親の【どすこい相撲】を笑うな

【この小説は、性的な表現が多用されていたため、コンプライアンスに準じる形で修正を加えました。また、許諾を得ない二次創作に該当しそうな部分も修正しました】


 僕は、生まれてくる前には、バチカンの法王様にも、大統領にも、10億部を突破するマンガ家にも、ノーベル賞を受賞する科学者にも、黒字を出せる舞台の劇作家にも…何にでもなれる可能性をもっていた。だが、生まれ、生きていく事は、選択をする事、可能性の幅を狭めていく事。生まれてから、何がどうなって、自分で決めれる事、自分じゃ決めれない事。だから、運が悪いとか、タイミングが悪いとか、相性がどうだとか、そんな事がからみあって、だから、優しくなる事が、一番大事で、誰とどうやって、どのように生きて行く事を考えて…くそ!ふざけんな!あの【幕下力士】!何年好きだと思ってたんだ!やっとの思いで告白をして、それで、振るなんつぁーどういう事だッ!許せん、本当に、許せんッ!ちょっと前までは、次に会ったら、どんなリアクションをとろうだとか、また好きになれるかな…とか、また、次に、付き合える可能性は、どれくらいあるだろうか、だとか、来世ってのがあるなら、次の宇宙では、結ばれたいな、とか考えていたけど、そーいう優しい考えはもうお終いだッ!呪う、すべてを呪う。そして、誓う。俺は、未来に行く。体を冷凍保存するだとか、脳みそだけ保存しておくとか、そういう方法で、だ。どこまでの未来かというと、タイムマシーンが開発される未来までだ。そして、戻ってくる。現代の、今の、ちょっと前までだ。そして、アイツに出会う前の、あの、【幕下力士】に出会って、そんで、俺に惚れさせるんだ。もし、それでも、惚れなかったら、あの、あの【幕下力士】が、【力士】ぐらいだった頃に行って、そこで…


「はーい、そこまでねー。」


「やめてねー。」


「な、なんだ、あんたら、人の部屋に!?」


「はい、【横綱審議委員会】でーす。」


「あなたを逮捕に来ましたよ。」


「【横綱審議委員会】!?逮捕だと!?」


「はい。時間航行法違反の罪ですね。」


「あと、【力士】に【朝稽こ】…」


「ば、バカ言え!俺は何もやってない。」


「この人、明らかに、【力士】の方に反応したね。」


「まあ、まだ、何もやってないですが、時間航行法の取り決めで、将来、重要な時空犯罪を起こすと確定している人は、時間航行法にしたがって、逮捕出来るのですよね。あなたの場合は、時間航行の悪用が、それに、該当しますね。」


「そ、そんなの、悪用しない奴はいるのかよ?」


「………。」


「………。」


「なんだよ、そのニヤニヤ顔はッ!?」


「ま、そんな訳で、あなたは犯罪者なので、逮捕に来ました。このままでは世界を滅ぼしかねない。」


「あ、逃げられないですよ。観念して下さいね。」


「…そ、そんなの、どうせ嘘なんだろ。【横綱審議委員会】だって?なんか、マンガで読んだ事あるぞ、そんなの。お前ら、どうせどっかの劇団の人で、誰かに、アイツか?頼まれて嫌がらせにきたんだろう。どっかで、見た事あるもの、お前ら。ドラマか、CMに出てませんでした?もう、そろそろ、ネタばれでいいですよ。どうせプラカードを持った人が、玄関で待機してるんでしょ?ほら、僕、もう、気がついたよ?だから、出てきてくれても…!うお!ちゃぶ台が溶けて無くなって蒸発した!………お、俺は、どうされるんだ?し、死刑か?」


「そ、そんな野蛮な事はしませんよ。」


「ふー。性格矯正、みたいなモノですよ。」


「はは、塀の中か…何年ぐらいだ?」


「そ、そんな野蛮な事はしませんよ。」


「今から、あなたのご両親の【どすこい相撲】を冷やかしに行きますよ。」


「はぁッ!!!???」


「あなたが、お母さんの中で【稽古後のちゃんこ】して出来た【どすこい相撲】が執り行われた日に行くんですよ。」


「そして、冷やかします。」


「な、なんで、そんな嫌がらせをするんだッ!?」


「人の性格とか、その人の人生というのは、生まれる前、【稽古後のちゃんこ】の瞬間に決まるのですよ。今のあなたが、こんな犯罪者になってしまったのは、【稽古後のちゃんこ】が、何か不味かったからなんですよね。だから、それを、チョコっとずらしてやるんです。」


「いきなり、知らない人間3人に【どすこい相撲】を冷やかされたら、ちょっと、熱が冷めるでしょう。もしかしたら、その日は、やめてしまうかも知れないし、逆に、さっさと済ませてしまうかも知れない。何にしろ、【稽古後のちゃんこ】のタイミングは、変わるでしょう。そしたら…」


「い、嫌だ。親の【どすこい相撲】を笑うな。」


「別に笑わなくてもよいですよ。」


「そしたらまあ、【新弟子検査にやって】くるあなたは、性格が若干変わるでしょうし、もしかしたら、別の人になっているかも知れないし…まあ、同じように犯罪者になる事はない訳ですよ。なったとしても、それは、非常に確率が低いのです。」


「ま、まってくれ、今、俺が改心した。それで、ダメなのか?」


「………。」


「………。」


「だからなんだよッ!?そのニヤニヤ顔はッ!?」


「あ、のねえ。犯罪者になったから、私たち来たんですよ。」


「そんな、前提を覆すような事言われてもねえwww。やる前に言えってのwww。」


「だから、俺、まだやってな…」


「はいはい、もう行きますよ。」


「大人しくしておいてくださいね。あ、暴れても、これは、絶対に外れないですからね。」


「うお!手の中の玉が俺の全身を包んで身動きできなくなった!なんかこんな芸人がいたな!うお!空間に穴が開いた!」


「はい。乗って乗って。」


「ごろんごろん。」


 い、嫌だ!親の【どすこい相撲】なんてみたくない!自分が変わってしまうよりも!嫌だ!も、もし、すごくマニアックな【取り組み】だったらどうしよう!いや、そんな欲張りじゃあなくて、些細なことだ。きっと、【雲龍型】じゃなかっただけで、すごくショックだろう。【不知火型】と【かち上げ】だったら、どっちがショックなんだろうか。やっぱり、【不知火型】かな。でも、【かち上げ】だったら、あのずぼらな母親が、実は【どすこい相撲】のりのりみたいな気がして、すごいショックだ。それが父親の強制だったとしても!あ、あと、道具とか出てきたら、それも、ショックだ。【塩】と【力水】なら、やっぱり、【塩】の方が、ショックだろうか。一番ショックなのは、俺の知らない道具が出てきたらだろう。いや、そんな事よりも、嫌な予感がしてきたぞ。もしも、両親のどちらか、もしくは両方が、全然、知らない人だったらどうしよう。いや、若いから、見間違えるとか、そんなんじゃあなくて…


「「し、失礼しました!法王様!」」



※はてなグループ(サービス終了)で「DATE: 09/18/2009」に公開されてました。冒頭の独白は、漫画「もやしもん」からの引用のような感じで、そこからインスピレーションを受けて、この小説を書きました。【インスピレーションを受けただけで、二次創作しようとする意図はありませんでした】2009年当時も、ネットでバズってませんが、私は好きな小説です。


オチは言うまでもなく、過去が変わったから、主人公の身分も変わったというヤツです。


【2021年12月13日にカクヨム運営により公開停止となりました】

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