♯2 Cazador

ラテンアメリカ系カナダ人の男、ゼブラ。元ハリファックスのマフィアだったが1人で壊滅させ、人生を変えるためこの男は4年前ニカラグアを訪れる。ニカラグアでのある暗殺業務を承ったゼブラは遂行中に、同じ暗殺をしようとしていた男がいた。それは「コーン」だった。それが2人の出会い。


その後、面白がってゼブラはコーンと付き合うようになり、今は右腕な存在となり得た。


AM5:00


ここは港コリントの外れ。そこにコーンの小さな船がある。コーンが出港の準備をしていると1人の男が訪れた。




〈ボーン〉やあ、コーン




〈コーン〉ボーンか、どうした?




〈ボーン〉自分の手から君にこのブランデーを渡したい




〈コーン〉そうか、徹底してるんだな。てっきり付き人や知り合いから渡されるものだと思ってた




〈ボーン〉そうしようと思ったが、やめた。これは俺の宝だ。希少なブランデーなんだ、俺本人からじゃないと気がすまない




〈コーン〉あんたは俺と似てるな




〈ボーン〉よせよ




〈コーン〉そのブランデー、必ず守るよ




〈ボーン〉悪いな変な仕事頼んで




〈コーン〉こっちはそれで稼いでるんだ。そのブランデー、もらうよ




コーンはブランデーの入った豪華で頑丈な革のバッグの取ってを持った。




〈ボーン〉コーン、場所などは追って知らせる




〈コーン〉ああ、わかった




すると、コーンは船内に入って港を出発した。いつもは心地よい風なのに、今日はなぜか冷たい風だった。そんな中ボーンは船が海から見えなくなるまで見届けた。




ボーンはどこか、不穏な顔をしていた。何か心配な事でもあるのだろうか。




船内はというと、現在はもうエクアドルを越えようとしていた。もうすぐペルー近くだ。すると、船内の無線が鳴る。




〈コーン〉はい、こちらタラモア1010号。任務遂行中だ




〈男〉上手く進んでるようだな、ボーン様は忙しいので私が代わりに説明致します。そのブランデーを毎日バッグ確認してください。そして、受け取り場所はアルゼンチンの大西洋岸の都市マルデルプラタです。着きましたらバッグの中にある番号に電話してください。今日は以上です




〈コーン〉了解




無線を切ると、操縦を自動に切り替えた。




そしてコーンはバッグの鍵を外し中身を見た。そこにあったのは1つの紙切れと、綺麗な薄い赤色のブランデーだった。




〈コーン〉綺麗なブランデーだな




そんな時に、無線が鳴る。




〈コーン〉はい、こちらタラモア1010




〈ボーン〉俺だ。中身を確認したか?




〈コーン〉ああ、いまな




〈ボーン〉この話は俺から話す。いいかそのブランデーはレッドキウイ・ブランデーと呼ばれるものだ




〈コーン〉レッドキウイ? 最近でた新種の?




〈ボーン〉そうだ、我々一族はフルーツブランデー生産をしている。レッドキウイは作るのが難しくてな、それで高価なブランデーとして作った。だがそのブランデーはいま世界に2本しかない。形を見てみろ




〈コーン〉たしかに、なんかへんな形してる




〈ボーン〉半月の形にしてある、片割れの半月のブランデーとくっつくと満月の形になるように設計されている




〈コーン〉なるほどな、それでか


〈ボーン〉とにかく、気をつけて運んでくれ




〈コーン〉あ、ちょっとまて、一応念の為にこれの……




コーンは念の為にある事をボーンに話す。




〈ボーン〉わかった、何かあったら連絡する




そう言って無線を切った。




〈コーン〉ゆっくりするか、無期限なんだからな




と、考えている間にアラームがなる。このアラームはなにかの異常や警告用のためにつけたアラーム。




コーンは慌てて、船の外のレーダーをみる。そこには近くの無人島から数隻、船がこちらに向かっていた。どうやら敵と認識したようだ。この船は最先端技術があるから。




外をみると、たしかに船が向かってきている。しかも、バカでかい機関銃を乗せてやがった。こちらには自分で持ってる拳銃、そして甲板にある対潜用狙撃銃しかない。これはやばい事になった。




すると、1つ船から機関銃をぶっぱなしてきた。




その弾はいくつかコーンの船に当たる。




そしてその襲撃で波があがって船がガタンガタン! と大きく揺れる。




〈コーン〉くそ! 震度5ぐらいの地震みてーだ!




〈コーン〉やべえな、まあ予想はしてたがここまでやるとはな、てか! ブランデーがあぶねえ!




ぱっと外みると別の無人島からまた違う船が5隻走ってくる。




〈コーン〉やべえ…… くっそ! ここには狙撃銃と拳銃しかねえ! どうする?




コーンは外をでて甲板から、狙撃銃で対応した。




〈コーン〉当たったとしても、ダメージなしか……




コーンは寝そべってなにかを狙っている。スコープから相手の船を覗く。狙いは、前から左上の1隻。そこを叩けば後ろは止まり、そこから抜けられる可能性がある。潜めながら撃とうとしている。問題は、どこに撃ち込むか。あのガラスを一か八か撃ってみる。あるいは、別視点。と、コーンは撃鉄を起こした、敵の船のガラスを目掛けて弾が飛んでいく。バーン!! と大きな音はしたものの、窓のガラスは割れない。どうやら超防弾ガラスのようだ。なら、あそこを叩くしかない。これも成功率は高くない。コーンは集中して撃鉄を起こした。ドーン! と音がして、弾は敵の機関銃の銃身口の中に入った。その機関銃は大きな音と共に爆発した。その船は失速して、止まりそうになっていた。コーンは銃の腕は王殺銃キング・キル・ガンなんて呼ばれるほどの腕だ。素晴らしい銃さばきだ。成功してよかった。




〈コーン〉ふぅ、て言っても1隻だけやけどな、後ろが玉突きみたいになると思ったが、無理か




すると、他の連中は怒って反感買ったのか全隻でコーンの船を囲む。




〈コーン〉あ、やべえ




コーンは急いで船内に戻り、ブランデーを抱えた。次の瞬間、なんと敵はコーンの船に激突してきた。




〈コーン〉うをを!? なんてやつらだ、激突してきやがった! やべえな!




近くに、無人島があった。コーンはかろうじて無人島のほうへ操縦。すると、また囲まれ全隻で激突され、船は無人島の砂辺に盛り上がり転覆した。




敵船は、転覆を確認し仕留めたと思ったのか、去っていった。




コーンは船のドアが開き跳ねられ、砂辺へ投げ出されてその衝撃で気絶してしまった。激突されドアがイカれたようだ。コーンの顔、身体には砂がついていた。コーンは、どうなってしまうのか。




ー #2 Cazador. 追う者 ー つづく。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る