女子校の後輩に私が生徒会長に恋していることを知られてしまった話

可惜夜アタ

第1話 放課後部室トーク


「あれ、スマホが落ちてる」

「わあロック画面の女の子、可愛いなー! モデルさんかなあ……ん? うちの制服……?」



「わああああああああそのスマホ見た!?」







……



「好きな人をロック画面にしたくなっちゃうなんて、可愛いとこあるじゃないですか、先輩!」

「う、うう…………!」

「すみません、スマホを勝手に弄って……誰かの忘れ物かと思ったんです。先輩のだってわかってたら勝手に触ったりはしなかったんですが。ともかく勝手に覗いちゃって反省してます」

「……みら、見られた……言っちゃった……」

「いやーしかしまだ少しびっくりしてます。まさか先輩が生徒会長に恋してたなんて」

「くっ……もっと他に言い逃れ方はあっただろうに……どうして馬鹿正直に白状しちゃったんだろう私」

「な、なんかすみません……」



「そんなに落ち着いた対応取られると私どうしていいかわからないんだけど」

「へっ? ど、どういうことですか」

「いや、もっと引いたりとかあるでしょ……ドン引きくらいしてくれた方がこっちとしてもむしろ気持ちが吹っ切れるというか」

「い、いやいや! べつに引いたりなんてしませんよ?」

「……いいよ、気を使わなくても」

「言ったじゃないですか、可愛いとこあるじゃないですか先輩、って。しかもこれ生徒会広報パンフの写真ですよね?」


「それが唯一の公式からの供給だから……」

「学内報のことを公式って言わないでくださいよ。それにしても、生徒会長さんって才色兼備な高嶺の花って感じですよね」

「まあ、そうだね。私にとってはあの子、幼稚園からの知り合いなんだ」

「ええ? そうだったんですか?」

「といっても、よく遊んでたのは小学校くらいまでで、中学がべつべつになって全然会わなくなっちゃったんだけどね。たまたま高校が同じになって再会したけど、別人みたいに凛としててびっくりした」

「別人、ですか?」

「うーん、今でこそキラキラしてて慕われてる生徒会長だけど、小さい頃はからかわれてすぐ泣いちゃうような内気な子だったの」


「い、意外です……全然そうは見えません」

「でしょ? それでね……あっちは私のこと覚えてて、かなり進化したビジュアルとコミュニケーション能力で親しく接してくるものだから、私もう動揺しちゃって」

「ふむふむ、気づいたら好きになってしまった、と」

「うわああああ!」

「あ、図星ですか先輩」

「あんた、なかなか良い性格してるな……」


「ところで、今は生徒会長さんとは遊んだりしてないんですか?」

「今はクラスも違うし、向こうも忙しいみたいだし、そんな機会ないよ。そもそも私から声をかけるのはどうも気が引けるというか……」

「先輩!そんな弱気でどうするんですか!?」

「ええ!?」

「私、そこまで聞いちゃったからには、先輩と生徒会長を応援しないわけにはいきません!」

「ちょ、ちょっと。声が大きい」

「先輩。まずはデートに誘いましょう」


「む、無理無理無理! ハードル高い!」

「高けりゃくぐるなり何なりすれば良いんです! 二人でお出かけして、生徒会長さんの気持ちを探るんです!」

「そ、そんなの、上手くできる自信が」

「一回で全部うまくやろうとしなくていいんですよ。それに、そういうこと抜きにしても、生徒会長さんと久し振りに遊べたら先輩だって嬉しいんじゃないですか?」

「それは、そうだけど……」



「ね、しましょう。思い出作り」


「はあ……あんたに押されたらなんか断り切れる気がしない……」









「あ、メッセージ来てる。生徒会の用事かな……」



「………」



「これ、って」

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