第3話 花火 

本庄さん、今日の夜に花火しない

線香花火もあるよ

大きなバーンってする花火もあるよ


楽しみです


じゃあ、今日は二人で花火しよう


はい


わあ、きれい

線香花火ですね


そうだよ


本当に最後は赤い玉になるのですね


ああ


今度は少し大きいよ


明るいですね


そうだろ


本庄さん、お願いがあるんだけど


何ですか


中学生になったら俺と結婚してくれないか


できないです


そうか、やっぱり好きな奴がいるのか


いえ、そういう問題ではなくて

まだ、早いです

大人になったらいいです


本当


俺ってさ、こう見えても頭がいいって言われるんだ

東京大学の医学部に入って本庄さんの足を治してあげるよ


でも、折り鶴を300羽折りました

1000羽折ったら、足は治ります


ああ、俺ってさ見栄をはるくせがあるんだよな

本当は大工になりたいんだ

俺と結婚したら10回建ての家を建てるからお金持ち婦人だよ


でも・・・・


本庄さん、俺がもう一つの足になってあげるよ

そうしたら1+1=2.5で普通の人より早く歩けるよ

俺ってさ、これでも算数は得意だねって言われるんだ

本庄さんどうして、黙っているの

じゃあ、最後に一番大きい花火をあげるね


バーン


ほら、笑った

その笑顔だよ


健一さん、やっぱり辛いです


どうして

大丈夫だよ、大丈夫


お願いです

最後の折り鶴は健一さんが作ってもらえませんか


うん、わかった


本庄さんが歩けるようになったらさ

二人であるこう

絶対歩けるようになるよ

泣かないでいいよ


健一さん

もう健一さんが私の足になってくれています

私を支えてくれています

どうして、そんなに優しいのですか


まあ、帰ろう


じゃあ背中に乗って


イチ

ニイ

サン


少しずつ歩いて行けばいいよ

大丈夫だよ

大丈夫だよ

着いたよ

じゃあ、おやすみね


はい

おやすみなさい

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