第11話

 それからしばらくの間、金髪の巨乳美女と銀髪の爆乳少女は自分達の現状に呆然としていたが、やがて気を取り直した金髪の巨乳美女が口を開く。


「……いいでしょう。正直信じられない、いいえ、信じたくないことですが認めましょう。私達は一度死に、そしてダンジョンマスターに従ってダンジョンを守る魔法生物、フレッシュゴーレムとなって復活した。それではこれからよろしくお願いしますわね『旦那様』」


『『…………………………ハイ?』』


 金髪の巨乳美女の言葉に熊翔、そして銀髪の爆乳少女は思わず揃って呆けたような声を出した。


「旦那様? それってもしかして俺のこと? 何で俺がお前の旦那様になるんだ?」


「そんなの決まっているではないですか。旦那様は私をフレッシュゴーレム、自分の所有物とした。それは私を妻にしたのと同然。ならば私が旦那様のことを旦那様と呼ぶのは当然のことでしょう?」


「……何だよ、そのメチャクチャな理論は?」


 熊翔の質問に金髪の巨乳美女は当然のように答え、それを聞いた熊翔は呆れればいいのか感心すればいいのか分からなかった。


 普通、一度死んで他者に従う魔法生物として甦り、これからは自分の主人の命令には絶対服従で、生きるのも死ぬのも主人の気分次第の人生しか無いと言われたら絶望するだろう。しかしこの金髪の巨乳美女は自分達の現状に驚いていたが絶望せず、自分を「熊翔の所有物であり妻」という有利なポジションに置こうとしていた。


 この鋼の心臓とも言える前向きすぎる精神には感心せざるを得ず、銀髪の爆乳少女はどこか尊敬するような目で金髪の巨乳美女を身上げていた。


「これは旦那様にとっても悪い話ではないと思いますわよ。……失礼ですけど、今までの言動から考えて旦那様は高貴な身分とは縁もない庶民の出身。それに対して私は高貴な貴族の出身。庶民の旦那様がこんな美しく高貴な私を妻にできる機会なんてそうありませんわ。それに今ならここにいるパルコーもオマケで側室に付いてきますわよ」


「俺が庶民なのは間違いないが……何でそこまで自己評価が高いんだよ? というのかお前もいいのか? オマケ扱いで側室にされて」


「ええっと……。わ、私達が貴方のフレッシュゴーレムでしたか? その所有物になったのは確かだし、それだったら奥さんになった方がまだ待遇がいいかなって思います。……それに、私はずっとレオーラさんと一緒にいましたからオマケ扱いでも仕方がないっていうか……えへへ」


 銀髪の爆乳少女を指差しながら言う金髪の巨乳美女に呆れたような表情を浮かべた熊翔は、会話に入ってこれず話を聞いているだけだった銀髪の爆乳少女に話しかけるのだが、照れたように笑いながら言う彼女の言葉に彼はいよいよ疲れた顔となる。


「ああ、もう妻だろうが側室だろうが何でもいいや、勝手に言ってろ。とにかく酷い扱いだけはしないから、そこだけは安心してくれ」


「ええ、そう言ってくれると助かりますわ。そう言えば自己紹介がまだでしたわね。私の名はレオーラ・リア・ルナライト。セブンシン王国でも由緒正しき名門、ルナライト家の令嬢ですわ。よろしくお願いしますわね、旦那様」


「わ、私はパルコーって言います。平民なので名字はありません。よ、よろしくお願いします、旦那様」


 色々と考えるのが面倒になった熊翔が投げやりに言うと、金髪の巨乳美女のレオーラが満足げに頷いてから名乗り、それに続いて銀髪の爆乳少女のパルコーが名乗る。


「……実家にいた頃は親から『彼女はできないのか?』とか『結婚のことも考えた方がいい』とか言われたが、これは少し違うだろ?」


 レオーラとパルコーの自己紹介を聞いて熊翔は小さく呟いた。

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