年下の恋人

@kazusajasmine

第1話 防衛大出身の彼

彼は7歳年下の会社の後輩だった。そのとき私は33歳。

ひょんなきっかけで話す様になり、背が高く礼儀正しく好青年な彼は私のタイプではあったが、7つも年下と聞いて無いな…と思っていた。


ある時、彼に『◯○さんはどんな人がタイプなんですか?』と聞かれ、『う~ん。昔は好きな芸能人とかいたけど、今はいないかも。◯○君は好きな芸能人いるの?』と聞くと、『僕は、大塚寧々さんです』と。


『えー!』と驚き、『大塚寧々さんって私よりもずっと年上だよー。てっきり北川景子ちゃんと言うと思ってたよ!』と言うと、『僕は年上が好きなんです。前の彼女も10歳上だったし…。防衛大で働くのも早かったから、同年代は幼く感じてしまうんです』と。


おったまげー。

防衛大の事も良く分かっていなかった私は、ただただ驚くばかり。

そして、その時、もしかしたら私でも望みあるかも…と思ってしまった。


そこから彼と付き合うまでは早かった。

仕事場ではキリッとしていて出来る男って感じなのが、二人きりになると甘えてくる男子に変わる。

とにかく優しくて、都内で待ち合わせすると都内に慣れていない私の為に電車の時間や乗り換え方法などを細かくライン。

ご飯も奢ってくれるし、エスコートも上手。


今まで付き合った事のないタイプ。

ツンデレという言葉を彼で知ったし、私はどんどん彼にハマっていった。


私が彼にハマるのとは反対に、彼の熱は冷めていった。


約束もドタキャン、仕事忙しいと言ってラインも返信こず。


職場で顔合わせると変わりなく、他の男性職員と話していると然り気なく寄ってきたり、後からたわいもないライン(お疲れさま~!みたいな)が届いたり。。

それを真に受けて『次いつ会える?会いたい』と言っても『仕事落ち着いたら…』というだけ。

思わせぶり~の繰り返し。

彼の事で頭がいっぱいな私。


それからしばらくして、彼の事を好きだと噂だった女の子と彼が噂になった。

彼女は関西から転勤で来たばかりの子で、笑顔は可愛いが垢抜けない感じの子だったが、彼氏を作ることに必死でダイエットを頑張ったり、ファッションも女性らしく、どんどん変わっていった。


痩せてキレイになった彼女を、彼の先輩が『そろそろ付き合ってやれよ!』とはやしたてる。

先輩は、私と彼が付き合っている事を知らなかった。彼も何も言わず、ただ笑って合わせるだけ。


私は、年下の彼も社内恋愛も初めてだった。

なんで付き合ってる人がいるって言わないのか?なんで隠して付き合わなきゃいけないのか?全く分からなかった。


きっと本気じゃないんだ。結婚したい!結婚しよう!と言っていたけど、隠したり、全然会えなくて連絡もほとんどない。もう私の事なんて好きじゃないんだ!

不安でいっぱい。

それでも何とかしたくて必死だった。


私が必死になればなるほど、彼が冷めて離れて行くとも気付かず。


彼は私を嫌いになった訳でも、私に嘘をついた訳でもなかったんだと思う。

ただ守りたかった。

仕事での立場も、私とのことも。

私はそれが理解出来なかった。


私が不安だったのは、彼は外資系の会社の営業マンで、女性との出逢いや交流が多かったのもあると思う。

男性は、やっぱりチヤホヤされたり、もてたら嬉しいしね。先月は何人に告白された!とか言ってたし。。。

可愛い子やキレイな人だって沢山いる。

色々な噂が耳に入る…辛い。。


こういう事なんで気付かなかったんだろう。

初めに気付いていたら…。


彼が言ってくれた言葉

君は僕のジャスミンだから、、、(くさいセリフだけど、お弁当とジャスミン茶を買ってきてくれて、ジャスミン茶を渡された時に然りげなく言われたのでズキューン)

アラジンのジャスミン☆

あの言葉だけは、私の宝物。


彼は覚えてもいないだろうに…バカだな私。

立ち直るまでの時間、代償が大きかった事は言うまでもない(苦笑)






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