神様の不手際で異世界転生!? ~チートなスキルでテンプレ王道歩みます~

@kamuuuuuui

第一章 

第1話

『お金はあるが時間がない』


俺、坂井さかい あきらを表すならこの言葉が一番しっくりくるだろう。



母子家庭でけして裕福ではない家に生まれた俺は、それなりに勉強してきたが高卒で就職。



建設系の経営を主にし、ここまで食らいついてきたが去年三十路を迎えた。



ちょっとした大企業なだけあってお金はそれなりにもらえているのだが、残業やらなんやらで何しろ自分の時間がない。



時間がなければ結婚もできずお見合いもできない。



趣味でも見つけようと思ったが自分の飽き性のおかげかそれも叶わなかった。



唯一の家族であり救いだった母も、先日がんで亡くなり…葬儀の帰りのことだ。




キィィィィー‥‥‥ッ!!



「───っ!?‥‥‥‥おい!」



7歳ぐらいの男の子がサッカーボールを追いかけ道路に飛び出した。



…考えるよりに体が動いた。



俺は男の子を跳ね除け…そこに鈍い音が鳴り響く。


ドン!!


それと同時に俺の意識は微睡みまどろみへ消え去った。












♢♢♢♢♢♢♢♢♢












目を覚ますとそこには光が広がっていた。不思議と眩しいということはなく優しい光だ。



自分の体は存在せず人魂ひとだまのような見た目をしていることに気づく。



「ほっほっほ‥‥‥

あきらくん‥‥じゃな?」



そこに愉快ゆかいに、そして妙に力を感じる笑い声が響いた。



『えーっと‥‥‥‥』



声は出ないが語ることはできた。

なぜかわからないが、心の声を発する…ような感じだ。



『神様‥‥ですか?』



「む?お主、あまり驚かんな」



『あはは、これでも結構驚いてますよ』



「‥‥‥神といえば神じゃ。お主のいた世界の神ではないがな」



『‥‥‥そうですか‥‥‥俺、死んだんでしょうか』



なぜか歯切れのない返答だったが、まず今はこれを聞きたかった。



「‥‥‥お主がいた世界での肉体は死んでしもうたな」



『………』



やっぱり……。あんなことがあって生きてたら、それこそ奇跡だよな。


今の状況も説明がつかないし…。



「それに関してはお主に謝りたい。あの件は色々トラブルがあってな。

もともと、お主を死なせることはなかったのだ。」



『‥‥‥‥え?』



じゃあ、俺は神様が巻き起こしたとはいえ、見ず知らずの事件に巻き込まれて死んだってこと?



「すまない‥‥‥はお主の命を奪ってしまった。謝って済むことではないのはわかっているが‥‥‥」



そう言って神様は腰を曲げて俺に謝った。



『‥‥‥』



ありえない光景だと思う。


信じがたい話だが神様だ。神様が命を奪ってしまったとはいえ、人っ子一人に頭を下げている。


普通なら怒るところなのだろう。


俺の幸せな人生を返せ……と。


ただ……


『‥‥‥あの男の子は無事だったんですか?』



「っ‥‥‥ああ、お主が助けなければ、あの子が、ここにいただろう‥‥」



そうか。じゃあ俺のつまらなかった命があの子の未来を救ったんだな…



『頭を上げてください。俺は、大丈夫ですから。』



「‥‥‥本当にすまなかった。ただつぐないと言っては何だが、一つ提案をさせてくれまいか」



───ここが一つの俺の人生のだったのなんだろう。神様は優しく、そして姿は見えないが、手を差し伸べるように言った。



………の世界にこないか?

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