読み人が零してくれた暖かな泪が、その『本』の歴史になり、想いになる……

 この物語は、とある『本』の主観で綴られています……。

 その『本』は、作者の想いの全てが注ぎ込まれ、そして、作者の最後の命の火をもって、この世界に産みだされました。
 しかし、同時に世にでた同志の半分が、図書館に寄贈されてしまうほど、希少な存在感も稀覯な価値もありません。

 図書館の棚に置かれたまま、貸し出されることもなく、最後まで読んでもらえることもなくなった、この『本』が辿る運命は哀しすぎます。

 でも、ある日、その哀しい運命を変える出逢いが訪れます。
 手を差し伸べてくれたのは、小さな女の子。その『本』を読みながら泪を零します。
 この女の子の運命も過酷なのです。でも、哀しくてもそれを感じさせない気丈さは、誰もが応援したくなるはずです。

 素敵な一冊に出逢った女の子。その『本』は、女の子のこころの中でどのような存在になるのか? 貴方も、興味が湧きませんか?
 全編を通して、哀しさが溢れているのと同時に、暖かさに満ちています。
 これは、確実に癒される一編だと、わたしは思います……。

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