第12話 海にて


本当に辛かったね


はい


でも、健一さんが助けてくれて嬉しかったです

どうして、私はいじめられるのかな・・・

こういう言葉づかいのせいや

足の不自由な事もあるけど

私自身に一番問題があるような気がします


そんなことはないよ

本庄さん優しいし、ねたみだと思うよ


辛いです

鶴を1000羽を折れば自由に

歩けると信じて今500話折りました

でも‥‥

わかっているんです


歩けないということが

辛くて、悲しくて


よし、浜辺を走ってみよう


え、無理です


いいから

肩につかまって


いえ、怖いです


大丈夫だから


はい


よし、じゃあ行くよ

ほら



キャー



ハハハハ



すごいだろ



はい



キャ



速いです



はい、こんなに速く動いたの

初めてです



ほら



キャ



ドスン





…………


ごめんね


………え


本庄さん


はい……………



さっきはごめんね


いえ…


健一さん、私は生まれてきてよかったのかな

そう思う時があります。


どうして


自由に走り回ったり

飛んでみたりすることが出来なかったり

お父さん、お母さんに迷惑をかけたり


そんな事ないよ

俺は、本庄さんが生まれてきてよかったと思っているよ

今度は波打ち際をゆっくり歩いてみようか


はい


じゃあ、背中に乗ってみて


はい


波の音がきれいですね


そうだね


本庄さんの胸の音と重なっているのかな

暖かさと優しさも伝わってくるよ

本条さん、自分を責めることもなくてもいいよ

いつか自由になれる日がくるから


ゆっくり歩いていけばいいんだよ


本庄さんそろそろ帰ろうか


はい


大丈夫だよ

いつか羽ばたける

その時を待てばいいよ

転んでもいいよ

助けてあげるから


ふたりで歩けば大丈夫だよ

笑ってよ

その笑顔だ

その優しい笑顔

少なくても俺は幸せになれるよ

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