2-5.スーリとフィリップの出会い

まずはクルムの事件の確認からはじまって、ジェイデンが用事で出ていき、フィリップとふたりきりになります。


そして意外にも――意外と思ってもらえるといいんですけど――フィリップとスーリに面識があることが明らかになります。


「こちらに移ってこられて以来ですな、お会いするのは」

「ここに住むことになったときには、家の手配でお世話になりました」


という、ふたりの会話ですね。スーリが山のおうちに引っ越して開業するときに、フィリップの手助けがあったわけです。なぜ一介の薬草医がそんなことまでしてもらえたのか、という謎は4部ラストあたりまで持ち越し。ただここでは、「美しい女性を庇護することも領主の仕事のうちですよ」と言わせて「そういうこともあるのか」と流してもらう作戦です。


フィリップに城内を案内してもらうくだりは、のちにでてくるキャラをここでチラ見せしておきたいのと、あとはスーリの知らないジェイデンの一面を見せたいというあたりが目的です。


このふたりの会話は、ほぼすべて伏線といってもいいくらい情報が濃密です。つまらなく感じずに読んでもらえるといいんですが。最終話まで読んでからこの回を読んでもらうと、「このことだったのか」と思ってもらえるはず。


その後、ジェイデンと合流。


せっかく出した図書室ですが、ちょっと会話をしてすぐ次のシーンに移ってしまいます。もったいなかったかな。読者のことを考えるとあまり舞台を変えず、キャラをうろうろさせないほうがいいとは思うんですけど、つい増やしてしまう悪癖があります。


ジェイデンが子どもの頃の思い出をスーリに語ります。本作の謎のひとつである「ジェイデンはフィリップ伯と王妃の不貞の子」説がここで初登場しますね。ですがジェイデンは国王似。このうわさにまつわるあれこれはクライマックスでも重要な役割を果たすものです。


全体に情報が多く、大事な回なんですけど、面白く書けているかはちょっと心配。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る