第2楽章 Andante cantabile 表情豊かに⑧

グループチャットで勢いで質問したのはよしとして、

なんか返事が来たんだか返事が来てないんだか・・・。

選択肢が送られてきました!


いきなりゲームみたいな選択肢かよ...と思いつつ。


正直、いい気はしなかった。

なんで言いなりにならないといけないかもわからなかったし、なんとなく嫌な予感があった。


私は②を選択した。


すると、わかった、の文字に続いて、少し辛い文章が後に続いた。


「ユウさん、お返事ありがとう。

いまは、認めたくないかもしれないけれどあなたの話を聞いて、その彼氏さんは本気であなたと向き合えているか少し疑わしい気がしました。

私は、自分を信用してもらうために名刺は渡すよ。LINEだって、好きな人からの連絡ならトイレの隙間にだって返事をしたいしそれくらいの時間は作れるはずだよ。

あと、会社の登記簿や名刺を見せてもらえないか聞いてごらん。

それで断るならその人はあまり信じられない。


あとね、ゴムの話があったけれどその人を大切にしていればいるほど絶対につけるよ。例え外に出したって子供ができちゃう可能性があるんだ。だから、これからはちゃんとつけてもらいなさい。


私の考えを言ってしまうと本当は、お別れをすべきだと思うんだ。ユウさんが深く傷つく前に。」



そのあと、みんながたくさんコメントをつけた。まるさんへの大人の意見や文章のまとめ方をほめているものと私への共感が続いていた。


仕事終わりに、家に帰って豆電球をつけた。


明るい部屋にいれない...

暗闇で泣きたい。


そうか、この恋はやっぱり....。


ダメなのか。



彼を信じたい、

いや、そもそも彼なのか?


もうなんて呼べばいいのかすらわからない。


早く会いたい...。


1ヶ月も経つとこうじさんから連絡が来た。


「連絡ができなくてごめんね。俺はユウに会いたかったよ。

今度の金曜日、時間とれるかな??」


無理矢理にでも行かなきゃ。

ちゃんと聞かなきゃ。


そんな思いで、「ありがとう。わかった」と返事をした。

聞かなきゃ...


ちゃんと聞かなきゃ。

なんとか、私の質問に真摯に応えてくれるこうじさんであってほしいと、会うまでの日を毎日数えて楽しみにしながら、そう思っていた。


「なんでそんなこと心配するの」とか、「そんな心配いらないよ」とか、そういう答えじゃなくって・・・はぐらかされないように、ちゃんと聞こう・・・。

大丈夫、今度はグループの仲間がいる・・・。


これだけで少し心強かった。

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