社会について②

『村』ができました。


私はこれを『社会』と呼んでいます。

狩猟、採集、子育てなどを『仕事』と呼んでいます。分かりますでしょうか。


『ある目的の為に集まった人々』を『社会』と呼んでいます。

『目的を達成する為の行動』を『仕事』と呼んでいます。


社会は、組織とも言い換えることができます。


この村を『A村』としましょう。

A村の住民となった人々は、その目的の為にそれぞれ仕事を行います。

ここで一番最初のことを思い出してください。

『死にたくない』から始まったお話でした。


つまり根本的な目的は『生活すること』です。それを達成したAB夫婦は、X一家と協力することで目的をグレードアップさせます。

『より効率的に生活すること』と。

そしてさらに、他の家族とも協力しあい、A村を作ることで、またもや目的をグレードアップ。

『もっと効率的に、かつ安全に生活すること』。そのために、A村ができたのです。


この『目的』。とっても大事なので常に念頭に置いておく必要があります。


さて。大所帯となり、男手も沢山増えたA村。食べさせなければならない村民は多いですが、それ以上の効率で食糧を得ることができます。人手が多いと、大規模な罠や道具を作れるようになり、またそれらはひとりでやるよりも早く作れるようになります。

どこかのタイミングで農作も始まるかもしれませんね。これは重労働ですが、物凄く大量の食糧を確保できるという画期的な発明です。人数が少ないと重労働過ぎて非効率ですが、今のA村の規模なら全員が狩猟に出るより効率的でしょう。そもそも、狩猟や採集は、命の危険が常に付き纏います。それに比べたら、農業は安全なのです。


しばらく経つと、村には問題がいくつも起き始めます。

まず、サボる者が現れました。仕事をしないでゴロゴロしているのです。

曰く、『俺ひとり仕事をしなくても充分食糧は得られる』と。

『私が子供達の面倒を見なくても他の誰かの手は空いている』と。

確かに、今の生産効率で見ると数人が仕事をしなくても村の食糧は回る計算です。それは正しい。

しかし、他の人からしたらどうでしょうか。

仕事は生きる為とは言え、辛くしんどいものです。誰だって安全な所でゴロゴロしていたいもの。

『村』という『安全地帯』に入ったことで、『俺が私が仕事をしなくては死ぬ』という緊張感が薄れた村民が出てきた訳です。

『俺が私が村の皆が死なないようにと辛い仕事をしているのに、こいつは仕事もせずゴロゴロしている』と、思うでしょう。


また、こんな問題も出てきます。

『冬に備える食糧は100くらいで良いだろう』

『いいや、今の人数だと150は必要だ』

こういった、意見の違いです。彼らはそれぞれ、家族構成も毎日食べる量も異なるため、必要な量に食い違いが発生します。


これらの問題をどうするか。このままではせっかく集まった村がバラバラになってしまいます。


そこで、Aが言いました。

『ルールを作ろう。村のことを把握しよう。どうするのが一番良いか、考えてみよう』


これが、

『法律』

『リーダー』

の誕生です。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る