リセット

ゆりえる

第1話 限界

『百匹目の猿現象』が、今まさに地球規模で起ころうとしている!


 文字通りの猿の社会だけではなく、地球上の人間以外の生物が一丸となって。


 人間達は知らない。

 植物と同様に、動物達がテレパシーを使えている事を。

 人間は、目に見えるもの、聴こえるものしか信じず、自分達が使えない能力が、他の種族達が当たり前に使えている事に気付いていない。

 人間が感知してない所で、日夜、世界中の動植物達が対談を続けて来ていた。


 彼らは、出来る事なら、今まで通り、この先もずっと寛大であろうとした。


 が、人間達の所業は、彼らの許容範囲を優に通り越し、臨界点に達してしまっていた。

 

 彼らが求めて止まなかったのは、動植物と人間との共存だった......



 その為に、植物達は酸素を提供し、動物達は、その身を提供したり、道化役やパートナー役などを引き受けたり、生態系が崩れないよう個体数の維持を守ろうとしていた。


 ところが、人間達はその恩恵に気付かず、地球を我が物顔で扱い、自然破壊し尽くし、動植物達の居場所を奪い、大気を汚染し尽くした上、愚かにも人間同士が化学兵器を用いて殺し合い、更に地球にも無残な爪痕をいくつも残した。


 彼らが、人類との共存を願い、生態系を維持しようと努力しても、幾度となく人類に裏切られ、生態系もピラミッド型を維持出来ないいびつな形状になっていた。


 もう限界だった。


 もはや人類との共存は諦める他なかった。


 彼らは、テレパシーのみならず、テレポーテーションも出来た。

 それも、地球のみならず、地球と同じような条件の揃った星へも瞬間移動が可能だった。

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