第29話

「ロック鳥の素材の収納やっと終わった。羽がデカすぎるせいでマジックバック2個も追加で作る事になっちゃったし」


ロック鳥の羽は5階建ての建物ぐらいある巨大な羽なのでレッサードラゴンの魔石を使ったマジックバックでも、1つには収まりきらなくて、追加でマジックバックを作ることになった。

ただ、1人でも普通に持ち上げられるぐらい軽かったので、そこに関しては助かった。

因みに羽は機織りのスキルを持っている人なら布に加工出来るらしい。なんで?織物って糸を使って作るものでしょう?羽で作れるの?って思ったけど。実際に作れてしまうんだから仕方が無い。


爪も1人で問題なく持ち上げられるサイズだったので、ここまではマジックバックを追加で作った以外は問題なくスムーズに終わった。


問題は日本の一軒家程のサイズがある肉の山だった。肉なので当然、羽、爪みたいに1人で持てるぐらい軽いってことも無いし。

そもそもこのまま収納してしまうと。次に外に出すのも大変だ。


と言うわけで、レッサードラゴンの骨を使ってマグロ解体する時に使う鮪包丁のような長い包丁を作ってロック鳥の肉を切り分けた。

因みに切り分けている途中に素材鑑定を使ったら、この肉はモモ肉らしい。後、皮はついていなかった。鳥の皮結構好きなんだけどな。


それにしても、マジックバック内はある程度、時間が遅くなっているので。生物をある程度保存できるけど。徐々に鮮度は落ちてしまう。保存庫を作れば素材の鮮度が落ちるのを止めることが出来るけど。保存庫はマジックバック見たいに空間拡張されてないから。

ロック鳥の肉を保存したいなら結構なサイズの保存庫を用意しなきゃならない。

売ったり、王家に献上したり。ある程度は減るだろうけど。それでも肉は残るだろうから、どうするか後でステラさんと相談しよう。


そんなこんなで2時間ぐらいかけて素材の収納が終わったんだけど。炎神の外套を使ったこともあって凄い疲れたから、もうエスケーピングストーンを使ってダンジョンからでようって言ったら。ダンジョンから出るのは賛成だけど。エスケーピングストーンを使うには勿体ないと却下されてしまった。


最低でもLv5ダンジョンでドロップする魔石を使わないと行けないから。普通の価値観からするとエスケーピングストーンは高級品だけど。俺からすれば、簡単に用意出来るから、使っても問題ないと思うんだけどな〜。


まぁ帰りも行きとは違うルートを通って追加の素材が手に入ったし。悪くは無かったけど。


「まじかよ…。これはエスケーピングストーンを使って直ぐに帰らないと」


後半分ぐらいでダンジョンの入口という所でスマホの着信音がなったので確認してみると学園からメッセージが届いていた。


「何があったんですか?」


「国王陛下が先触れも無しに、学園に現れたらしい。しかも俺に会うために。今は王太子殿下が相手してくれてるらしい。今から帰ったって学園に着くのは夜になるだろうけど。帰らない訳には行かなくなった。という訳で、ミラ先輩疲れていると思うんですけど車の運転お願いします」


本来、Lv8ダンジョンのポライト火山がある町の宿で1泊してから帰る予定だったんだけど。突然の国王襲来のせいで、そうする訳には行かなくなった。

行きで数時間運転して、ダンジョンに潜り、帰りもそのまま数時間運転してもらうのはすごく申し訳無いし。疲れから事故を起こしそうで怖いけど。車の免許を持っているのはミラ先輩だけなので、頑張って貰うしかない。


「断りたいけど。国王陛下が来てるんなら断れないか」


ミラ先輩はそう言って死んだ魚の目をしている。ほんと申し訳ない。


今度、御礼になにかプレゼントしよう。

エスケーピングストーンを使ってダンジョンの外に出ると、外はもう夕方。

今からだと学園に到着するのは真っ暗になってからだろう。

今回は出来るだけ急いで帰ってきましたと言う姿勢が重要だろう。

なんか文句言ってくるようであったら。

あー子様に降臨頂いてちょっと説教をしてもらおう。今回に関しては俺たち何も悪くないし。事前に今日は国王陛下が来るってわかってたら1日大人しくしてたし。


暗殺対策で国王陛下が来るとはっきりと教えられなかったとしても、やんごとなき身分の方が会いに来るとか事前に教えてくれって話だ。


「ニャルからレッカがロック鳥を倒したと聞いたから。今夜はステラにロック鳥の唐揚げでも作ってもらおうと思っていたのに…」


「あー子様車に乗ってる間に突然現れないでください。狭いでしょう?」


後部座席に座っていた俺の膝の上にあー子様が現れた。


「どうして突然現れたんですかあー子様」


「最初に言った通りだ。ロック鳥の唐揚げをご馳走になろうと思ってたんだ。ロック鳥は料理の種類によってはレッサードラゴンより美味しいんだぞ!食べない訳には行かないだろう。だが、今晩は無理そうだな…」


あー子様凄い落ち込み様だけど。大丈夫かなこれ?なんでこんなに急いでるかの理由を知ったら、国王灰にされるんじゃないか?


「レッカ、私だって丸くなったんだ。この程度でそこまではしない」


そこまではってことは何かしらはするつもりが有るんですね。

最終手段であー子様を降臨させるつもりはあったけど。最終手段が向こうから来ちゃった。



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読んでいただきありがとうございます。







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