第2話 衝撃

 赤松さんの説明によると『暗躍者クリープス』の不穏な動きを察知した狭間さんが広井さんに連絡を取ろうとしている最中に、広井さんの心臓が……と言う。


「人間を始め『心臓』は『電気刺激』で動いています。 狭間様の見立てでは『暗躍者クリープス』が広井様の心臓にある『洞結節』と呼ばれる部分の電位をゼロにしたのではないか……と……」


 狭間さんが蚊の鳴くような小さな声で……


「……広井さんは……数少ない『特級スペシャル攻撃型アタッカータイプ策定者フォーミュレーター』……。 『暗躍者クリープス』も『変革者イノーヴァー』も敵わない筈……だったのに…… 」


 ……と言って、再び顔を覆った。


 白樺先輩が「その『暗躍者クリープス』は何処どこだ! 粉々にしてやる!」


 ……と、流れる涙を拭こうともせずに叫んだが、それをいさめるように赤松さんが……


「狭間様がおっしゃった通り、広井様は『特級スペシャル』中の『特級スペシャル』……現時点で、今回の『暗躍者クリープス』にあらがえる『守護使ガーディアン』は存在しません」


「だけど! だけど……う……うわあぁぁーっ」


 ……と、白樺先輩は子供のように泣き喚いた……。


 ……僕は……何も言えなかった。


 この前、何気なく白樺先輩に、広井さんとの関係を聞いた。


 ……広井さんは『異能』である白樺先輩たちのつらさを知る数少ないかたで、生き馬の目を抜くような彼女たちの日々の中、陰になり日なたになり寄り添ってくれた、最大の理解者だったと言う。


「え……嘘!?」


 ……狭間さんが泣き腫らした目を見開き、中空を見詰めている。


「停めて! 停めて下さい!」


 狭間さんが叫ぶと同時に、轟音と共に強い衝撃が僕たちを襲った!


 ……そして……何が起きたか理解できないまま、全身に激痛が走った……。

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