第2話 訓練学校生の俺が、自らの取柄の無さを思い知らされる話。

 IDに人の魂が正常に宿っている状態を「人格を有している」と言う。

 その人格が、失われることがある。


 発端は不明だった。しかし人格を失ったIDが暴走する事例が各地で複数確認され、問題視され始めた頃には、事態は既に手遅れとなっていたようだ。

 全世界で同時多発的に暴走した膨大な数のID群はその強力な特性を駆使し、人類社会を破壊した。

 もはや怪物と化した暴走ID群によって瞬く間に人の勢力圏はむしばまれ、いくつかの限られた主要都市へと押しやられることとなる。


 やがて各地の都市は中近世の欧州のように高い城壁で囲われ、それぞれの都市は自衛と勢力圏の奪還の為に戦闘団――都市兵団を組織するようになった。

 城壁も自前の兵団も持たない無防備な街は――トヲルの故郷、エクウスニゲルのように――遅かれ早かれ滅びの道を歩むしかなかった。

 怪物に対抗するための城塞都市と都市兵団。それが人類社会の拠り所なのだ。


 人や物の流れは限定的となり、文明レベルも中近世に近い水準にまで後退した。IDに合わせて確立していたソウル・フラクチュエーション――通称SFと呼ばれる技術によってある程度の社会インフラが辛うじて維持できたに過ぎなかった。


 ゼノテラスは、SF技術の活用が最も進歩している地域で、城塞都市の中でも特に人口が集中している中心地だ。ゼノテラスが組織する兵団もまた最大規模を誇る。


 十年後、トヲルは十七歳になった。

 兵士となり、放棄された土地――いわゆる彼岸から妹のメイを探し出すという希望を捨てきれなかった彼は、兵士の養成を担うゼノテラス兵団訓練学校に入学していた。



 ある日の夕刻。

 トヲルは、訓練学校の寮の自室で溜息をついていた。

 視線の先には中間考査の判定表がある。


 彼が宣告を受けた特性〈ザ・ヴォイド〉というものには前例がなく、どのような能力なのか今現在も不明のままだ。ただし視認することができない種族〈インヴィジブルフォーク〉の姿と兼ね合わせて考えれば、姿を消すことができる能力、と解釈することはできる。

 そのため入学当初は兵士としての活躍をある程度期待もされていた。

 だが。


 その特性は、つまるところ身体が見えなくなる――、だったのだ。


 まずトヲルの身体能力は平均以下だった。

 相手がトヲルを視認できない間に肉薄、近接攻撃を加え、速やかに制圧するという、彼の特性から当然期待されるべき行動が満足に遂げられない。対人訓練中も制圧にもたついている間に手探りで身体をとらえられ、逆に制圧されてばかりだった。


 遠隔攻撃に徹しようにも、射撃の腕が悪かった。命中しない矢弾には実用性がないばかりか、同士討ちの恐れすらあった。


 また、視認することはできなくても、気配そのものは消せないことが分かった。

 感覚が鋭敏な相手ならすぐに居場所を特定されたし、犬ほどの聴覚・嗅覚があれば消えていないも同然だ。そこまで素早く動くこともできないため、物音や、足元の土埃、木々の揺れから彼の動きを追うのは容易だった。


 結果として、彼の能力に近接攻撃専門のスレイヤーやストライカーの兵科適性はなかった。かといって遠隔攻撃専門のスナイパーやシューターの素質もない。もちろん前線を浸透突破するスカウトやレンジャーも不向き。


 トヲルの特性は、そもそも兵士には向いていないようだった。

 彼の手元の判定表は、あらゆる兵科において適性最低を示すD評価がずらりと並んでいた。


 溜息がもう一度漏れた。

「元気ないねえ、どしたの」

 大きく羽ばたきの音を立てながら、部屋の窓辺に人影が降り立った。

「クロウか」

 同じ日にチューニングを受けた幼馴染だ。


 トヲルはSF携帯端末からホログラムを投影させた。彼のアバターが立体モデルとしてその場に表示される。

 透明人間のままではどこにいるか分からないので、会話などの日常生活に支障を来たす。ホログラムは目印として利用しているものだ。その場しのぎで用意したので、フリー素材のモデルをそのまま使っている。大きさは二十センチくらいの、蛸のキャラクターが浮き上がった。


「これ見てくれ。中間考査の評価表……」

 トヲルは机に置いていた評価表を横に滑らせた。彼が触れていると透明になるので視認できないのだ。

 評価表に目を落とすなりクロウは噴き出した。

「うはああ、やっばいねえ、これ! トヲル、超劣等生じゃん!」

「そこまではっきり言われるといっそ清々しいよ」

 口には出さないが、失望の色を隠さない教員たちも同様に思っているのだろう。


「きみの特性〈ザ・ヴォイド〉って結構凄いと思うんだけどなあ。だって見えないんだよ? 今だって全裸ブリッジしながら部屋を這いずりまわってたとしてもぼくには見えないんだからねえ」

「何で人と話してる最中にそんな気持ちの悪い動きしなきゃなんないんだよ」

「え? しない? ぼくがきみだったら衝動的にしてると思うな」

「捨てなよそんな衝動。君は一応女子だろ……この場合男女関係ないけど」

「そうなんだよねえ。こんなんなのに女子なんだよ、ぼく。てっきりチューニングの時に性別も変わっちゃうと思ってたんだけど」

 クロウは歯を見せて笑いながら、黒髪の先を指でくるくる回した。

 その浅黒い肌とボーイッシュな口調は子どもの時から変わらないが、今のクロウは髪を長く伸ばして女子生徒の制服を着ている。発育が早くてスタイルも良く、もはや外見で彼女の性別を見誤る者はいない。今やその美貌と相まって、男女問わず学校中の人気者となっていた。


「とにかく客観的な評価の差が全てだよ。君は学園のたっての希望で特待生としての入学、ほとんどの兵科でA評価だろう」

 兵士になることにまるで興味を示していなかったクロウだが、その特性と身体能力を買われて特待生として学園に招聘(しょうへい)された。本人も特に断る理由がなかったらしく、そのまま入学を決めている。


「そうだねえ、ぼくの特性〈エアダンサー〉が唯一無二で素晴らしいのは当然なんだけど。ちなみにスレイヤーとスカウトの兵科は、S評価だよ。ふふふん」

 クロウは無邪気に胸を張ったが、不意に口の端に皮肉な笑みを浮かべた。

「……ただ特待生についてはどうだろうね。ぼくのこと監視するってのが一番の目的なのかも知れないよ。人外種の宣告を受けたぼくらって、結局彼らにとってはそういう存在なんだろうしね」


 だからさ、とクロウはトヲルのアバターである蛸の頭を撫でる素振りをした。

「同じ人外種のきみが学園にいるのは心強いんだよ。腐るのも分かるけど、要は身体能力が凡人以下ってだけだし、訓練続けてればそれなりに評価も上がるでしょ、多分」

「いまいち励まされてる気がしない言われようだけど……でもまあ、少しは元気も出て来たよ」

 トヲルは評価表をくしゃくしゃに丸めると、ゴミ箱に放り込んだ。


「それで何? わざわざ女子寮から飛んできたからには何か用があったんだろ」

「うん。ゼノテラス市長がこの後会見するらしいんだよ。一緒に見よう」

 クロウは自分のSF端末を取り出すなり、勢いよく傍らの椅子に腰かけた。

「ぐはあッ!?」

 トヲルが座っている椅子だった。

「うわっ、ここにいたのか、トヲル。ごめんごめん、ついアバターの方を本体だと思っちゃうんだよねえ」

「君の中では俺はちっさい蛸なのか」

「可愛いからいいんじゃない。むしろ見えない本体の方は邪魔だよね」

「とんでもないこと言い出したな。……で、市長の会見? それがどうかしたの」


 クロウは端末をいじって都市公共メディアに接続している。

「人外種についての話をするって噂を耳にしてね。思い過ごしならいいんだけど、ちょっと気がかりなんだ。ほら、一週間前の事件あったでしょ」

「ああ……」

「ところで座った感触からすると、きみ服を着ているんだね? 律儀だなあ」

「だから透明だからって何で全裸で過ごさなきゃなんないんだ。というか早くどいてくれ」

 クロウの身体を押しのけている間に、メディアから会見の様子が放送され始めた。



 ニコラス・ゼノテラス市長。

 城塞都市ゼノテラスの中核を担うゼノテラス財団の理事長にして、都市を率いる首長だ。スリーピースのスーツを隙なく着こなし、豊かな金髪をオールバックにした若々しい姿が画面に映し出された。


「ゼノテラス市民のみなさん、こんばんは。市長のニコラス・ゼノテラスです。今夜はみなさんにお伝えしなければならないことがあり、このような場を用意させていただいた」

 ニコラスは少し言葉を溜めた。

「一週間前の事件はみなさんの記憶にはまだ新しいはずです。威力偵察部隊として編成・派遣された兵団一個中隊が、城塞都市から数キロほど離れた地点で壊滅しました。兵団の作戦とはおしなべて危険なもの。しかしいみじくも訓練された部隊が都市近辺にて撤退する間もなく壊滅したとなると、これは未曾有みぞうの事態と言っていい。……無論、原因ははっきりしている。みなさんの耳にももう届いていることでしょう」

 市長は断言した。

「いわゆる人外種の暴走です」


 トヲルはクロウの顔を見やった。クロウも目の端でこちらを見ている。


 画面内のニコラスは言葉を続けた。

「人外種であれ、他のIDとは区別しない。ゼノテラスはその方針のもと、あえて人外種云々といった情報はおおやけにせず、社会に組み込んできました。今回の事件を起こしたIDも長年そのような形で兵士としての仕事に就いていた者で、問題の部隊の中隊長を務める実力者でした。種族〈ワーウルフ〉、特性〈ルナ=ルナシー〉――外見は一般的な人型のIDと区別は付きませんが、月の光を浴びると身体能力が向上するという特性を持ち合わせていました。折悪おりあしく、今回の派兵は月の明るい晩でした。あるいは月の強い光を直視したことで特性が過剰反応し、正気を失ってしまったものでしょう。……派遣中隊は、〈ワーウルフ〉である部隊長の暴走によって、内部から壊滅したのです」


 名前こそ伏せてはいるが、ここまで情報をおおやけにすれば問題を起こしたIDが誰なのかはその気になれば容易に特定できる。市長がすでにその〈ワーウルフ〉の権利を守る気がないのは明らかだった。

 トヲルの脳裏を、炎に包まれた故郷の姿、手を引いて一緒に逃げた妹メイの姿が去来する。あの時町を襲ったIDも、ワーウルフだった。


「かの者に人外種として一定の注意を向けていれば、例えば月が出ている時の派兵を避けるなどの運用によって今回の事故は防げたことでしょう。認めざるを得ません――人外種をその他のIDと区別しないという都市の方針は、誤りでした。差異は差異としてはっきりと認識し、その事実はあまねく共有されるべきなのです!」

 口調を強めた市長はそこで大きく息を吸い、静かに言葉を継いだ。

「……議会も全面的に私の考えに賛同してくれており、本日午後、ID改正特別法が成立しました。明日朝に公布され即日施行される方針です。以後、いわゆる人外種のIDは氏名、居住地、職業その他の情報全てを公開し、市民の誰もがその情報にアクセスできるようになります。また、人外種のIDには行政府の支給するマーカーの装着を義務とし、違反者は行政府がその身柄を拘束できるようになります。同じ過ちは繰り返すことはできない。環境の整備は順調に進んでおります。市民のみなさんにも、この取り組みに理解を示していただけることを切に望んでいます。不幸な事故を乗り越えて我々ゼノテラスは一致団結し、より力強く失地回復に邁進まいしんしていこうではありませんか!」



 端末を持っていたクロウが溜息を吐いた。

「ぼくの思い過ごしじゃなかったみたいだねえ……まるで人外種が諸悪の根源みたいだ」

「マーカー装着とかID情報の公開とかが法律で定められるなんて、もちろん最悪だけどさ。今までだって人外種ってことを別に隠してた訳じゃないし……ある意味周知の事実だった訳だろう。今まで通りと言えば今まで通りなんじゃないか」


 クロウは胸元に端末をしまうと、窓辺に背を預けた。

「いや今まで通りってことはありえないよ、トヲル。口じゃあ一致団結なんて訴えてたけどさ、要は市長は人外種という“敵”を作り上げたんだよ。明言は避けているけれど、この会見を聞いた人なら誰でもそう感じる」

「一致団結するのは、人外種以外が、ってことか」

「きっかけが最悪なのさ。部隊壊滅っていう事故の対策として、だよ? 裏を返せば、人外種は対策を打たないと事故の原因になる危険な存在だって言っているようなものじゃないか。ひどいや」

 日頃能天気なクロウも流石に口調が沈んでいた。



「……確かに。今までも差別的な雰囲気が無かったわけじゃないし、改正法がその雰囲気を助長してしまうかも」

「とにかく……明日からは少し気を付けた方がいいかもね」

「何かあったらすぐ相談しろよ。幼馴染の仲なんだからな」

 クロウは窓辺に脚をかけてこちらを振り返った。

「大丈夫だよ、ぼくは強いからね。きみも塩茹でににされそうになったらちゃんとぼくに言うんだよ」

「だから俺は蛸じゃない」

 トヲルの抗議の声を聞く前に彼女は大きく翼を広げ、夜空に姿を消していた。



 ゼノテラス市長会見の反応は想像以上に早かった。

 トヲルは翌朝、授業の最中に呼び出しを受けた。応接室に来客があると言う。


 出向いた先にいたのは、彼のいた孤児院のシスター、クリス・フォレストだった。

「よお、久しぶり。元気そうで安心したよ。つっても顔見えねーから全然分かんねーけど」

 ソファにふんぞり返って座ってにゃはは、と笑っているシスターは相変わらずの口の悪さだった。トヲルは蛸のホログラムを表示させて向かいのソファに座る。


「シスターも変わらないね」

「まあな。あたしの特性は〈ロンジェヴィティ〉。これ以上肉体加齢しないってIDだし、見た目はこの先ずっと変わらねーんだわ。孤児院の若くて美人の素敵シスターって需要には答えていかねーとな。つーかその蛸のアバターまだ使ってんのかよ」

「急にアバター変えたら俺って認識して貰えなくなるかも知れないし。クロウなんかはどうも蛸の方が本体だと思い始めてるフシがあるけど」

「ったく、あいつも相変わらず適当だな。しかしもう十年になんのか。うちの孤児院から同じ年に二人も人外種が出た時は正直びびったけど……お前ら二人ともいいコに育って良かったよ」

 クリスは出されたティーカップに口を付け、少し言葉を切った。


 トヲルは黙ってクリスが喋り出すのを待つ。

「……あのな、あたしは今もお前らの保護者だから言わせてもらう。トヲル、お前この学校辞めろ」

 トヲルは思わず微笑んでしまった。このシスターは昔から言いたいことをいきなりストレートに言うのだ。それが懐かしかった。


「急にシスターが学校に来たから普通の用事じゃないとは思ってたよ。昨日の市長会見が理由、なのかな」

「そうだ。人外種ってのはどこまで行っても特別視されるもんなんだ。大方はネガティブな方にな。あたしだってお前らが人外種の宣告受けた時には少なからず動揺したんだから」

「都市の外にいる怪物たちも、元は人外種のIDだものね」

「ああ。もちろん、お前らと長い間一緒に暮らしたあたしには今さらそんな考えはねーよ。でも世間は違う。多かれ少なかれ、人外種を警戒している。そこを同じ市民ってことで、ゼノテラスじゃこれまで上辺的には分け隔てのない関係を築いてきたんだ。市長は、改正法を作ってその上辺を引き剥がそうとしている。人外種を特別視し、区別し、警戒すべきだと言ってんだ。特に人外種の兵士が、今まで通りに過ごせるとは思えねー。分かんだろ」


 トヲルとクロウという二人の人外種を長年孤児院で世話してきたクリスには、世間の微妙な空気の変化を敏感に感じ取れるのだろう。今にも噴き出そうとしている差別、排斥、そのような不穏な暗雲が彼女にはすでに見えているのかも知れない。

「昨日、クロウとも軽くそんな話をしたよ。でもシスター、俺が兵士になりたいのは――」

「生き別れた妹を探し出して救い出す為だろう。メイと言ってたな」

 クリスは、頭巾からこぼれた髪を押さえるように手を当てた。


「もう十年だぞ……無事だったんなら、すでに助け出されているよ。彼岸じゃなくて、都市部で探す方が賢明じゃねーのか。ゼノテラスとは違う都市にいるかも知んねーだろ」

「分かってる。でも俺はもう一度、エクウスニゲルに行ってみたいんだ。そこに行けば、俺だけが気付ける、何か手掛かりが見つかるかも知れない」

「分かってねーよ。七歳のチューニングを受けてねーIDは必ず不具合を起こす。メイが助け出されずに今も彼岸にいたとしたら、それはもう――」

「ごめん、シスター。それ以上は言わないで」

「……ああ。ああ、そうだな、悪かった」

 クリスはティーカップに残った紅茶を飲み干した。


「学校を辞めること、クロウは納得したの?」

 今日は学校で彼女を見かけていない。

 クロウはあまり兵士に執着していなさそうだが、クリスは小さく首を振った。

「……学校から許可が下りなかった。面会もさせてもらえてねーよ。連中、クロウのことは逃がす気がねーみてーだ」

「どういうこと?」


「クロウの成績は知ってんだろ。実技、座学共に首席だよ。これIDの特性とか以前に〈烏天狗〉って種族そのもののポテンシャルなんじゃないかって話らしい。あいつはすでに学校から危険視されてて、監視の対象になってんだな。お前、昨日会見の時に話したんだって?」

 きっともう会うことすらできねーよ、とクリスは続けた。

「まあ、こっちはむざむざそんな危ねー状況にあいつを放置する気もねーがな。これからも学校とは交渉していくつもりだ」


「つまり……俺が今こうしてシスターと会って学校を辞める話をもちかけられているのは、学校が俺を見放しているからってこと……? 俺ぐらいの能力だったら、放っておいても問題ないって?」

 目の前が急に暗くなったような気がした。


「こうまであからさまな態度だと傷つくだろうが……ここは考えようだろ。お前がこの学校を見限ってやるんだよ。これ以上、兵団にしがみついてもお前の望む行く末は得られねーよ」

 トヲルは両手で頭を抱えた。しばらく声が出なかった。

「……メイを助け出す……その為に兵士になる……ディアナさんとそう約束して……今まで頑張ってきたんだ」

「ディアナ?」

「エクウスニゲルで怪物に襲われてた俺を助けてくれた兵士だよ。ディアナ・ラガーディアさん」


 クリスは目を見開いている。

「お前……聞いてねーのか。いや、伏せられてんのか? ディアナ・ラガーディアは一週間前に壊滅した例の部隊の中隊長の名前だぞ」

「……え?」

「事件の原因、特性〈ルナ=ルナシー〉持ちの人外種〈ワーウルフ〉ってのはそのディアナのことだ」

 それを聞いたトヲルは、今度こそ言葉を失った。



つづく

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