幽霊のように消えた私

 光星くんの背中が小さくなる。

 これで光星くんと生きる人生は終わりを迎える。

 少しずつ透き通る体。

 どうやらタイムリミットのようだ。

 これで光星くんと二度と逢うことはできない。

 

「悲しいなぁ……」


 けれど、もう後悔はない。

 光星くんが前を向いて生きてくれる。

 それだけで私は満足だ。

 だから、さようなら光星くん。

 幽霊のように消えてしまった私。

 私自身は君に届くことはなかった。

 けれど、想いは君に届けることができた。

 だから、だから……


「今までありがとう光星くん」



 永遠に鳴き続けるように感じる蝉の声。

 青空と大きな入道雲。

 地面を焼き尽くすような日差し。

 幽霊のように消えた彼女。

 想いを受け取った彼。

 微かに吹く風が花束を揺らしていた。

 新しい夏が始まる。

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