コレクタユニオン・バックサイドサークル

 ・ヘンメ

 種族:現代人間

 年齢:30歳(カサドール帝国歴準拠)

 性別:男性

 出身:帝都クロウドン

 誕生日:カサドール帝国雨季下旬頃

 身長:173cm

 【容姿】

 ボサボサの短い金髪と濃紺の三白眼を持ち、年齢に対してやや老け顔。周囲からは見た目だけでガラの悪い男、無頼漢等と称されることが多い。体格は肩幅が広めでがっしりしており、身体には古傷が目立つ。肌の色は黄色系。

 装備は使い込まれたブリガンディンと、装甲が施された革のガントレットと同様のブーツを組み合わせ、鎖帷子とマントを身に着けていた。しかし、ポインティ・エイトの襲撃によって右の腕脚を失って以降は、動きづらいという理由でブリガンディンと鎖帷子を外し、ギャンベゾンの上から板金装甲が点けられた革の胸当てという軽装になっている。なお、義手と義足は残された腕脚を受ける部分に棒がついているだけの簡単なもの。

 武器は金属製の棍棒を愛用しているが、クロスボウや剣を扱う場合もある。 


 【人物】

 コレクタユニオンのカサドール帝国東部バックサイドサークル支部に所属していたコレクタリーダー。ヘンメ・コレクタの長であり、シューニャとファティマの上司に当たる。

 コレクタの数が多いバックサイドサークル支部の中でも有名な人物で、かなりの人数を抱える組織を率い、多種多様な仕事をこなしていた。また、周囲からは男臭いコレクタとも呼ばれる程、男性の比率が高いことを知られており、女性として所属しているのはシューニャとファティマだけだったとされる。そのためヘンメは、部下の多くが年若い彼女らに邪な視線を向け、貴重なブレインワーカーとようやく引き入れられたリベレイタを失う事を危惧し、もし2人に手出ししたら身ぐるみを剥いでフラットアンドアーチに捨てるという布告を陰で部隊に浸透させていた。

 性格は現実的で義理堅く、物事を冷静に観察する目を持っている。また、放浪者からの成り上がり者が多いコレクタの中では圧倒的に頭の回転が速く、グランマがカサドール帝国に対する恨みを抱いていることを見抜いていた。一方、仕事を離れた私生活は全体的にだらしなく、宵越しの金は持たない刹那主義的なところも持ち合わせる上、マリベルに惚れ込んで娼館通いを続けていたため、女性からは性欲を拗らせていると思われ、避けられる存在になっていた。

 エリネラとセクストンと共に行動するようになってからは、前者の性格が前に出ていることが多く、エリネラを適当にあしらい、セクストンの堅物さを笑いながら、3人の知恵袋的存在として過ごしていることがほとんど。

 戦闘面においても元々は優れた技術を持っていたが、義手義足になって以降は前に出て戦うことが難しくなり、前衛にはエリネラという規格外の存在が居ることもあって、基本的には後方支援や指揮に当たる。ただ、エリネラが負傷していた逃避行の際には、クロスボウの射撃だけではなく自ら前に立って失敗作を迎え撃った。

 趣味は酒と煙草と女という、欲望を地で行くスタイル。また、亡命後に恭一たちの家へと招かれて以降は、風呂という贅沢も気に入っている。一方、何かに縛られることを極端に嫌っている節が強い。また、マリベルの話を出されると極端に立場が弱くなる。


 【フランコ・エフレイム=カサドールについて】

 カサドール皇帝血族の末端に当たるエフレイム家の嫡男であり、クロウドン城の近衛隊長を務めた騎士。ヘンメの本名。

 エフレイム家は建国帝エンシア・カサドールの時代に活躍し、皇家の末席に迎えられたとされているが詳細は不明。ただ、後年は家格と体面を重んじるだけの没落貴族となっており、近衛隊長に抜擢されたフランコは自らに重責を嫌って出奔したとされる。

 しかし、クロウドン災禍に伴って皇帝血族が死亡か行方不明となると、カサドール帝国残党の受け皿が必要と考えた反帝国連合軍首脳陣の判断に従い、隠していたフランコ・エフレイム=カサドールという名前を利用し、正統後継者としての体裁を整えることをグランマが提案。国家を安定させればマリベルを妃として送ってやるという条件に渋々乗る形で、ヘンメ=フランコ・エフレイム=カサドールという名前に切り替え、ネッサ自由国初代王となった。

 なお、ヘンメという偽名の出所やこだわりに関しては明かされていない。



 ・マティ・マーシュ

 種族:現代人間

 年齢:26歳(カサドール帝国歴準拠)

 性別:女性

 出身:ロックピラー北西部の開拓村

 誕生日:カサドール帝国雨季上旬頃

 身長:158cm

 【容姿】

 タレ気味な目に茶色の瞳。癖のない亜麻色の長髪は、後ろをローポニーに纏め前髪をヘアピンで止めている。卵顔で目鼻立ちがハッキリした美人と称される。

 平均的にバランスのとれた体格に対し、女性的なスタイルの主張はハッキリしており、腰の位置もやや高め。グランマには尻はデカいが器量はいいと評された。

 服装はシンプルな装飾の施されたチュニックと長い巻きスカートを纏い、足には薄い革の靴を履く。

 武器は基本的に持たない。


【人物】

 帝国領東部バックサイドサークルのコレクタユニオン支部に所属する受付嬢。グランマの部下にあたる。

 貧しい開拓村の生まれでありながら、商人崩だった両親からしっかりとした教育を受けて育ち、コレクタユニオン支部への就職を成し遂げた秀才。営業スマイルを絶やさず集い来る無頼漢への応答にも慣れた優秀な事務員であり、同支部内では組織コレクタを中心に担当するなど、手腕を評価されている。また、現代的には既に行き遅れと呼ばれる年齢にありながら、その容姿と柔らかい受け答えから、コレクタ達の男性からも人気が高い。ただ、有能なコレクタリーダーでさえ取り合って貰えないことから、高嶺の花のお姉さん的な扱いを受けており、遠巻きに見守られがちで少し焦りを感じている。

 性格は基本的には誠実で温和。また、田舎出身でありながらコレクタユニオン支部に所属する聡明さを持つことから、友人知人の相談役になることも多い。ただ、役職や立場が上の相手からの指示を断るのがとても苦手であり、抱えきれない仕事を押し付けられて困惑することもしばしば。ストレスの捌け口に悩みあぐねた挙句、時折鬱憤を爆発させるなど、非常に人間くさい一面を持つ苦労人でもある。

 男所帯のヘンメ・コレクタに所属するシューニャとファティマを友人と呼んで気にかけており、仕事でありながら多少私情を混ぜこんで、シューニャがテクニカ研究職への推薦を得られるよう、またファティマが危険な仕事に回されないよう、自らの職務でできる範囲の根回しを行っていた。なお、ロール氏、リベレイタ・ファティマとコレクタユニオン式の呼び方を癖で貫いたことが原因で、2人は向けられている友情に気付いておらず、マティがユライアシティ支部へ異動になった後にも全く連絡を行わず、これには流石にへそを曲げた。しかし、王都の生活に慣れた後は、仕事面においてその優秀さからクローゼに重宝されている他、シューニャたちとの交友も上手く行くようになっている。

 趣味は友人知人との食事や噂話を聞くことで、重要なストレス発散方法になっていた。

 恋愛面では、組織コレクタ中心に対応する職務内容のために、むさ苦しい男性とばかり接しており、そういった面々に対して営業的対応を無意識にしてしまう癖がついており、恋愛感情を抱けなくなっている。一方、その反動で清潔感のある人物や、歳下の初心な男性には関心が強い。しかし、いざ自分事となると非常に奥手であり、そこから昇華して男性同士の触れ合いを第3者として眺めることに無意識的な興味を抱いていた。なお、恭一に撫でられるサフェージュという構図をトリガーとして、無意識の興味は趣味として開花。なお、自身の恋愛から離れてしまっている。



 ・ボルドゥ・グランマ・リロイストン

 種族:現代人間

 年齢:不明(60歳以上と思われる)

 性別:女性

 出身:ハーコート集落群

 誕生日:不明

 身長:150cm

 【容姿】

 小柄な体格の老婆であり、皺の刻まれた手指は枝のようとも称される一方、薄紫色の小さな瞳には強い生命力を宿す。ウェーブがかった白髪を後ろに流し、髪留めで纏めている。普段は腰が曲がっているが、これは演技に過ぎず、マルコについて走る健脚を持つ。

 日頃は帯留の着物に身を包む。これは華美な装飾こそ施されていないが、アラネア繊維に上質な染めが施された1級品である。足元は高級な革のモカシンを履く他、木のステッキを愛用し、手にはコレクタユニオン支部支配人の印が刻まれたインタリオリングを常に嵌めている。


 【人物】

 コレクタユニオン帝国領東部バックサイドサークル支部の支配人。また、過去に支配人を務めたいくつもの支部に、自身の配下を支配人として送り込むことで勢力を拡大しており、コレクタユニオンの内部はもちろん、対外的にも非常に強い発言力を持つ。その強大な権力故に、次期総支配人候補の筆頭とさえ目され、上流社会で名を知らない者は居ないとも言われる。

 性格は野心的かつ打算的。自らに益をもたらすと判断すれば、種族や出自を問わず傘下へ抱え込む一方、敵対的ならば国家の後ろ盾がであろうと容赦なく叩き潰す。また、自らの権力に絶対的な自信を持ちながら、その限界もよく理解しており、制御出来ないと判断した相手とは対等な付き合いを目指すなど、プライドだけに固執しない柔軟さも持ち合わせる。その厄介な手練手管から、恭一やダマルは妖怪と呼んで恐れていた。

 自ら武器を握って戦うことは基本的に無く、指揮官として部隊を操る。個人の戦闘力については、誰も戦っている姿を見たことがないため謎に包まれているが、キメラリア・キムンであるマッファイを従えていることから、相当の実力者なのではとも噂されている。

 血縁者、配偶者に関しては居ないとされているが、これも詳細不明の情報であり、実は幾人もの男と結ばれ多くの子を成し、各地に散らばらせているとか、同性愛者であり女性の妾を多数抱えているとか、過去に死別した旦那を忘れられずその影を追いかけているとか、様々な根も葉もない噂が飛び交っている。


 【プラティガ・シャールルについて】

 グランマの実名であり、ハーコート集落群の大首長だったシャールル家唯一の生き残りとされる。当時の年齢、現在に至るまでの経歴などは不明だが、カサドール帝国からの追跡を逃れるために偽名を名乗り、コレクタユニオンを隠れ蓑として潜り込んだ可能性が高い。

 グランマ自身がコレクタユニオンで権力者となった理由も、帝国への復讐とハーコート集落群の再興を目指したためであり、帝国崩壊後は自らの派閥を率いてコレクタユニオンから独立。ハーコート集落群が元々存在したレンドを中心とする、リロイストン首長国の建国を宣言した。以降はハーコート集落群の正当後継者として、プラティガ・グランマ・シャールル=リロイストンを名乗り、復活した集落議会選挙を取り仕切る大首長の座についている。



 ・マッファイ

 種族:キメラリア・キムン(一応毛有)

 年齢:不明(30代くらい?)

 性別:男性

 身長:203cm(耳を含まず)

 【概要】

 グランマお抱えのリベレイタをしているキメラリア・キムンの男性。

 茶髪に茶色の瞳を持ち、非常に大柄で筋骨隆々の体躯を誇る。キメラリアの特徴として、熊のような丸い耳と短い尾を持つが、他の特徴は分かりにくく、恭一には単純に毛深い男ではと勘違いされていた。実際、毛有の判定は曖昧で、体毛が茶色く毛無より毛深いからという他になく、見栄を張っているだけの可能性も高い。

 キムン特有の身体能力に物を言わせた豪快な戦い方を得意とし、グランマ直属リベレイタの中でも5本の指に入る精強な戦士だった。しかし、恭一を相手取った決闘裁判では、キムンらしい傲慢さから肉体的に劣るただの人間程度と油断し、拒馬となった木の棒に体当たりして腹部を負傷した上、頭に肘を、顎に膝を叩きつけられて失神。腹部の打撲は大したことがなかったものの、顔面は顎骨を骨折という重症を負い、キムンとしてのプライドを人前でズダズタにされたことも加わって、しばらく再起不能となった。



 ・マルコ

 種族:キメラリア・カラ(毛有)

 年齢:不明(20代後半くらい?)

 性別:男性

 身長:187cm(耳を含まず)

 【概要】

 グランマ直属リベレイタの筆頭に当たるカラの男。

 手指以外人間らしい部分がなく、見た目はほぼ完全に2足歩行の犬といった風体をしている。全身を覆う黒と茶色の体毛は短く、耳は薄く尖っており、尻尾は細長い。瞳の色は黒。

 グランマの護衛を務めることが多いため、装飾付きの胸甲を纏い、鎧下の服も鮮やかな色のものを選んでいる。また、武装としては常にカトラスを腰に提げている。

 アルキエルモの出身だが、キメラリアへの風当たりが強い人間社会で、極貧の路上生活を送っていたことから、故郷への愛着は無いに等しく、比較的種族を問わず能力次第で自由が認められるバックサイドサークルとコレクタユニオンの環境を気に入っている。同時に自身をグランマの飼い犬と称するなど、カラらしく主従関係に忠誠を誓っている。

 グランマの護衛として立つ時は背筋を伸ばし、言葉遣いにも気を使っているが、普段は砕けた口調であり、煙草こそ吸わないものの酒好きの女好きという無頼漢らしい性格をしている。

 経緯は不明だが過去に剣術を学んでおり、素の高い身体能力と合わさって、マッファイとも打ち合えるなどリベレイタの中では優れた腕を持つ。その技量は成長したファティマからも認められており、ペンドリナやマオリィネと比較されて『そこそこ』という評価を受けた。一方、ヘンメからはロンゲンを相手取るには荷が重いとも称されている。



 ・マリベル

 種族:現代人間

 年齢:23歳

 性別:女性

 身長:157cm

 【概要】

 バックサイドサークルの娼館で働いていた女性。

 薄紅色の瞳と灰色の髪と浅黒い健康的な肌を持ち、薄く化粧を施している顔は童顔寄りだが、目鼻立ちがハッキリしている美人。肌は浅黒く健康的で手足が長くスタイルがいいため、娼館の中でも人気のある高級娼婦だった。

 服装は扇情的な薄衣と金や宝石で彩られる装飾品を身につけるが、仕事中以外はその上から全身をストールで包んでいる。また、額に金のサークレットを着用する。

 大人しく見られがちの外見に反し活発であり、男性の扱いになれている甘え上手。一方、女性との交友関係はフランクで、コレクタユニオンの酒場に訪れては、シューニャやファティマに仕事の愚痴を交わすことも多かった。その際、神国地域の出身で信仰心の無さを咎められて出奔したと語ったとされているが、実際にはハーコート集落群の血族であり、グランマとともに行動していた人物の娘とされる。そのため、娼館で働きながら情報収集を行うことでグランマをサポートしており、場合によっては用心の暗殺なども行ってきた過去を持つ。娼館の客引きで英雄と呼ばれ始めて間もない恭一に擦り寄ったのも、色仕掛けで落とせないかを試していたからとされる。

 リロイストン首長国成立後は、グランマの重臣という扱いとなっており、ネッサ自由国の安定が確認されれば、両国間の友好の証としてヘンメに嫁ぐことが確約されており、本人も納得している。ただ、ヘンメの性癖や不精さについて、以前シューニャに不満を漏らしており、そこに恋愛感情が介在するかは不明。



 ・クローゼ・チェサピーク

 【ユライア王国の項目を参照】



 ・フリードリヒ・デポール

 種族:現代人間

 年齢:24歳

 性別:男性

 身長:167cm

 【概要】

 コレクタユニオンユライアシティ支部の支配人。

 ブロンドの天然パーマと青い瞳を持つ大きな目が特徴的な色白の青年で、貴族でこそないものの、普段は金糸による豪奢な装飾が施された白地のプールポワンを身に纏う。

 元々はグランマに見出され、コレクタユニオン支部を任されるまでにのし上がった人物で、表面上は人当たりの柔らかい好青年だが、腹の中には権力欲と金銭欲が強く渦巻いており、師に当たるグランマを超越する野望を抱いていた。

 そのため、キメラリア奴隷化法案推進派の貴族であるポトマック子爵らと癒着関係を築き上げ、法案が成立した暁には、大量に発生して値崩れを起こすであろうキメラリア奴隷を、リベレイタとして安価で購入し、私兵の大軍勢を築こうとしていた。ポトマックらへの見返りとしては、奴隷が安価で卸されることによって生じると予想される利益の一部を、先行的に賄賂として手渡しており、それが収支に乗らない派閥の活動資金として利用されていた。

 これら活動のために、キメラリアの地位向上を目指すチェサピーク派とは敵対関係にあり、支部内においては副支配人であるクローゼ・チェサピークに、受付などの雑務に忙殺させて行動を制限するなど対策を行っていた他、存在すら違法とされるカニバルのタグリードを使い捨て可能な駒として飼い慣らし、情報収集や敵対者の暗殺などに利用していた。

 グランマからの推薦を受けながら、飼い慣らされていないアマミ・コレクタに興味を持ち、接待と賄賂を持って懐に入れようと試みたが失敗。以後、しばらくタグリードに情報を集めさせていたものの成果が上がらず、チェサピーク派との接触が増えてきたことから、人質作戦へと移行する指示を下している。しかし、恭一らの戦力見積もりが甘くタグリードが敗北。蛇行剣を証拠としてカニバルを飼い慣らしていたことが露見し、追われる身となった。その後はクローゼらと合流した恭一たちに苛烈な逆襲を受け、ポトマックに助けを求めることを読まれ関与の証拠とされた挙句、最終的には王都からの脱出を試みたところでアポロニアの狙撃によって殺害された。

 


 ・タグリード

 種族:現代人間(カニバル)

 年齢:不明(20代後半?)

 性別:女性

 身長:169cm

 【概要】

 フリードリヒ・デポールが配下として扱っていたカニバルの女性。

 薄紫色のウェーブがかった髪と同じ色の瞳、褐色の肌を持つ妖艶な美女。スタイルもよく、ダマルにはダイナマイトボディと称された他、ビキニのような衣服の上から、透ける薄衣をまとっている姿を場違いとも言われている。武器はカニバルの特徴とされる蛇行剣を愛用する。

 性格面はカニバルらしいサディズムと、フリードリヒへの従順さを併せ持ち、刹那的で享楽的。

 カニバル討伐隊から逃れ、フリードリヒに拾われた過去を持つ。そのため、失われたはずの命の使い道として、出自故の人狩りの経験による技術を駆使して影の仕事に徹しながら、問題が起こった際にしっぽ切りに使っても心が痛まない存在として、フリードリヒの駒となっている。また、フリードリヒの欲求不満の捌け口として、肉体関係を結んでいたとされる。

 恭一らに対する調査を命じられ、王都での一行を追いかけたものの、フリードリヒが望んだ核心的な成果は得られず、チェサピーク派に属する貴族との接点が大きくなっていることを報告。それに危機感を抱いたフリードリヒから人質作戦を言い渡され、ロガージョの巣穴を囮として罠を張り、シューニャの拉致に成功している。しかし、その後玉匣からの追跡による逆襲を受け、人質だったシューニャを道中で奪還された挙句、引き連れていた部隊を壊滅させられ、最後はダマルの手で自らの蛇行剣を胸に刺されて絶命した。



 ・ベルペヤ

 種族:現代人間

 性別:男性

 【概要】

 フリードリヒ・デポールの側仕えをしていた、コレクタユニオンユライアシティ支部に所属する初老の男性。立番がやられていることに気付き、何者かによる襲撃の発生を伝えようと支配人室前まで辿り着いたが、ウィラミットのチャクラムを受けて叫ぶことすら出来ないまま死亡した。


 ・シェイ

 種族:キメラリア・カラ(毛有)

 性別:男性

 【概要】

 コレクタユニオンユライアシティ支部に所属し、夜間の立番を務めていた男性。扉を開けっ放しにすることが多く、大雑把な性格だった。相方のガストンと共に、ウィラミットのアラネア糸に吊り上げられ、声も出せないまま殺された。



 ・ガストン

 種族:キメラリア・カラ(毛有)

 性別:男性

 【概要】

 コレクタユニオンユライアシティ支部に所属し、夜間の立番を務めていた男性。シェイと共に警備に当たっていたが、こちらもウィラミットのアラネア糸に吊られて死亡。警備中も雑談しているなど、警戒感は全くなかった。



 ・サフェージュ

 種族:キメラリア・フーリー(毛無)

 年齢:15歳(種族独自の暦)

 性別:男性

 出身:雪原地帯の集落

 誕生日:雪の深い頃(詳細不明)

 身長:155cm(耳を含まず)

 【容姿】

 鈍色の毛並みを持つ長く尖った耳とふさふさの尻尾が特徴の少年。腰までの長い髪は癖がなく、大きな目に紫色の瞳を持つ。肌の色は褐色であり、フェイスペイントとして、鼻先を黒く、両頬に白い三筋を描いている。

 美形の多い種族として知られるフーリーらしく、顔立ちは中性的を超えて男性には見えない。また、華奢で小柄な背格好に加えて、実年齢通りに見えない童顔に高い声。リベレイタでありながら艶のある美しい髪を持っていることなどから、初見で男性であると見抜くのは不可能に近い。

 防具としてスタッドレザーを使った革の胸当てと毛皮のガントレットを身に着け、足元には脛部分に鉄板を打ち付けたショートブーツを履く。鎧下には厚手の長袖の布シャツと膝までを覆う7分丈のパンツ、黒いショースを着用する。また、防寒着としてはムールゥ毛糸で作られた腿丈のコートを着用する。

 得意とする武器は手斧であり、両腰に1本ずつ計2本を常に携行している。


【人物】

 バックサイドサークルからユライアシティへ移動してきたリベレイタの少年。

 幼少期は両親と共にカサドール帝国の北にある雪原に暮らしていたが、行商に出た際猛吹雪に見舞われて両親と離れ離れになってしまい、天候が回復して間もなくやってきた奴隷狩りの手によって、奴隷商ラルマンジャ・シロフスキの元へ売られている。奴隷となってからはファティマに面倒を見られながら過ごしており、親元から離されて心細い中で唯一の支えだった彼女を姐さんと呼んで慕っていた。しかし、ファティマよりはるかに早く買い手が付いたことで商品としての生活を終え、紆余曲折を経てリベレイタとなっている。その後、ファティマの情報を耳にしたことで、彼女を探し回っていた。

 性格は純粋で真面目。少年らしく熱血な正義心も持ち合わせており、野盗からジークルーンを守ろうとしたり、いつでも逃げられる状況にありながら律義に連絡役を果たしたりと奮闘している。ただ、何事にも経験が浅いため空回りすることもしばしばで、貧乏くじを引く事も多く苦労は絶えない。

 恋愛面においては、長く自由からかけ離れた生活を送っていたことから全くの無垢であり、年上の女性たちにからかわれては顔を真っ赤にしている他、同性の面々との入浴さえ恥ずかしがっていた。ファティマの事は本当の姉のように慕っており、恋愛に似た感情も持っていたが、恭一へ向ける視線から2人の関係を応援する立場に回っている。それと同時に、キメラリアを全く差別せず、自身に対して誰より優しく接してくれる恭一に、親愛を超越した奇妙な感情を抱くようになっており、それが何物か悩むあまりにクリンから向けられている好意に気付けていない。

 戦闘面では、素の身体能力に支えられた機動力を生かし、攪乱と攻撃を織り交ぜるヒットアンドアウェイ戦法を得意としており、野盗数人程度なら1人で相手取れる実力を持つ。ただ、実戦経験が浅いことから搦手や駆け引きに弱く、野盗との戦いでもスイビョウカに対し鋭い嗅覚が裏目に出て酩酊させられ、戦闘不能に陥ってしまった。

 私生活においてはあまり趣味がなく、仕事一辺倒な部分が強い。特に、最初は借金返済のためだった連絡員の仕事を、恭一たちやその周囲を囲む人々との関係から気に入っており、日々王都内での情報収集や手紙などの回収に勤しむようになっている。

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