ブサイクな俺が夜空を見上げていたら…

YUKI

第1話 俺は…

 真冬の暗く寒々しい景色が車窓から流れて行く金曜日の深夜、神奈川県のとある峠道で俺は黒い車体に白いアルミホイールが映えるスポーツカーを疾駆させていた。         


 車はマフラーから高い排気音を響かせ、かなりのスピードでカーブを曲がっていく。     

 やっぱりチューニングすると全然違うな、でも真冬で道路が凍結してると怖いから、スピードには気を付けないと。              


 スポーツカーをディーラーから購入した時はチューニングするつもりはなかったのだが、まず乗って気付いたのは、ブレーキが利かない事。         

 そのスポーツカーが余りにもカッコよかったので、試乗せずに購入したのがマズかったな…        


 ビックリする程ブレーキが利かないので事故が起きると不味いと思い、同じくスポーツカーを持つ親友に相談したところ、親友の会社の同僚にジムカーナの日本チャンピオンがいて紹介してもらった。          

 

 その人にショップを教えてもらい、まずはブレーキパッドを取り替えた。             

 それを始めとして、気になるとアレコレ交換したくなってきて、ハンドル、シフトノブ、ペダル、タワーバー、プラグコード、プラグ、オイル添加剤、タイヤ、ホイール、ショック、マフラー、カーステレオ、4点シートベルト、デフを交換・取付けし、今に至る。      

 

 これまでに車体を含めてウン百万円程掛かっただろうか…

 車の他にも音楽やグルメ、渓流釣りやスキーに給料を使っている。 

 まぁ彼女がいないから金は使い放題だ。          

 今後出来る可能性もない。    

 恐らく結婚も出来ないだろう…。            

 

 そう、俺はブサイクだ。                      

 俺の人生25年の中で、ただの1度も彼女が出来た事はない。ただの1度もだ。      

 身長は177センチ、体型は職業柄ゴリマッチョだが、見た目はなぁ…             

 自分のブサイク加減をランク分けするならば、俺の見た目は下の上だろうか…       

 下の上だろうと俺は思いたい…(泣)                   

 

 バレンタインのチョコレートも、家族から以外はこの25年、ただの1つも貰ったことはない。1つもだ。

 義理や友チョコ、チ○ルチョコや袋に大量に入った小さいチョコの一粒ですら貰った事はない。

 学生時代、毎年あり得ないのが自分でも解っているのに教室の自分の机の中をまさぐってチョコが無いのを確認した後なんかは本当にバッキバキに心が折れた。 


 だからもう俺は妻と子供が出来て…なんていう未来を考えるのはやめた。         

 結婚資金なんて貯める必要もないし、明るい家族計画を立てる必要もない。           

 …自分で言ってて悲しくなって来るが、働いた金は自分の楽しみに使ってしまう事にした。                  

 

 あと、俺の髪型は黒色短髪だ、本当はロン毛にしたりヒゲを伸ばしたりしてみたいが、職業上伸ばしてはいけない事になっている。                            

 あぁ、忘れてた、      

 俺の名前は遠山真之とおやままさゆき、          

 職業は、警察官だ。エッ…   

     





ーーーーーーーーーーーーーー


 この小説を読んでいただき、誠にありがとうございます。

 初回で、これは車の話か、もう読まない!という方もいらっしゃるかもしれませんが、もう少し先まで読んでみてください、これは基本ラブコメです。

 最初は重い話が続きますが、できましたらラブコメの部分まで読んで判断していただけたらと思います。

 そしてオモシロイと思っていただけましたなら、お星様や感想を頂戴致したく思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。           

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