4#彷徨うショジ

 「オマ~~~!!オマ~~~!!どこぉ~~~~~!!返事してぇ~~~~!!オマ~~~~!!」


 雄トラのショジは、青い大きな風船を追いかけて行方不明になった愛妻のオマを探して、ジャングルや山地の密林の中や、荒野、河の畔、時には道路や人家の近くに至るまで歩き続けた。


 「オマ~~~!!オマ~~~!!どこぉ~~~~~!!返事してぇ~~~~!!オマ~~~~!!どこだーーーー!!返事してぇ~~~~~~~!!」


 トラの威厳を損なう事を覚悟に、

 何時もは『獲物』のイノシシやシカやウサギ連中に聞いても、

 何時もは『ライバル』のクマやドール連中に聞いても、


 「分からない」


 「知らない」

 

 「風船?なにそれおいしいの?」


 「つがいに逃げられたんじゃね?」


 「死んだんじゃないの~!!」


 「はいはい自業自得自業自得!!」


 「こっちは忙しいんだよ!!」


 と、誰もがあしらわれた。


 「そうだよ!どうせ僕の自己責任だよ!僕が・・・ちゃんとしていれば・・・

 僕は愛するものを守れなかった・・・!!」


 雄トラのショジは、責念と焦りと絶望で感極まって大粒の涙を流してベソを掻きながらも、何処へ行ってしまった愛妻のオマを探し回った。


 「オマ~~~!!オマ~~~!!どこぉ~~~~~!!返事してぇ~~~~!!オマ~~~~!!オマ~~~!!オマ~~~!!どこぉ~~~~~!!返事してぇ~~~~!!オマ~~~~!!どこだーーーー!!返事してぇ~~~~~~~!!」


 探しつかれた雄トラのショジは、遂にダウンして草むらの中で寝そべった。


 「ダメだ・・・何処にもオマはいない・・・オマ・・・オマ・・・何処に行っちまったんだ・・・」


 雄トラのショジはうつ伏せで、おいおいと泣きじゃくった。


 その時だった。



 ふうわり・・・



 涙目で真上の空を見上げたとたん、あの青い大きな風船が上空を横切って飛んでいくのを発見した。


 「あの向こうに、愛するオマが居る!!きっとオマが居る!!待ってろオマよ!!」


 雄トラのショジは目の涙を振り払うと、青い風船の行方を空を見上げて追いかけていった。

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