惨たらしい人生を歩んできた少女。人としての成長を描く物語。

 導入はとても重く、読み手に嘆息させるような内容です。
 主人公吾子は迫害というべき行為に晒されており、彼女の母もまた乱暴を受けていました。特殊な見た目をした二人は村人から忌避されていたのです。
 目を逸らしたくなる内容のあと、吾子にも幸運と呼ぶべき出来事が訪れます。初めて彼女を受け入れるもの。それはこの地を治める神様『白虎』との出会いでした。
 白虎との出会いは人間として未熟だった吾子の成長を促し、明確に転機となっております。この邂逅により主人公は失われることなく、成長を遂げていくことに。
 この物語は重い題材となっておりますが、非常に読みやすく纏められており、物語全体を容易に追っていける内容となっております。
 私も物語に没頭し、気付けば読み終えておりました。読了後は導入部に感じていた読後感とはまるで違う感情を覚えております。
 心のあり方を考えさせられる作品です。きっと読者は考えさせられるでしょう。復讐が意味するもの。許しがもたらすものについて。
 とても読みやすい作品ですので、一読されますことをお勧めいたします。

その他のおすすめレビュー

さかもりさんの他のおすすめレビュー633