第4話

 4月になり彩は高校生になっていた。

学校に着くとすでに美玖みくは教室にいた。


「おはよ~、美玖、早かったね」


「あっ、彩、おはよ~」


 二人は別々の中学校からこの朝日高等学校に入学してきたが、1年生のクラスでたまたま席が隣同士だった事ですぐに仲良くなった。

部活も同じ放送部に所属している。


 彩は最初、高校に入ったら演劇部に入りたいと密かに思っていた。

入学早々、隣の席の美玖から


「部活、何にする?中学から何かスポーツでもやってた?」


「う~ん、スポーツ苦手で中学の時は家庭科クラブだったの。でも中学の文化祭の時、演劇部の劇を見て面白くてちょっと演劇に興味があるんだよね」


「そうなんだ。私もスポーツはさっぱりダメ。演劇かぁ。私は将来アナウンサーになりたくて放送部に入ろうかなって思ってるの」


「アナウンサーって、もう将来の夢決めてるんだ。美玖すごい!」


「まぁね。アナウンサーって顔も良くて頭も切れて声も良くないといけないからね。夢だよ夢」


「美玖だったらそれ全部持ってるから夢じゃないよ」


 朝日高校では『芸能部』と呼ばれる部活がありその中で演劇部と放送部に分かれている。それが分かった彩と美玖は4月の半ばになったある放課後、『芸能部』へ覗きに行ってみた。


―――トントン ―――


 部室をノックすると


「はーい!どうぞ!」と明るい元気な声がして女の人がドアを開けて顔を覗かせた。


「あのぉ、私達、芸能部に入部したいんですけど……」


「あら~、嬉しい。どうぞ入って!」   

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