第2話

 放課後、彩は家に帰ると今朝閃いた新聞配達の人にお礼の手紙を早速書き始めることにした。


(う~ん、書き出しはなんて書こう。何しろ相手が誰だか分からないのだから相手の名前は書けないし・・・)


 彩は机の引き出しからお気に入りの封筒と便箋を取り出し暫く考えていたが、書き始めたらスラスラとペンが進んでいった。



――いつも新聞を届けて下さる配達人さんへ


おはようございます。

毎日毎日雪の降る日も雨が降る日も新聞を届けて下さりありがとうございます。

今までずっと気づいていなかったのですが、今朝、雪が降り積もっていてそこに足跡を見つけたんです。

きっと新聞配達の人の足跡だと思ったらとても感動してしまったんです。

新聞が届くのは当たり前だと思っていたけどいつも新聞を届けてくれる人がいるから新聞を見ることが出来るんだって事を今朝気づきました。

そうしたらどうしてもお礼が言いたくて突然ですがお手紙を書きました。

本当に本当に毎日ありがとうございます。

これからもお身体に気を付けて新聞配達を頑張って下さいね。


※実は私、新聞配達人さんの事を勝手におじさんと思っています。間違ってたらごめんなさいね。


―― 新聞配達人さんを陰ながら応援してる少女Aより



「できた、これで良し」

彩はA4サイズの大きめの封筒に書き終えた手紙を入れ表に大きくマジックで『新聞配達の方へ』と書いて夜、ポストに目立つようにガムテープで留めておいた。

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