第2楽章 Andante cantabile 表情豊かに②

彼の家には、いつも新宿から地下鉄で向かう。


初めはLINEか電話で誘導してくれたっけ、、、私にとっては高層マンションも、もう数回目になっていたし、少し嬉しかった。エントランスには、警備員さんやコンシェルジュ(受付)の人がいるし、中の人と連絡が取れないとドアが開かず、開いたあと、エレベーターの部屋に入るのにも彼に連絡が必要。エレベーターを待っているフロアには、エレベーター内のモニターがある。やっぱり普通のマンションとは違うんだなぁ。セキュリティばっちりじゃん。


エレベーターの中に入ると自分の行き先を押すと光る。許可がないと光らないため行き先には行けなくなる。


恋人として彼の部屋に行く。


ところで、彼からのLINEは驚くほど直球だった。あんなしっかりしてそうな男がこんなことを言ってくるのか、と驚いたものだ。


「ユウは、かわいいね。早く会いたい。また、愛を確かめようね。」


といっても、何をするのかわからず素直に受け取っていた。

そして、私は毎日のようにパートナーに関する記事をしらべに尽くした。例えば、「嫌がられる彼女の行動」。また、「騙す男の特徴」とかいろんな記事を読んでいった。そこにはこんな事が書かれている。

「行為中も、どんな時も、かわいいしかいわない男は気をつけろ」


え、怪しい。


とか(笑)。


まぁそんなことを片隅に、会ったらご飯に行って、テレビでも見てお泊まりしようと思っていた。


私は、市内に住んでいるため区内に出るには最低でも30分かかってしまう。そこで、区内に用事があるときだけ会えるように予定を立てていた。私もなんだかんだで、友達と遊ぶ時や仕事の勉強セミナーの会場までいくのに新宿あたりにいることが多かった。その時に、夕ご飯でも良いし、お部屋に行かせてもらうでも良い、とにかく会えるかどうか聞いてみていた。

というか、月に2回くらいしか提案しないがバイトのシフトのように連絡を入れていた。


「今月は、5日と6日だと嬉しいです。何時以降、会えそう。仕事の方はどうですか?」


まぁこれに付け加えて、楽しみだとか、会いたいだとか、まぁ甘ーいことも言っていました。


当時、密集はNG。

人混みもなるべく避けたい。

すると、決まって私の頭の中には広々とした公園か、個室に2人と決めていた。いや、そういう時代だったんです。マスクも必ずしてさ、夏なんか熱中症が問題になって少し外したりして...。


こんな状況下だったから、派手にどこかいきたいなんて気持ちもなかった。

本当に、当時は人と近い距離で会話できるだけで嬉しかった、、、。

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