第19話 無気力高校生?

父『おい和人、お前もう明日から高校行かなくて良いぞ』(ニコッ)


父と母に急に呼び出され部屋に入った瞬間の第一声がこれだ。


和人『は?』


母『ごめんね。和人、実はお父さんの会社倒産してしまったみたいなの。』


和人『え?は?ごめん、急展開すぎて思考がついていけないんだけど.....』


父『それで今必死に職業を探してるんだが、学費を払うのが厳しくなってしまってな。高校は残念だがここまでだ.....』


和人『へ〜、そうか高校はもう無理なのか.....』


父『あぁ、すまない。』


和人『で?』


急に部屋の雰囲気が変わる。


母・父『で??』


和人『だからさ、会社倒産したのは分かったよ。高校も辞める事も、もう既に納得した。で?』


父と母は俺の言葉の真意が見抜けないようにただ頭に?マークを浮かべている。


和人『嫌、だからさ、こんな事をした目的よ。まぁあらかた見当は付いてるんだけど、どうせVtuberをこのまま続けて欲しいから会社が倒産したとか嘘ついてるんでしょ?』


父・母『ギクッ!!』父と母は少し動揺を見せたがすぐ平然とする。だが所々汗が流れている。焦ってる証拠だな。


和人『会社倒産してないよね?自主退職してきただけだよね?父さん。』


父『うっっ!!!』


和人『まぁ、良いんだけどさ。これでこの家での稼ぎは俺しかいなくなった訳だ。まぁ、確かに後2ヶ月ぐらいしたら、辞めようと思ってたのは本当だけどね.....』


そんな素振りは一切見せなかったが、やはり俺がやめようと思っている事に父さんと母さんは勘づいていたか......


父『やっぱり、辞める気でいたんだな。』


和人『だって、面倒くさいんだもん。配信だって同期?の子だっけ、あの子達も人付き合い全てが面倒臭いよ。まぁ確かにあそこに入って俺が少し変わり始めて来てたのは本当だけどね。』


変わり始めてないといえば嘘になるので、ここは偽りなく言う。


母『ねぇひとつ聞いて良いかしら和人..... 何で和人はそこまでめんどくさがるの?』


そこで母さんは意外な質問を聞いてきた。うーん、まぁいいか。別にバレた事で何か支障がある訳でもないし、答えとくか。


和人『ん?だって、全てが出来てしまうから。だからつまらないし、面倒臭い。全てが出来てしまうが故に俺は不良品なの。言ってる意味が分からないって顔だね。そうだね確かに普通の人には理解出来ないかもしれないし、普通じゃない俺だから理解できる話だ。蓮夜さんとか神崎社長だったかな?俺の事を才能に満ち溢れてるとか言ってたけど、そうだね。確かに俺は満ち溢れてると思うよ。そこはもう否定のしようがない。何せ全てが出来てしまうんだから才能が無い方がおかしい。けどダメなんだよ、そんなんじゃ....... 全てが出来てしまう時点で俺はダメ....っと、話は逸れてしまったけど、要は結果が分かってることにいちいち取り組むくらいなら最初からやりたくない。だから俺はめんどくさがる。故に無気力って奴?そんなとこ。どう?これを聞いて満足した?』


これを聞き、父と母は完全に黙ってしまった。この場の主導権は完全に俺に握られる。


和人『まぁ確かにやり方は悪くないと思うよ。一応産んで貰ったり育てて貰った恩は返そうと思ってるから、父さんは今職が無く稼ぎが無い、母さんも家の家事があるから働けない。だから俺がVtuberで稼いであげる。なに結果は見えてるよ。どうせ俺は成功するしね。』


そう言って部屋を出て俺は階段を上がっていく。父と母は止めてくる様子はない。でもまさか職をやめてくるとは思わなかったな。正直そこは予想外だったしびっくりした。はぁ、まさかここまでとはな..... 父さんと母さんを見捨てるのは簡単だが..... 多少は恩はあるからなぁ。見限るのは早いか.....? 普通の人ならここで見限ると思うが、、やっぱり俺も普通の奴とは違うんだな......まぁ高校は辞めたところでどうでも良いから、別に良いかなぁ。


にしても......


感情を表に出すのが苦手っていう適当に思いついた設定を蓮夜さんに言っちゃったのが痛いな。何であの時の俺あんな設定言っちゃったんだろ。はぁ..... まぁいいか。


そんなことより、、


和人『Vtuberを続けるしかない状況か..... いいね面白い。結果は分かっているけど、何故だろう、無性に胸の高まりが止められないな。いや良いか、今はそんな事がどうでも良くなるくらいVtuberというものに俺は惹かれている。前まではつまらなそうと思ってた俺が今じゃこんな事を言ってるなんて信じられないな。にしても無気力って何だったんだろうな。今の俺は明らかに......』


嫌、いいか....


俺は笑みを浮かべながら、これからの事について考える事にした。

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