カサドール帝国

 ・エリネラ・タラカ・ハレディ

 種族:現代人間

 年齢:18歳(カサドール帝国暦準拠)

 性別:女性

 出身:帝都クロウドン

 誕生日:カサドール帝国乾季中旬頃

 身長:139cm

 【容姿】

 赤い瞳と赤い髪が特徴。腰下まで伸びる髪を、黒いリボンでツインテールに纏めている。年齢にそぐわない程の童顔であり、コロコロと変わる表情から、ポラリスやヤスミンと同年代に見られることも多い。肌は小麦色をしている。

 動きやすい服装を好み、普段着兼鎧下のバトルドレスは、袖がなくスカート丈の短い特注品を愛用している。ただ、それだけでは威厳がないため、赤いマントを纏うことも多い。足には真銀の装甲が施されたブーツを履く。

 武器はピルムムーリアリスに似た、両端が円錐形となっており、アクア・アーデン噴射機能のついた真銀製の専用槍を扱う。なお、恭一に破壊された後、弁償品としてガーデンで製造された、似た形の特殊合金製槍に更新している。なお、どちらの槍も大型で邪魔なため、戦闘時以外は従者に持たせたり獣車の中に置いており、日常では予備武器の専用グラディウスのみを腰に差して携帯している。


 【人物】

 成人してまもなく、カサドール帝国序列第1位将軍の座に登り詰めた鬼才の少女。

 没落した男爵家の出身で、貴族社会ではほぼ無名だったが、騎士として軍に登用されると圧倒的な実力を発揮し、オン・ダ・ノーラ神国軍相手に勝利を重ねた。その際、神国軍のテイマーを単身で奇襲撃破。テイムドメイルの無力化を含めた活躍がウォデアス・カサドールの耳に入り、勅命により将軍位を得た。なお、この時点では将軍としての序列は最下位だったが、皇帝以外で自分より弱いやつの命令は聞きたくない、と発言し、これをウォデアスが認めたことで、序列上位だった将軍全員を力で捩じ伏せてトップに立っている。

 性格は我儘で破天荒。何事にも勢いで対応する直感型で、感情をそのまま口にしてしまうことが多い。そのため、年齢的には立派な成人であるものの、見た目と言動が合致しているために、周囲からは基本的に子ども扱いされている。なお、本人はれっきとした成人だと思っており、指摘される度に激怒するが、ほとんどの場合はセクストンを中心とした大人に窘められ、強制的に鎮火させられて拗ねるまでがセット。ただ、将軍という権力を言葉で振りかざしはするものの、不敬を理由に人を咎めるようなことはせず、正論を叩きつけられると駄々をこねながらも従うなど、成人として一定の分別はある。また、帝国臣民の間では、見た目の可憐さと戦争における活躍から、アイドルのような存在として見られていた節もあり、出兵演説などでは将軍らしく振舞い兵士たちからも人気があったなど、準備さえ整えれば外面は保つことができる。

 恋愛面は初恋すら未経験の生娘だが、他人の感情には感覚的に鋭く、恭一を取り巻く環境に対して、どす黒いものを感じると語っていた。

 体は小さく種族もただの人間だが、膂力でキムンと対等以上に渡り合い、俊敏さでケットに勝り、持久力もアステリオンを超えるなど、生身では完全に規格外の存在。唯一、身体強度だけは鍛えられた人間の戦士と大差がない。戦闘スタイルもほぼ全て我流であり、感覚で武器を振るっているが、それでもなおスヴェンソン・リッジリー以外では組手も出来ないと称されたほど。また、炎の魔術の扱いにも天性の才があり、アクアアーデンを触媒に、並の魔術師とは比べ物にならない威力を発揮する。ただ、作戦には則っていても、ノリと勢いで行動してしまう上、その実力から油断することも多く、恭一と素手で殴りあった際には1発目のパンチが顔面を捉えたことで勝利を確信し、高笑いをしていたところで、反撃に出た恭一の肘が鳩尾に刺さり、頭が下がったところを首投げで地面に叩きつけられ失神、敗北している。

 趣味は体を動かすこと全般と買い物。ダラダラ過ごすことは好きでも、暇を持て余すことは嫌いであり、クロウドン城で過ごしていた時は、退屈になると練兵場に乗り込んでいき、誰彼構わず組手を強制させるなどしていた程。

 小柄な体格の割に人一倍大食いの早食いであり、クリンは食事を次々と平らげていく様子に驚いていた。また甘味に目がなく、クロウドン城では高級な菓子を貪っていることが多かった上、カサドール帝国離脱後も当時の癖が抜けていない。逆に甲殻類は全般的に苦手としている。

 神国軍との戦いに明け暮れていた過去から信仰には否定的で、必要な時には何の役にも立たない癖に、常日頃は喜捨だの布施だの要求してくる神に祈るなど反吐が出る、と嫌悪する姿勢すら持つ。



 ・セクストン

 種族:現代人間

 年齢:29歳(カサドール帝国暦準拠)

 性別:男性

 出身:ノーリーフ北部のはずれにある小さな集落

 誕生日:カサドール帝国雨季中旬頃

 身長:177cm

 【容姿】

 細い目に青色の瞳を持ち、短く整えた金髪をしている。目じりの皺と元々の顔つきから、年齢に対して少々老けてみられることが多い。体格は平均的だが、叩き上げの軍人らしくがっしりしている。ただ、帝国軍には同じような髪形の者が多く、ダマルにはモブ扱いされていた。肌の色は黄色系。

 カサドール帝国軍上級兵士として、一般的な胸甲を中心とした板金の部分鎧を身につけ、その下に鎖帷子を着込む。一方、旅装の際はギャンベゾンの上に、スタテッドレザーアーマーを着込み、マントで全身を覆う。

 武装に関しては、軍装旅装の別なくグラディウスを携帯する他、騎乗時には騎兵槍も装備する。どちらも帝国軍において一般的な装備であり、特徴はない。


 【人物】

 カサドール帝国軍ハレディ将軍麾下第三軍団イルバノ百卒隊の副長を務めていた上級兵士。

 所属の騎獣兵隊が玉匣一行の反撃により全滅した際、歩兵隊の指揮を執っていたことで難を逃れ、軍団長であるロンゲンと帝都クロウドンまで翡翠の情報を届け、同時にクロウドンへ向かうヘンメの護衛も務めている。その際、リビングメイル出現の情報をいち早く届けたことを功績と認められ、上級兵士から騎士補へと昇進。ただ、第三軍団への復帰は許されず、エリネラの秘書官兼ヘンメの世話係としてクロウドン城に留め置かれ、以後は2人と行動を共にすることとなった。

 性格は至って生真面目であり、自他共に認める堅物。エリネラには石頭呼ばわりもされている。庶民の出であり、歯車の1つとして働くことを望むタイプだったが、悪運が強い苦労人気質であることが災いし、何かと厄介事に巻き込まれやすく、妙な評価を得やすい。一方、破天荒なエリネラと自由人であるヘンメを相手取るに当たり、型にはまった普通の方法では対応しきれないと考え、ともすれば不敬ともとれるやり方のブレーキ役に回ったり、ミクスチャを帝国が生み出していると知った時は、躊躇いなく祖国ではなくエリネラ側についたりと、土壇場での機転は利く。なお、エリネラの秘書官となって間もない頃は、降格させられてもいいから元の仕事に戻りたいと考えていた。

 帝国軍の兵士として真面目に訓練を行っていたことから、並みの兵士より槍や剣の腕は優れ、クロスボウの扱いにもそれなりに長ける。ただ、周囲の面子がとんでもなさすぎて、戦闘面における影は非常に薄く、自身の力不足もよく理解している。一方、エリネラの危機に際しては、翡翠の前にグラディウス1本で立ち塞がり、イソ・マンが迫る状況の中でもエリネラを担いで走るなど、危険を顧みず行動する度胸と厚い忠義を持つ。

 既婚者であり、赤ん坊の娘が1人居る。一連のミクスチャ騒動で帝都クロウドンを脱出した際は、妻子を故郷へ逃がそうとしたが、エリネラとヘンメから同行させることが最も安全だと諭され、バックサイドサークルまで共に退避した後、エリネラがグランマに掛け合った結果、コレクタユニオンへと身柄を託した。この恩義から、セクストンは帝国を追われ、裏切り者となって以降も、エリネラを将軍と呼び秘書官であり続けている。



 ・ロンゲン

 種族:現代人間

 年齢:33歳(カサドール帝国暦準拠)

 性別:男性

 身長:195cm

 【容姿】

 金髪のオールバックと青く小さな瞳を持つ、筋骨隆々の大男。絵に描いたような武人であり、顔も手足も大きい。ゲーブルには恐ろしい顔と称されていた。肌は浅黒い。

 平時からカサドール帝国軍の紋章が刻まれた板金製全身鎧を纏い、内側には鎖帷子を身に着けている他、戦闘時にはオープンフェイスの兜を被る。

 武装はグラディウス1本を常に携帯している他、軍獣アンヴ騎乗時には大ぶりな騎兵槍を携える。


 【人物】

 カサドール帝国軍ハレディ将軍麾下第三軍団を束ねる軍団長。勇将ロンゲンと呼ばれることもある豪傑であり、オン・ダ・ノーラ神国との戦いでいくつもの首級を上げている。一兵卒出であり、元々はエリネラの部下として戦っていたが、その武勇が彼女の目に留まり、エリネラが将軍となって間もなく軍団長へと異例の大昇進を果たした。そのため、エリネラには畏敬の念を持って接している。ただ、元々学のない庶民の出身であることから、作戦立案や事務作業に関してはほとんどを副官のゲーブルに頼っており、事あるごとに判断を仰ぎ快諾するため、実質の指揮官がどちらかが曖昧になっている節も。

 日頃は寡黙で常に厳しい表情を崩さないため、素性を知らない者達からは恐れられる上、女性との関係が上手く進展しない。ただ、表情を変えるのが苦手なだけで決して不機嫌な訳ではなく、中身は非常に部下想いで純朴であることから、長い付き合いの兵士たちから親しまれている。一方、戦闘時には獰猛な表情を浮かべると共に饒舌となることが多い。

 見た目に違わぬ武勇を誇り、地力だけでファティマに押し勝った上、復調しきっていなかった恭一に対し、一方的な攻勢を仕掛けられるだけの技量も持ち合わせる。キメラリアを体当たりで吹き飛ばしながら走る姿を、恭一からは化物と称された。一方、キムンとの一騎打ちでは苦汁を舐めた過去を持つ他、ユライアシティの戦いでは王国側についたエリネラに一騎打ちを挑み一方的に失神させられている。



 ・ゲーブル

 種族:現代人間

 年齢:40歳(カサドール帝国暦準拠)

 性別:男性

 身長:138cm

 【容姿】

 低い身長に対し広い肩幅と、剃り上げられた坊主頭という特徴的な外見をした中年男。髪色は分かりにくいが銀色をしている。赤茶色の瞳を持つ目は細く、顔にはほぼ常に温厚な笑みを湛えている。体格は分かりにくいが非常に筋肉質。肌は黄色系。

 ロンゲンと同様、平時からカサドール帝国軍の紋章が刻まれた板金製全身鎧を纏うが、鎧下にはギャンベゾンを着る。戦闘時においても兜を身に着けることはない。

 武器はグラディウスを帯びる以外に持たず、軍獣の騎乗にあっても騎兵槍などは装備しない。


 【人物】

 カサドール帝国軍ハレディ将軍麾下第三軍団の副長。

 軍略に長ける人物として名が知られている他、没落した男爵家出身の貴族と噂されているものの、過去の経歴には謎が多く、血縁関係等についても一切が不明。一方、貴族からは庶民の成り上がりと陰口を叩かれることもあるロンゲンに対して、信頼と忠誠心を持って接しており、貴賤男女に対する差別は見られない。また、頭脳労働を主体とする参謀ではあるものの、剣の腕は並みの騎士では相手にならないと噂される。

 巌のようなロンゲンとは反対に、物腰が柔らかく気のいい中年男性といった雰囲気を常に纏っており、周囲からは話しやすい人物と見られがち。ただ、優し気な表情からは実際の感情が読み取れず、言葉からも内心を察することが難しいため、付き合いの長い兵士達からは、底知れない様子が恐ろしいと思われてもいる。

 単身で戦場を突き進むロンゲンに代わり、兵士たちの指揮を執ることも多い。また、混戦の中にあっても冷静に状況を把握していた様子から、恭一には場数が違うのだろうと称されている。しかし、流石に万全な状態の神代の兵器にまで冷静な対応はできず、玉匣からのチェーンガン掃射に部隊が晒された際は、腰を抜かして尻もちをついていた。



 ・イルバノ

 種族:現代人間

 年齢:22歳(カサドール帝国暦準拠)

 性別:男性

 【概要】

 大きなトサカを持つパレードヘルムを被った騎士。カサドール帝国軍ハレディ将軍麾下第三軍団イルバノ百卒隊を率いた百卒長であり、バックサイドサークルの監視と治安維持を任されていた。

 ずる賢い男であり、前線で命の危険を冒してまで武功を立てる気はないが、出世欲は一人前だったため、バックサイドサークルの民衆を遠回しに追い込むことで小規模な反乱を起こさせ、危険因子として取り締まるという悪辣な方法で手柄を立てようとしていた。パレードヘルムを被っているのは、その際自身が囮役を務めるためであり、騎士という立場もあって、戦い方を知らない民衆を見下していた。

 斥候兵からの報告で玉匣の存在に気付き、同時にキメラリア・キムンとの決闘裁判に勝利した恭一に興味を持ち、間もなく放っていた斥候が消されたことがわかると、手柄になりそうな危険因子と判断して指揮下の兵士全員を率いて玉匣を追撃した。

 しかし、玉匣の戦力を理解しておらず、自らが指揮を執った騎獣兵隊が護衛とアポロニアを残し、瞬く間に全滅。反撃してきたファティマと剣を交えたことで退却の機会を逃した。ファティマとの戦いは、最初こそ剣の技量で力の差を跳ね返したものの、投げつけられた板剣を払った一瞬の隙に軍獣の足を斬られて転倒。直後に合流してきた恭一に護衛を全滅させられた上、最終的にはファティマの板剣を頭上から叩きつけられ絶命した。



 ・スヴェンソン・リッジリー

 種族:現代人間

 年齢:68歳(カサドール帝国暦準拠)

 性別:男性

 【概要】

 カサドール帝国軍ハレディ将軍麾下第二軍団の軍団長を務めた猛将。長く帝国に仕える歴戦の将でもあり、既に老齢ではあるものの衰えた様子はなく、その武勇は唯一エリネラとまともな組手ができると称される程。また爵位を持つ貴族であり、スヴェンソン男爵家の当主でもあった。

 外見は側頭部に僅かな白髪を残すだけの禿げ頭と、鍛え上げられた傷だらけの肉体が特徴であり、服装は革のベストに金属小札がついた腰巻という軽装を好む。武器はラブリュスやハルバードといった斧系の物を愛用し、ラブリュスを握る際は楕円形の盾も持っていた。

 普段は好々爺のように振舞っているが、本質的には血の気が多い狂戦士であり、敵対者が互角以上だと悟ると穏やかな外面が剥がれる。また、長年の経験から直接戦闘だけではなく軍略にも優れる。

 前哨基地の戦いで罠に飛び込んだマオリィネに一騎討ちを申し込み、始終孫娘を鍛錬するかの如き余裕を持って戦闘を進め、惜しい才能と認めながらも討ち取る寸前まで追い込んだ。しかし、そこへ翡翠が介入したことで戦局が一変。戦場の華である一騎討ちに水を差されたことよりも、強者の出現に対して歓喜し、ハルバードを手に躍りかかった。だが、収束波レーザーフラ光長剣ンベルジュに自ら突っ込んでしまったため、高熱の収束レーザーに身体を両断されて戦死した。



 ・ウェッブ・ジョイ

 種族:現代人間

 年齢:49歳(カサドール帝国暦準拠)

 性別:男性

 【概要】

 カサドール帝国序列第5位将軍。眠そうな目付きと顎の小さな髭以外は、背格好も含めて全てを平均したような男であり、貴族や将軍という威厳は薄い。

 長年皇帝を支えてきた名家であるジョイ伯爵家の現当主であり、先代の立場を継いで将軍位を得ている。そのため、陰では親の七光りで成り上がった放蕩嫡男と称されており、この評価を一発逆転で覆すことに野心を燃やしていた。

 実際人間としては小物であり、内政では汚職が相次ぎ浪費を繰り返すばかりで、戦争においてはよく言えば、無難で堅実な指揮官、悪く言えば知恵が回らず戦い方を知らないと、他の将軍から呆れられている。また、武勇に関しても目立ったものがなく、帝国軍指揮官としては珍しく、後方での指揮に始終していた。

 エリネラの出奔によって帝国領北部地域の鎮守部隊から、ハレディ麾下軍の指揮官に抜擢された。この唐突な栄転は周囲に衝撃を与えたが、これはルイスが指揮官は最悪失敗しても腹が痛まない存在で十分とウォデアスに伝えていたからとされる。

 ミクスチャと失敗作を用いた力押しの強攻作戦でグラスヒルとフォート・ペナダレンを占領した他、ユライアシティの大防壁を破壊するなど優勢に戦闘を進めたが、スノウライト・テクニカとの同盟を果たしキメラリアまで招集したユライア王国軍から頑強な抵抗により勢いを殺され、マオリィネ率いる重クラッカー部隊とエリネラの介入によってに損害が拡大。更に翡翠が到着したことによって頼みのミクスチャが殲滅されて敗北。僅かな手勢と森へ逃れたところをグランマに捕縛され、以後行方不明となった。



 ・リヴィオ

 種族:現代人間

 年齢:20歳(カサドール帝国暦準拠)

 性別:女性

 【概要】

 ユライアシティの戦いにおいて、北門を攻撃したスパイク軍団長率いる第二軍団に所属した女性騎士。風来フウライを騎獣とする騎兵槍の名手であり、護衛兵を囮に重クラッカーを引き離すことで、マオリィネに一騎打ちを申し込んだ。

 騎兵槍対サーベルという武器の差で、マオリィネに対し半ば一方的な攻勢を仕掛けたが、ポラリスの魔術で風来の足を凍らされて転倒し、鎧の隙間にサーベルを通されて討ち死にした。マオリィネには一騎打ちでなかったことを謝罪されている。



 ・スパイク

 種族:現代人間

 年齢:40歳(カサドール帝国暦準拠)

 性別:男性

 【概要】

 ユライアシティの戦いにおいて、北門を攻撃した第二軍団の軍団長。マオリィネと重クラッカーの襲撃により大被害を蒙り、劣勢となったことでウェッブに増援を求めた。しかし、増援の到着を待たずして、マーシャル・ホンフレイに敗れ討ち取られている。



 ・シャーデンソン

 種族:現代人間

 年齢:38歳(カサドール帝国暦準拠)

 性別:男性

 【概要】

 カサドール帝国軍序列第三位将軍。名高い貴族の出身で、若くして武勇軍略共に優れると目され、第二のガルヴァーニ・トツデンとも称された程の実力派でもある。

 神国征伐軍の総指揮を任されており、過去にはエリネラの上官でもあったが、彼女と序列を競った際は一方的に叩きのめされている。しかし、ミクスチャを始めて戦線投入した際は、一気に聖都ソランまでを攻め上がり、オン・ダ・ノーラ神国の征伐を成して、帝都クロウドンに凱旋した。その直後、ウェッブ・ジョイ名義で届けられた救援を求めるホウヅク伝に応じる形で再び出陣。大部隊を引き連れてフォート・ペナダレンへ進出したが、入城間もなくドローンによる観測に誘導された甲鉄からの精密砲撃に晒され、サーモバリック砲弾の炸裂によって密集していた部隊が一瞬の内に壊滅。瓦礫の中で自身も戦死した。



 ・ラルマンジャ・シロフスキ

 種族:現代人間

 年齢:58歳(カサドール帝国暦準拠)

 性別:男性

 【概要】

 レンドに本拠を置いて活動する奴隷商。丸い身体と頭の上に乗っているだけに見える四角い帽子、豪奢な緑色の服装が特徴で、汗っかきな体質。職業柄腐毒蜥蜴ニーヴヘコの痺れ毒や酔猫華スイビョウカなどを扱う技に長ける。

 キメラリア奴隷を中心に扱う他、隊商としての仕事も同時に行っている豪商で、商人ギルドにも認められていることから帝国領内であればどこでも自由に往来できる等、顔が広い。

 過去には赤ん坊だったファティマを拾っており、商品としてではあるものの彼女が成人するまでを育て上げている他、北部地域ではサフェージュも商品として捕縛している。

 ミクスチャの生産に伴って拡大した帝国内のキメラリア需要に商機を見出し、レンドからロックピラーまでの間でキメラリアを集め、最終的に手近だったフォート・サザーランドで帝国軍に売り渡そうと動いていた。ただ、接触してきたファティマを再び商品にしようとしたことで、翡翠とミカヅキ装備のファティマから反撃され、護衛が逃げ去ってしまい決着。ファティマによって命だけは助けられたものの、スノウライト・テクニカによって占領されていたフォート・サザーランドの地下牢へ拘留された。その後、シューニャからの尋問によって彼女を様付けで呼ぶようになり、レンドには反乱勢力が存在するという情報を反帝国連合軍に提供し、途中の関を無傷で突破する鍵として、マルコと共に解放された奴隷を連れて西部地域へ戻った。ただ、反乱勢力がグランマと繋がりのあるハーコート集落群残党を中心とした組織であったため、情報自体の価値は無かった。しかし、グランマに西部にコレクタユニオン部隊を分派する口実を与えたことで、クロウドン災禍に反乱勢力のポミプース軍団が間に合い、退避する反帝国連合軍部隊を救助することに成功している。



 ・ガルヴァーニ・トツデン

 種族:現代人間

 年齢:46歳(カサドール帝国暦準拠)

 性別:男性

 【概要】

 カサドール帝国軍序列第二位将軍。幼い頃からウォデアス・カサドールに仕えてきた腹心であり、家格実力共に他の将軍とは一線を画す。元々は序列第一位であったが、エリネラとの手合わせをした際一方的に敗北したことで、自ら降格を願い出ていた。エリネラが反逆者となった後は、再び第一位将軍の座に復帰している。

 性格は沈着冷静かつ聡明。特に軍略に優れており、シャーデンソンの大部隊が一瞬で壊滅させられたとの報告から、反帝国連合軍には密集した部隊を消し去るような技術があると考え、部隊の運用を散兵へ切り替えたり、虜囚兵にそれなりの装備を与えて前面に押し出すことで主力部隊と誤認させ、反帝国連合軍の戦力を測ったりと、旧来の方法に囚われない柔軟な用兵思想を持つ。

 ウォデアスに心酔して支えてきた過去から、ルイス・ウィドマーク・ロヒャーに対しては、素性が分からないことに加え、協力関係というだけでミクスチャという圧倒的な力を差し出してくることに、強い不信感を持っていた。

 アルキエルモの戦いではウォデアスの傍ら、参謀的立ち位置で参戦。バシリカ洞に展開していた斥候部隊から、敵発見の報告を受けて要塞塔を離れたことで、市街地への砲撃から難を逃れている。しかし、サンタフェのイーサ管が破壊されたことでミクスチャやイソ・マンが暴走し味方部隊が壊乱。それに加え、戦線に復帰したダマル達砲兵隊の砲撃によって、要塞塔が崩壊するのを目の当たりにすると敗北を悟り、無用な流血を避けるため味方部隊へ撤退の指示を出しつつ、自らは反帝国連合軍本陣に向かって降伏を宣言。ミクスチャが暴走している状況を伝えることで、事態の収拾を図った。

 その後は、王国軍の捕虜としてフォート・サザーランドに収監されていたものの、戦後にはエデュアルトの口添えもあってエルフリィナより恩赦を受けて釈放されている。ただ、アルキエルモでのミクスチャや神代の兵器を用いた戦いにおいて、余りに多くの人命が瞬く間に失われていくのを目の当たりにしたことにショックを受け、ネッサ自由国へ合流することはなく、各地の神殿を巡り祈る巡礼者となった。



 ・ウォデアス・カサドール

 種族:現代人間

 年齢:51歳(カサドール帝国暦準拠)

 性別:男性

 【概要】

 カサドール帝国現皇帝。先帝が早世したことで若くして皇帝となり、干ばつに困窮する国家を安定させることを目標に、オン・ダ・ノーラ神国領およびユライア王国領への侵略戦争を仕掛けた。

 容姿は金髪に薄い口髭を持つ、彫りの深い初老の男性。体格はがっしりとしていて背も高く、豪奢なマントと鎧を身に纏う。

 皇太子時代には剣を握って戦場を駆ける将軍位の騎士として名を馳せていたことから、皇帝位は絶対不可侵の物としつつも、人の優劣は武勇知略にて決する物で、知識は人を腐らせるという思想を持つ。そのため、家臣の多くはウェッブなどの家名の功績で残っている者を除き、ほとんどが武官で構成されており、帝国が世界最大の兵力を持つ軍事国家たりえている一方、内政的発展が立ち遅れる原因ともなっている。

 戦線の膠着を打開するため、接触してきたイーサセラ・テクニカのルイスを受け入れ、キメラリアを含めた物資を供給する見返りとして、ミクスチャをはじめとする変異生物を兵器として受け取り、最強の獣と呼んで帝国軍に編入。神国の防衛網を打ち破って、聖都ソランを占領した。なお、この時期に失敗を重ねたルイスに対しては、知識人を嫌う傾向もあって断絶している。ユライア王国との戦いでは英雄の参戦を警戒して温存策を取ったことが仇となり、王国軍に反撃の機会を与えてしまい敗走。更にフォート・ペナダレンでの敗北も重なったことで攻勢が一変。反帝国連合軍から逆侵攻を受けることになった。そのため、可能な限りの兵力をアルキエルモへ集結させ、自ら指揮を執る決戦として一気に挽回しようと試みている。しかし、ミクスチャの暴走によって部隊が壊乱して決戦には敗北。臣下からの退避勧告によって退避しようとしたところ、甲鉄の放った榴弾が要塞塔に直撃し、崩壊に巻き込まれる形で戦死した。



 ・エンシア・カサドール

 種族:現代人間

 享年:40歳頃(カサドール帝国暦準拠)

 性別:男性

 【概要】

 カサドール帝国初代皇帝。建国の帝とも呼ばれる。ウォデアスの高祖父に当たる人物。出自は人間集落の長とされているが、詳細は不明。

 若い頃から野心家であり、成人すると両親を暗殺して集落の権力を掌握。近隣の他集落を占領併合する形で急激に勢力を拡大すると共に、ノーリーフ地域にあった町を首都とすることを決め、帝都クロウドンの建設を行った。その最中に発生した、北からのカニバル大侵攻に自ら軍を率いて出陣。デニス・パピネ城の戦いで攻勢を打ち払うと、逆襲的に征伐を行い勝利を掴んだ。しかし、戦闘中に受けた矢傷から熱病を発症。あらゆる手が尽くされたが快癒せず、カニバル征伐から間もなく嫡男を次期皇帝に指名して崩御した。



 ・ラシュカ・カサドール

 種族:現代人間

 享年:20歳(カサドール帝国暦準拠)

 性別:男性

 【概要】

 カサドール帝国皇子。ウォデアスの嫡男であり、父親譲りの武勇を持ちながら、ないがしろになっている内政の立て直しに尽力していたため、ガルヴァーニ・トツデンからは若くして聡明と称される。

 アルキエルモの戦いにウォデアスが出陣した折には、クロウドン城に残って名代として指揮を執り、コレクタユニオン本部部隊によるクロウドン包囲への対応も行った。直後に発生したクロウドン災禍に巻き込まれ、死亡したとされている。

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