28歳で生活保護を受給しました。

生活保護のハジメ

ゲームオーバー、その後。

 もし、仮に人生がゲームだとしたら。

 僕のシナリオはとっくに破綻している。


 けれど、改めて気付かされた事は人生でどれだけ絶望的な状況に追い込まれたとしても、自分の人生はまだまだ終わりなんて見えないということ。


 例えば、マラソンだとどうだろう。

 人生という長い道のりをたったか走って、ようやく折り返し地点が見えた時。


「ああ、まだ半分もあるのか」

 と思うのか。

「ああ、もう半分しかないのか」

 と思うのか。


 そんな陳腐な例え話をした理由を話したい。


 人生に絶望したその瞬間。

 けれど、この先の人生はまだまだ長いと思ったその瞬間。


「ああ、まだ先があるのか」

 と思うのか。

「ああ、もう終わりにしたい」

 と思うのか。


 この問いに、明確な答えは存在しない。


 どちらを選ぶのかは自由。

 僕はこうして前者を選んだだけ。


 預貯金はマイナスで借金だらけ。

 働いても貯金はできず。

 恋人なんて無縁の毎日。


 そんなどこにでもいるような、夢か希望くらいしか残らない高卒のサラリーマンだった僕は、ストレスでうつ病を患い、職を失って、生活保護を申請しました。


「若いのに、生活保護なんて取ったら人生おしまいだよ」


 そんな事を言われたりもした。

 皆さんはどうお思いだろうか。


 結果的に僕は生活保護のおかげで生きています。


 親から離れて静かな環境で暮らしています。

 仕事を辞めて趣味と向き合う時間が増えました。

 誰かの役に立ちたいと思えるようになりました。


 そして自分が今まで頑張りすぎていた事に気付いて、自分をもっと大事にする方法を毎日少しずつ探しています。


 皆さんはどうでしょうか。


 頑張らないと意味がない、とか。

 立ち止まると人生が終わる、とか。


 そんな目に見えない恐怖と戦っていませんか?


 僕はその考えで、がむしゃらに働き続けてダメになりました。


 たくさん怒られたし、

 たくさんバカにされたし、

 たくさん騙されたし。


 けれど、自分の中で『もっと頑張らないと!』と言い続けて、ひたすら頑張り続けてきました。


 あとは、

「自分は大丈夫!」

 という正常性バイアスがガンガン働いていることに気付かないまま、楽観的に生きてきたりしました。


 でも、ある日。

 本当に何となく。

 ぷっつりと糸が切れるみたいにダメになったんです。


 もう少し具体的に言うと、


 朝起きられなくなった。

 夜に眠れなくなった。

 電話が鳴ると手が震える。


 最終的に気付いたら泣いていた。


 ね?

 嘘みたいでしょ?(笑)

 でもホントの話なんですよ。


 自分でもびっくりするけどね。


 今思えば、前兆はたぶんあった。


 ヤケ食いみたいに食事量が増えたし。

 お酒を飲む量も増えた気がするし。


 あとはアニメや漫画を読んでも面白くない。


 昔はあんなに好きだったのに。

 小説を読んでも頭に入ってこない。


 やることなすこと、ぜーんぶ退屈。


 結局、寝るくらいしかないんだけど。

 なんだか寝付けない夜が増えてきて。

 お腹も空いたし何か食べようかな。


 気付いたら朝になってた、みたいな(笑)


 うつ病の事はネットで知識はあった。

 どんな症状なのかなって何となく知ってた。


 でも、なぜか自分は違う気がしていたんですよね。


 うつ病ってもっと落ち込んだりする病気だしさ。

 動けない日もあるみたいだし。


 自分はまぁ、動けるし大丈夫か。


 そんな甘々でゆるゆるな状態で生きていたら、ある時ぷっつんですよ。


 仕事も出来なくなったし。

 親もこの先どうするんだって聞いてくるし。

 何なら車とか買ったばかりだし。


 もうね、人生大ピンチ!

 激ヤバでストレスが急上昇。


 最終的に生活保護を申請するまでに、なんやかんやあったけど。

 それは別の機会にしましょうか。


 まぁ、そんな感じでね。

 急転直下で僕の人生バッドエンド。

 グッバイ会社って感じでね。


 そっと社会からログアウトしちゃったんです。


 でもね。

 すごーく、不思議な事なんだけど。


 安いアパートで一人きりでね。

 誰にも文句を言われない日々でね。

 決まった日にお金が振り込まれてね。

 病院代や薬代もかからない状況でね。


 それが快適じゃないわけがないじゃないですか。


 そんな風に言うとね、怒られちゃうんですけどね。


 裏を返すとめちゃくちゃ暇だし。

 孤独で押しつぶされそうになるし。

 誰かと比較すると自分が惨めになるけど。


 なんか、こうして今も生きてます。


 ゲームオーバーになったと思ったんですけどね。


 ああ、人生にゲームオーバーなんて無いんだなと。


 自分で強制終了ボタンを押すかどうか。

 でも、リカバリーもあるようで。


 もし、人生に絶望した人がいたとして。

 目の前に強制終了ボタンを押そうとする人がいたら。


 僕はなんて声をかけるだろう。


 人間なんていつかは死ぬし。

 自分の望んだ通りにならないし。

 嫌になる気持ちも超わかる。


 だからさ。

 どうせ死ぬなら楽しもうよ。


 大丈夫。

 そのボタンはいつでも押せる。


 せめてさ。

 その前に寄り道していこう。


 競争しない人生で生きて、

 疲れたら一緒に休んで、

 いろんな事を試してみよう。


 かの小説家、中島敦なかじまあつし氏はこう言ったらしい。


「人生は何事もなさぬにはあまりにも長いが、 何事かをなすにはあまりにも短い」


 そんな感じでね。

 生活保護受給者の僕が。


 ゆる~く、自分の人生について語っていきたいと思います。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る