エピソード5 寄港先:港湾都市クレセール

 午後14時30分、輸送船クレカドールの救援活動に来たアレス級攻撃型潜水艦は、死傷者から先に救助していた。

「いやぁ、非常に助かりましたよ!まさか、回航中に機雷に接触するなんて」

 聞けば、物資輸送後クレカ公国に戻る途中に機雷群不発海域に誤って入ってしまい、被害を被ったらしい。

「大変でしたね、それは」

「そうですよ!もう艦と共にを考えていましたから」

「「ハハハ!」」

 クレカドール号の艦長リルアヘイドは、メルストリアとお茶を楽しみ、談笑していた。

「良ければ、クレカ公国まで送りましょうか?コレも何かの縁ですし・・・」

「ありがたい!是非、お願いします」

 リルアヘイドを応接間に残して発令所に向かうと、「航海長カティーナ、クレカ公国に行くぞ。機関長ユラ、両舷前進全速、潜航開始!」という指示を其々それぞれに出した。


 午後14時50分。

 クレカ公国の港湾都市クレセールに入港したアレス級攻撃型潜水艦は港に停泊したのちにメルストリアとリルアヘイドの2人で交易窓口にて輸送船クレカドール号が機雷接触の末に沈んだ事と乗員・死傷者も合わせて送り届けたことを伝えていた。

「いやぁ、本当に助かりました。この後はどうされるおつもりで?」

「エルガー海に戻ろうと思います。あの海は、いえ・・・あの場所が俺たちの居場所ですから」

 軽く敬礼をして港に向かって去って行くメルストリアの背中をリルアヘイドは、ただ呆然と見送っていた。

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