第五話 襲来

「わ、わわ! なんすか!?」


 突然の出来事に慌てふためくロバート。

 こんな町のど真ん中でこいつらは一体何をする気なんだ?


 俺が警戒していると連中の一人が声を上げる。


「おいおいここから先は俺たちガレオ商会の縄張りだ。通りたければ通行料を払いな!」


「つ、通行料!? そんなの聞いて無いっすよ!」


「うるさい! 払えないならその積み荷を置いてきな!」


 男が積み荷に手をかけようと近づいてくる。

 おいおいソレは見逃せないな。


 俺は毅然とした態度でその男の前に立ちふさがる。


「なんだお前は? 痛い目会いたいのか!」


 男は短刀をちらつかせながら俺の襟を掴んでくる。

 あまり町中で暴れたくないのが仕方がないか。


 そう思い反撃しようとした瞬間、突然俺を掴んでいた男の腕がメキョリと音を立ててひしゃげた。


「「え?」」


 思わず男と俺の声がシンクロする。

 お、俺じゃねえぞ。


「マスターに対し何という狼藉。許せませぬ!」


 これをやったのは一郎だった。

 一郎は一瞬で俺と男の間に入り込み男の腕を両手でへし折ったのだ。

 うわ、えげつねえ。


「て、てめえ!」


「汚い口を開くな」


 そう言って一郎が男をポン、と押すと男はものすごい勢いで吹っ飛び近くの家屋に爆音をたててめり込む。


 当然男の仲間たちは困惑する。まさか目の前の細身の男がここまで強いとは思わなかっただろう。

 黒のスーツを着こなしている親衛隊の連中は傍目から見たらただの執事に見えるだろう。


「二郎三郎、お前たちも行くぞ」


 一郎が呼びかけると俺の体からスライムが二人飛び出し人に変身する。


「マスターは下がっていてください。ここは我々が」


 ずい、と三人は拳を鳴らしながら男たちに近づく。


「お、お許しを……」


「「「断る」」」



 ……その後彼らがどういう目に遭ったかは俺ももう思い出したくはない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る