんたちをおいかけてかぞえきれないほどのこわいカゲは、まぶしいひかりにつつまれてすべてきえてゆきました。


「やった。こわいカゲをやっつけたぞー!」


 クロはバンザイをしながらさけびました。


「よし、このままおうちまでとんでいこう」


「うん」


 リュウはおうちにむかってぐんぐんスピードをげてとんできました。

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