記されぬ舞台

2021/12/04

Night8:身から出た錆


 公安無記課と名乗る老婆が、『光を折り紙に変える男』を”停止”させてからすぐ、同じく割って入って来た黒スーツの集団がおれたちを拘束した。ちょっと乱暴だったが、破った法律の数を考えたら懲役何年になるか解ったものではなかったので、特に抵抗はしなかった。


 その様子を見ていた老婆は、停止したまま電柱みたいに棒立ちになった男を運ばせた後、去り際にちらりと俺の方を見て呟いた。

たまきに感謝することさね。あの子の口添えがなきゃ、間違えてあんたを処分しているところだったよ。若いモンがそこまで暴力慣れするもんじゃあない』


 そのあとすぐに、目隠しや耳栓や手錠を掛けられ、ついでに背中に硬いものを突き付けられた状態で、パトカーとは異なる感触の(警察官だった父の運転で何度か乗らせて貰ったことがある)シートを備えた車に載せられた。

 車はしばらくグルグルと路地を回っていたが、ある時点でおれの首筋にちくりと痛みが走り、その後ふわりと浮き上がる感覚と共に路面から感じる振動が途絶えた。たぶんダウナー系の薬物を打たれたのだろう。

 そしてどれほど、意識の暗黒に包まれていただろうか。


 ■■■■


 ――瞳の奥から、海の音が聞こえる。


 目がいた。

 微睡みのなかで、短い映画みたいな夢を見ていた気がする。

 内容を思い出そうとしたが、映像の断片すらも流水のようにするりと記憶の網を抜けて消えてしまっていた。

 おれは奇妙な部屋に座らされていた。

 拘束も解かれているし、右腕の怪我も治っている。

 仕方がないので、手持ち無沙汰に辺りを見渡す。


 眩しい。まず、その白さが目に付いた。

 四角平方の部屋だ。壁も床も天井も全部マットの利いた白で覆われている。

 それ以外で目ぼしいものと言えば、天井の円窓くらいだ。

 窓ガラスからは青空がのぞいている。

 それで終わりだ。他には何もない。

 窓と白い壁面だけがこの部屋の全てだった。

 しばらく観察していると、不意にぷしゅうと言う音がして、おれの意識が途絶えた。


 ====


 眩しい。まず、その白さが目に付いた。

 四角平方の部屋だ。壁も床も天井も全部マットの利いた白で覆われている。

 それ以外で目ぼしいものと言えば、天井の円窓くらいだ。

 窓ガラスからは青空がのぞいている。

 それで終わりだ。他には何もない。

 窓と白い壁面だけがこの部屋の全てだった。

 しばらく観察していると、不意にぷしゅうと言う音がして、おれの意識が途絶えた。

 

 ====


 眩しい。まず、その白さが目に付いた。

 四角平方の部屋だ。壁も床も天井も全部マットの利いた白で覆われている。

 それ以外で目ぼしいものと言えば天井の円窓くらい。

 窓ガラスからは青空がのぞいている。

 それで終わりだ。他には何もない。

 しばらく観察していると、


 ====


 眩しい。白い。

 四角平方の部屋。壁・床・天井・全部マット利いた白。

 あとは天井の円窓くらいだ。

 窓ガラスからは青空。

 それで終わりだ。

 しばらく観察

 ぷしゅう。


 ====


 眩しい部屋。白い。

 青空。円窓。

 しばらく

 ぷしゅ


 ====



音籾ねもみさん。ちょっと来て下さいよ……有動航のコトなんスけど」

 最大限機嫌を損ねないよう揉み手しつつ、僕は音籾さんに伺いを立てる。

「もう一か月くらい『迷路』に居るのに全く変化がないんスよ」

「何だい佐備沼さびぬま。環が飼ってたデカ男のことならあたしも知らないよ」

音籾さんが鋭い眼光だけを蠢かして僕をみた。

「どうして公僕の癖にそこまで口が悪いんスか? って言うか、今までこんなことありませんでしたよね……?」


 僕は無記課備品のモニターに映る、大柄な青年を指さした。

 有動航うどうこう。二十歳男性。職業は大学生で、東京都北区の自宅から千代田区市ヶ谷の鳴応大学に通学している。

 父親は静岡県在住で、島田市の交番に勤める巡査部長。

 母親も同じく静岡在住の専業主婦だが、こちらは四年前に鬼籍に入っている。

 

 成績は優秀で、交友関係も歌舞伎町に勤める友人――同じくロレム・イプサムだった尾武嵐おだけらんが居る他にはそう目立つ部分もない。高校三年生の時に剣道でインターハイ決勝まで勝ち進んだが、理由不明の途中棄権で敗退。

 その後は剣道から距離を置くも、運動サークルの助っ人や周囲からの頼まれごとによく力を貸しており、ほとんど一人の時間を持たなかったという。少し危なっかしいエピソードだが、取り立てて語るほどのことでもない。

 また、失踪届が出された海嶋円果という女性と交流があり、彼が〈舞踏会〉を追っていたのはそのためだとされる。


 よって、家庭に少し暗い影が覗くこと以外……能力を手に入れるまでは若干お人好し気味の一般人でしかなかった、というのが彼の基本調査からの印象だった。

 他の無記課の連中だって僕と概ね同じで、環さんと音籾さん以外は……〈舞踏会ワルツ〉の折口と、逃げたもう一人を警戒していたはずだ。

 そして最後の一人――尾武嵐おだけらんに関しては、完全に有動航に巻き込まれた一般人だろう。何しろ彼は捕まって一番に、有動航の安否を心配していたからだ。何回も取り調べをしたが、証言に矛盾は見られなかったし、彼を庇って自分が罪を償うというような旨の発言も見せていた。

 

 ツいてないと思う。僕は本当にツいてない。

 この僕、佐備沼堅吾さびぬまけんご二十六歳の人生は運のないことばかりだ。

 いつも貧乏籤を引かされてばかりいる。

 東京タワーをぼろぼろにした借金を返すために公安に雇われ、精神衛生に良くない警察の汚れ仕事を十年間も無遅刻無欠勤でこなし、恋人の一人もいない。


 そうだ――今思えば、とりわけあれが一番良くなかった。

 十年前くらいに東京タワーを能力で錆びさせて崩落寸前まで追い込んだことだ。

 でも……仕方なかった。誰かがやらなければならなかった。

 テレビ局を乗っ取った頭のおかしいロレム・イプサムの犯行を防ぐために、こちらも物凄く無茶をする必要があったのだ。

 もともと自分は中卒で電線の作業員をやっていたから、公共の電気をアホみたいな犯罪に使われるのにめちゃくちゃ腹が立って、出鱈目には出鱈目で返そうと思い立ったわけだ。だが、あの時変な正義感に駆られてしまったばかりに――その後の人生、一生損な役回りを押し付けられることになった。

 今だって、恋人を探す健気な大学生の精神を壊す仕事を任される羽目になっているし……何より、その作業が全く上手く行きそうにないのが最悪だった。


 結論から言うと、有動航は怪物だ。


 公安無記課が有動航を『記述迷路コールド』に監禁してから一か月が経過したが、全く〈代数能力アルゼブラ〉を喪失する様子がない。どう考えても異常だ。

 規定通り食事や生理現象は催眠ガスで昏倒させている間に対処させているし、会話も誰ともさせていない。精神をギリギリまで追い込んでいるはずだ。

 僕は頭を抱えた。きつめのブラックコーヒーを飲んでも全然解決法が思い浮かばない。こんなことは初めてだ。

 大抵のロレム・イプサムは自分以外の要素の全てが存在しない『記述迷路』に一週間監禁すれば、自身の欲望を喪失する。だが、彼は一か月もそういう状況に置かれて、動揺一つ見せない。『記述迷路』に閉じ込められている間は、常に窓から映像を流し、認識を『昼』と錯覚させることで〈代数能力〉を封じ込める措置を取っているが、その試みもこれほど長期間の使用に耐えうるかは疑問だった。


 『記述迷路』の前提原理として、『欲望』は社会との関わりで生まれるという理論がある。人、集団、社会、それぞれの関係の中で、他者との比較の勾配が発生し、その高低差こそがそのまま欲望となるからだ。他人と比べなければ、知らなければ、能力や資本、愛情や承認を望むこともない。

 そして、ロレム・イプサムの力の源である『無記名の欲望』……個々人に深く根差す唯一の欲求も、『欲望』と名が付く以上、あくまで精神に根差したものだ。


 ならば、その欲望の源となる『社会』すらも遮断してやれば、ロレム・イプサムは〈代数能力〉を発揮できない。欲望を求める精神そのものが変異を来たし、能力を使うどころの騒ぎではなくなるからだ。

『記述迷路』によってもたらされるのは、存在の危機である。

 よって、『無記名の欲望』よりも更に大きな欲望が頭をもたげることになる――すなわち存在の欲求だ。誰かと関わり、誰かと触れあい、自分がここに『いる』ということを証明しようと必死になる、一種の躁鬱状態が定着する。

 収容者は自らの欲望を記せず、自己矛盾の迷路に陥るのだ。


 そういう状況が一週間も続けば、大抵は能力の源である『無記名の欲望』を不可逆的に喪失し、ただの人間になる。そのはずだった。

 これは公安無記課のひとり――夜嘴環よるはしたまきが開発した能力者に対しての独房であり有効な矯正手段だ。約三十年前に公安無記課が発足してから、延べ二千人ほどをこの『記述迷路』によって、能力が使えなくなる――いわば『記述破綻コールドケース』状態に追い込んできたのだ。

 だが、状況は悪化しつつある。有動航の異常な耐性によって。


 僕の焦燥を余所に、音籾ねもみさんはモニターをこつこつと節くれた手で叩く。

 その乾いた音で、少しだけ精神が落ち着いた。

 この人がこういう仕草をしている時は、まだ余裕が残っている。そうだろ?

 僕は何だか元気が出て来た。考えようによっては、これは音籾さんに自分を認めさせるチャンスかもしれない。さっさと出世して東京タワーの修理費用を稼ぎ、公安無記課から抜けてのんびり暮らすのだ。


「大丈夫です。まだ時……時間はたっぷりあります! 僕が解決しますよ!」

「もう一か月経ってるんだがね」

「落ち着きましょう音籾さん。こういう時こそ刑事は冷静にッス」

「佐備沼のボーズ以外皆落ち着いてるよ。そも、あんた刑事でなく電線屋上がりだろうがい阿呆垂あほたれ」


 音籾さんが何か言っていたが、冷静さを取り戻した僕の耳には聞こえない。

「まずは状況を整理しないと……これは環さんの指示っスよね? 環さん、有動航のこと、出版社の偽装身分で飼ってたんでしょ? こうなること解ってたんスかね。有動航が〈代数能力〉を覚醒させた挙句、〈舞踏会〉と張り合うなんて」


 僕はなるべく慎重に……冷静な刑事っぽく聞こえるように声を押し殺して尋ねた。気は進まないが、人員不足の無記課では僕がエースになるしかない。

 そんな僕の思いが通じたのか、音籾さんは鷲鼻を鳴らし、やっと僕の方を見た。

「環曰く、たまたまだとさ」

「たまたまァ!?」

「声が大きいと言うんだよ阿呆」

「イヤ、そんなことあります? あの人メチャクチャ秘密主義じゃないッスか……話もなんか異常に解りにくいし、オマケに煙草で煙たいし……」

「後半は聞かなかったことにしてやるよ。だがね、ここじゃ環の嬢ちゃんが頭だ。そして残念ながら、あの子が結果を出さなかったことは一回もない」

「要は『何も聞かないで黙って従え』ってことッスか?」

「あんた意外と話が分かるじゃないか。その通りだよ。少なくとも、こっちの体力が尽きるまでは……環の男との意地比べに付き合う他ねえだろう」


 うげえ、という声が出たのが自分でもわかった。

 ……そうだ。彼の『我慢比べ』は確かに有効な手段だった。

 代数能力者に対し、公安無記課が対処するべき業務はあまりに膨大だからだ。

 公安の業務は日本の治安の維持だが、対ロレム・イプサム戦が主体の公安無記四課の場合、その危険度は外事や刑事課と比べて段違いに跳ね上がる。

 だから表面上の平和を保っているこの国では、ある意味無記課こそが対テロとの最前線と言っていい。

 どれもこれもたまに出る頭のおかしいロレム・イプサムのせいだ。

 特に〈舞踏会〉なんかは最悪だ。本気で大きな目的を成し遂げるつもりでいる。


 本当は、出来る限り穏便に仕事を済ませたい。東京タワーを錆びさせた時だって、同じことを考えていた。僕が貧乏くじを引かなくて済むような世界にするために、僕は頑張って戦っているだけで。この力を手にした時から争いごとなんて大嫌いだ。

 

 

 

 能力者は、誰かによって生み出されているわけではない。

 〈舞踏会〉以前に、明確に統率立った組織が闘争を仕掛けて来たわけでもない。『こいつを倒せば解決する』というような明確な終わりゴールは、ロレム・イプサムには存在しない。人類が繁栄する限り、その欲望に果てはないからだ。

 だから、無記課の基本方針も、そいつら能力者を潰し合わせて、“正義の味方”――ヴィジランテの出現を待つという消極的なものだった。

 信じられないが時々現れるのだ。都合の良い、神様のような“正義の味方”。

 呆れるほどのお人好しで、自動的に人を助ける掛け値なしのアホ。

 だが、そう言う奴は人材不足の無記課にとっては非常に都合がいい。

 だから“正義の味方”が現れるまでは適度にマークしつつ能力者にはガス抜きをさせて、そいつが現れたら無記課に勧誘する。

 というか、僕も……一応“正義の味方”としてで勧誘されたクチではある。


 もっとも、当然ながらそういうやり方は効率が悪い。

 “正義の味方”なんていつも現れてくれるわけじゃない。

 それでもそんな不確かな手法を取っている理由はシンプルで、実際のところ無記課といえど正確な代数能力者の数は把握できていないからだ。

 ロレム・イプサムの出現はアトランダムだ。ほとんど能力者が現れない年もあるし、逆に雨後の筍みたいに百人・二百人単位で確認されることもある。

 そして永田町の言い分では、『現れるか現れないか判らない超能力者のために自衛権を行使するなんてバカらしいし、同じ能力者に潰し合わせれば良い』ということだった。当然だ。僕が政治家でもそう考えるだろう。


 そもそもこの仕事をして理解できたことだが、〈代数能力アルゼブラ〉を他人を傷つけるために使う奴なんてほとんどいやしない。自分の能力に戸惑ったり気のせいにしたりする奴が大半だ。だからそういう人には無記課が駆けつけて丁寧に事情を説明するし、催眠とカウンセリングで能力を消して、記憶を弄ればそれで終わりだ。普通の人間ならそれで片が付く。


 問題は、力を使って体制を転覆させようとする人間だ。

〈舞踏会〉は久しぶりに現れた明確な『脅威』だった。

 能力者の潰し合いを加速させているという点では確かに利用価値はあるが、派手にやり過ぎだ。実際今回のように、一般人にも被害が出ている。

 

 他人より多少強い力を持っただけで、どうして人を傷つけて良いと思うんだろう? 

 

 サッカーの才能がある奴だって、『可能だから』という理由でシュートを他人の顔面にぶち込んだりはしないはずだ。だから何の躊躇もなく〈代数能力〉を他人に向けて使える奴はやっぱり頭がおかしい。


 だが、ふと脳裏に疑問がよぎる。

 ……有動航は、なのだろう。

 もしも、この男が〈代数能力〉を躊躇なく他人に『使える』側だとしたら?

 確信はなかった。だが、何故かひどく背筋が寒々しくなる。

 僕は首を振ってその考えを否定した。


「音籾さん。次のガス散布は僕が行きます」

「……佐備沼のボンがかい?」

 音籾さんはがらがらと壊れかけのギロみたいに笑った。

 孫みたいに思われてるのだとしたら、たまったものじゃない。

「このまま永遠に彼を閉じ込めるわけには行かないでしょ。効果の薄い方法を続けるよりも、彼と対話を試みるべきッス」

「フン。環の嬢ちゃんが怖くねえのかい」

「無実の人間を壊す方が怖くないッスか? 倫理観戦時中かよ……」

 反射的に言い返してからヤバいと気付いてしまったが、音籾さんは不服そうに鼻を鳴らすだけだった。止められなかった、ということは……一応は許されたのだろう。ほっとした。彼女とはやり合いたくない。

 音籾ねもみウト。大戦時の工作員の一人で、齢八十を超えてなおも今が全盛――そういう与太話を無記課の仲間から聞いたことがあるが、あながち嘘とも思えなかった。音籾さんの判断力は無記課の中でもトップクラスに鋭いと言っていい。

 だから、彼女が許可を出したということは――死にはしないはずだ。多分。


 僕は無記課の執務室を出て、廊下の監視カメラに顔を向け二回足踏みをする。


 Culpa.

 Culpa.


 視界の端に二度、光の文字が焼き付き――

 レンズを切り替えるように空間がスライドした。

 次の瞬間には既に僕の身体は『記述迷路コールド』のゲート前に佇んでいる。無記課にはこういう座標を編集する〈代数能力〉を持った人間がいて、建物内での移動を管理している。超能力を扱う以上、例えば頭を覗かれたり中身を吸い出されたりする可能性があるから、味方にも詳細な職場の構造は知らされないのだ。


 警備員に手帳を見せ、『記述迷路』の独房正面に立つ。

「ガス出せ」

「了解。青七番噴霧」

 警備兵が無線で管制室に連絡する。

 するとぷし、と部屋の中から排気音が立ち、続いてどさりと人の倒れる音。

 ガスが充満し、有動航を昏倒させたのだ。

 吸って、吐く。

 眠っているとはいえ、『迷路』に入ったままのロレム・イプサムと対面するのは初めてだった。ぴょんぴょんと飛び跳ね、緊張をほぐす。

 白いドアがエアロックを解除し、気密が解かれて――


 



「こんにちは」



 有動航が立っている。

 朴訥で、生真面目な声色だ。

 なのにこれほどまでに全身が総毛立つ。

「一か月くらいかな? 流石にかなり待ちましたよね」


 ――マジか。一か月何もない部屋で隔離したのに?

 ――ガスが効いてない。粘膜吸収のはずだろ?

 ――まさか粘膜表面を『硬化』させた?

 ――こいつの〈代数能力〉は?

 ――普通に喋ってる?

 ――目的は報復か?

 ――避難を、


「尾武と先輩はどこですか。夜嘴さんは?」

 有動航が僕たちに手を翳す。

「逃げろ! コイツは僕が」

「――〈代数能力アルゼブラ〉。大気を柔らかくして」


 有動航の姿がれ、


「弾ませる」


 l o r e m !


 ばぎん

 と

 空気が割れるような音。


 心の中で舌打ちをしながら、僕はスーツの右腕をはぎ取る。下に隠された包帯が解け、錆に覆われた右腕が露わになった。


「やっぱり僕は、貧乏くじばっかりだ」

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