第12話 バカップルに対抗せよ
「で、具体的にどうするんだよ。」
俺は穂香が食べたあとのケーキの皿を洗いながら尋ねた。
「裕司がどういう感じで撮りたいかによるけどね。」
穂香が涼と美萌のバカップル写真とにらめっこしながら答えた。
コイツ、俺の写真嫌いのせいで気を遣ってるのか。本当にありがたいな。
「俺はよくわかんないから穂香に意見を求めたんだけどな。」
「んー、まだちょっと悩んでるんだよね。この二人と同じ構図にしようとも思ったんだけどね…」
「それでいいんじゃ…」
「それだとただ二人から構図をパクっただけになっちゃうからね。」
そんなにこだわり持ってるのか。それにちゃんと応える構図を俺も考えよう。と言っても、俺が思いついたのはラブコメの構図を再現するということだけだった。ただこの案を穂香に伝えたところその案を採用したため、俺は二階の本棚からラブコメやラノベを持ってきた。そして今、
「ねえ裕司、これとか良さそうじゃない?」
「おっ、いいな。それ使うか。」
などと言いながら結局読むだけで何もしていなかった。俺も穂香もお互いに寄りかかって床に置いた本を読みふけっていた。そして、俺が思い出す頃には一時間が経っていた。
「なあ穂香、俺達、本来の目的忘れてないか?」
「えっ…、あっ…。」
やっと思い出したか。まあ俺も人の事言えないけど。
とりあえず、俺と穂香はラブコメのシチュエーションを再現するために撮影に励もうとしたのだが…、
「誰が撮影するの?」
言われてみればそうだ。構図的に自撮りで撮れるものは少ない。さてどうしたものか。二人で悩んでいると、
ピンポーン
インターホンの音がした。誰だ。ア○ゾンで何か注文した覚えはないけどな。
「あっ、もしかして…」
穂香がそう言って部屋を出て玄関へ向かった。そして二人分の足音とともに部屋に戻ってきた。
「ユージお兄ちゃん久しぶりー、お邪魔しまーす。」
そう言って現れたのは穂香の二つ下の妹、莉加(りか)ちゃんだった。この二人結構似ていて、違いがあるとすれば身長と髪の長さくらいだ。穂香がミディアムヘアなのに対し、莉加ちゃんはボブカットだ。穂香と仲が良かったため、俺も莉加ちゃんと仲良く出来ている。
にしても、だいたい一か月ぶりにこの家に来て何をするつもりだ?聞いてみると…
「今日、うちらの両親二人とも仕事で…」
そこまで言われて俺はなんとなく察した。穂香と莉加ちゃんの両親は俺の両親のように海外に行っているわけではないが、遅くに帰ってくることもあるためそういう時はウチに来て夕飯を食べることがあるのだ。まあ、穂香に限っては遅く帰ってくるとか関係無しに家に来てメシ食ったりしているが…。そしてそれを穂香の両親はよく許可するなと度々思うのだ。
「というかお姉ちゃん、ユージお兄ちゃんに言ってなかったの?」
「ごめんごめん、ケーキ食べてたら忘れちゃってた。」
俺の方にとばっちりが来たんだが。
「ケーキあるの?」
「おう、俺が作ったケーキ。食べるか?」
「食べる。」
さすが姉妹。第一優先はケーキらしい。
「いいの裕司、莉加にあげちゃって。あれって裕司の食べる分なんじゃ…。」
「いや大丈夫。思い出してみろ、あのケーキを。八分の一カットだったろ。」
「うん。あ、まさか…。」
「ん、どういうこと?」
理解出来た穂香と理解出来ていない莉加ちゃん。俺の代わりに穂香が答えた。
「私が食べたのが八分の一、これから莉加が食べる分がハ分の一、残りハ分の六は裕司の話を聞く限りない。ということは…、」
「ユージお兄ちゃんが食べた…。」
「正解。」
その瞬間、莉加ちゃんがジト目で見てきた。
「ユージお兄ちゃん食べすぎ。」
「い、いやだって消費期限とかあるし…。」
どうにかして納得させた。
「とりあえず食べたい。」
莉加ちゃんが言った。切り替え早いな。
「まあ食べてもいいけど、その前にやってほしいことがあってさ。」
「ん?」
「カメラマンやってくれない?」
「は?」
〈あとがき〉
次回、ラブラブ(?)撮影会!
毎回毎回投稿間隔が開いてしまってすみません!これからもリアルと両立して頑張ってまいります!
少しでも面白い、続きが気になるという方は
・小説のフォロー
・応援
・☆☆☆の評価
・コメント
よろしくおねがいします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます