魔法少女マジカル☆ドリーマーズ

まめいえ

プロローグ 夢喰いの復活

00-Pro いざ行けリーサ! マジカル王国崩壊の危機!

「夢喰い」の封印が解かれてしまった。



 あっという間にマジカル王国の至る所に、黒い影の化け物が次々と現れて、人々の夢を喰らっていった。

 

 魔法で交戦する者たちも多かったが、圧倒的な敵の数の前には無力であった。夢を食べられてしまった人はその場にばたりと倒れ、意識を失ってしまう。

 夢は未来への原動力、すなわち生きる力といっても過言ではないから。

 

 ついに黒い影の化け物はマジカル王国の中心にあるお城まで迫ってきた。

 

 城を囲むように張り巡らされた魔法の結界が、はじめは敵の侵入を防いでいた。しかし、数え切れないほどの黒い影が集中して衝突を繰り返すことで結界が破壊されてしまった。そこから勢いよく黒い影がお城の中へと侵入していった。



 ☆★☆



「お父様!」

 

リーサは結界が破られたことを察知し、体を震わせながら叫んだ。隣にいた彼女の母が、大丈夫だから……と、リーサの体をぎゅっと抱きしめる。


「どうしてこんなことに……」

 リーサがそう呟いて、目に涙を浮かべる。



 ――「夢喰い」の存在を知っていて、なおかつ封印を解くことができるのは王族の四人だけ。となると、考えられるのは一人しかいない。この場にいない、私の妹マーヤ。どうしてあの子がこんなことを……。



「来るぞ!」

 リーサの父である国王がそう叫ぶと同時に、大量の黒い影が窓を割って侵入してきた。それを彼は魔法を使って一気に消し去った。

 母もリーサを守るように彼女の前に立ち、両手を広げて小さな結界を作る。残った数匹の黒い影が結界に向かって突っ込んでいったが、それに触れると同時に消滅した。


「や、やっつけた?」


「いや、これは『夢喰い』が生み出した化け物にすぎん。『夢喰い』自体は別のところにいるはずだ。それを叩かなければ……」



 会話を遮るように、敵の第二波が次々と侵入してきて国王に飛びかかる。それをまた、彼は強力な魔法で次々と倒していく。


 しかし敵の数は止まるところを知らず、次から次へと部屋の中へと入ってきては攻撃を繰り返す。ついには天井を破壊し、真上からも黒い影の化け物が襲いかかってきた。


「ぐわああああ!」

「お父様!」


 敵の圧倒的な数が国王の魔法の威力を上回った。体から夢を奪われてしまった国王は無言のままその場に倒れた。



「いやあああ!」



 続いて黒い影は母とリーサに向かって突き進む。母の作った結界は強力で触れるだけで敵は消滅するが、それでも黒い影の化け物が数百、数千と際限なく襲いかかる。両手を広げ、魔力を使い続けている母にもだんだんと疲れの色が見え始めた。



「リーサ」


 母がそう言って、片手をリーサの頭へ置いて優しく撫でる。


 すると、リーサの首にかかっていたペンダントが強い輝きを放ってゆっくりと宙に浮かび上がり、彼女の体を暖かい光が包み込んだ。



 ――これは異空間魔法!? お母様は何をするつもり……はっ!!



 リーサは気付いてしまった。お母様は勝ち目がないと悟り、私を逃がそうとしている。駄目だ、私だけ逃げるなんて! そんな想いが表情に出ていたのか、リーサの顔を見つめて安心させるように微笑むと母は言った。



「人間界に行って、マジカル☆ドリーマーズを探すのです。あなたとその者たちで再びここへ戻り、力を合わせて『夢喰い』を封印するのです」


「え……?」

 突然のことにリーサは何も言えなかった。マジカル☆ドリーマーズ。小さい頃に母から聞かされてきた昔話だったが、まさかこんなときに再びその名前を聞くとは思わなかった。



「心配しなくても大丈夫。そのペンダントが導いてくれるわ」

「いや、お母様! お母様!……」



「たのんだわよ、リーサ」

 そう言った直後に結界は破られ、母は大量の黒い影の化け物に夢を奪われてその場に倒れた。


 声にならない声をあげてリーサは母に手を伸ばそうとするが、体が光の中に吸い込まれていき届かない。それと同時にリーサの視界は真っ白になった。



 ☆★☆



 一方、こちらはマジカル王国のどこかの洞窟の奥深く。

 

 暗闇の中に「夢喰い」がいる。封印を解かれてすぐの状態だからかまだ実態はなく、黒い影がうずまいたようなものの中に二つの赤い目玉が怪しく輝いていた。


 その近くに、リーサに瓜二つの少女がひざまづいている。



「リーサが人間界に逃げた。マーヤよ……お前も人間界へ行きやつを始末し、人間どもからも夢を奪ってくるのだ。そうすれば私の体も完全復活するであろう」


「はっ、仰せのままに」



 すると「夢喰い」から黒いエネルギーが放たれて、マーヤと呼ばれた少女の体を包み込んだ。彼女は一瞬体をビクッと震わせたが、深く息を吐くとそのエネルギーを全て吸収した。そして、目の奥が一瞬赤く輝いた。


「お前に私の力を少し貸してやろう。姉よりも力があることを証明するのだ……期待しているぞ」



「はい……この力があれば私が姉に負けることはありません……」

 マーヤもまた、「夢喰い」の異空間魔法によって人間界へ行くこととなった。



 ☆★☆



 <次回予告>

 こんにちは、私リーサ。マジカル王国のお姫様。だけど突然復活した「夢喰い」に国が襲われてしまったの。なんとか逃げ出した私は人間界で「マジカル☆ドリーマーズ」を探すことになるんだけど……。たくさんいる人間の中からどうやってみつければいいのかしら?


 新番組「魔法少女マジカル☆ドリーマーズ」

 第1話「誕生! マジカル・バタフライ!」


 このプロローグはなんだかシリアスな話だったけど、次からは訳のわからないふざけた話になるらしいわよ!


 次も必ず読んでちょうだいね!


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