イジワルな私に恋をした彼と壊れた私

雪見 白雪

第1話西日

 香りからの記憶は鮮明だと誰かに聞いた

 だから私は高校に入ってからずっと同じ薔薇の香水を使っている

 流行ってはいない

 誰とも被らない

 私だけの香り

 私は薔薇の花束を抱えた誰かが


 花の為なら死んでも構わないよ


と言って欲しい願望があった


 放課後のルーティーンガールルズトークだ

 花ってアザといよね?と言われた

 ん?嫌味?と思ったが

 すぐに他の子の恋バナに話しは移った

 私は彼氏どころか好きな人さえいなかった

 皆んなが話す、切ない苦しい感情を感じる相手が見つからなかったのだ


 高校2年の秋も、もうすぐ冬に変わる恋ができていない


 アザといよね?の言葉が頭の隅に残ったまま、、、

 回りは田んぼだらけの田舎の高校で

 駅まではかなりある為一時間ごとにスクールバスが出る

 今日は話しが盛り上がりいつもより遅いバスに乗る事になった

 私は1番後ろの真ん中の席にすわる、乗ってくる子達の顔が良く見えた


 西日がさして綺麗だった

 普段見かける事のないサッカー部の男の子達が次々に乗ってきた

 私は思わず香水を付け直した

 バスの中が私の薔薇の独特の香りが充満して

 怪訝な顔をする子達も居た

 私は体を小さくした

 バスが出発するギリギリにまた最後のサッカー部の子が乗ってきた

 私は彼を見て不思議な事を思った


 彼の彼女が羨ましいとゆう嫉妬だ

 彼女と一緒なわけでもないのに

 ザワザワするバスの中で彼の声だけに耳を傾けた

 何の匂い?彼が隣の誰かに聞いた

 花の香水だよ。いつも同じだから

 ほらあの子と、私を指差しした

 私は顔を下に向けた

 それから2人の会話は聞き取れなくなった

 ドキドキと嫉妬はずかしさ

 バスから家までの事はよく覚えていない

 ただ彼がバスに乗ってきた瞬間の

 西日を浴びてキラキラしていて

 優しそうで背が高く

 その映像だけが、切り取られたように

 私の脳裏に焼きついた

 香りからの記憶は鮮明

 私は誰かに私を記憶して欲しかったのに

 自らの香りで彼の一瞬を鮮明に焼き付けてしまった

 ひと目惚れ?

 いや、学年も名前も性格もしらないのに。

 私はドキドキと嫉妬とはずかしさとで

 心と頭が熱くなっていた







 わ










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