いつだって死ねるんだから

何度だって死ねない。
死ねない主人公はずっと妄想の中で死んだ自分に「意気地なし」と罵られ続けて生きています。
こういうことがあると余計苦しいかもしれないんですけれど、そういう妄想の中で自殺しないと現実でストップが掛からないってことはあると思うんです。人によって違うと思うので一概には言えないんですけれど。

死について語ることは実際問題生きているうちにしかできないことなので、忌避すべきではないと私は考えます。
死んでからは「死にたい」も言えない。
だったら「死にたい」という言葉は生きている人のためにある。
この作品は、そういう言葉であったり、もっと言えば人間の思考の『本質』に迫るものであると私は考えます。

暗いものより明るいものがウケるこの時代。需要は少ないだろうから、それを供給しようって人はもっと少ないと思います。それでも必ず誰かにとって必要になる作品です。この作品が存在していなければ、救われない人がいると私は確信しています。

この作品はこの場所になくてはならないし、作者はこの時代にいなくてはならない。そういう確信を持たせてくれる作品や作者と巡り会えた奇跡に深く感謝いたします。
ありがとうございました。