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 彼氏と喧嘩した。それはもう酷い有様で、今まで聞いたことも言ったこともない暴言や汚い言葉がワンルーム中飛び交った。付き合って一周年の記念日は、一年で一番大切な日から一転最悪な日になって、やがてただの何でもない日になろうとしていた。

 明かりを点けることさえ忘れて、真っ暗な部屋でベッドの脇に蹲った。寒い。心も身体も冷えきって凍えそう。どうしてこうなったんだろ。

 君のちょっと抜けてるところとか妙なところのこだわりの強さとか、独特の風格が大好きだったはずなのに。その日のその瞬間だけは大嫌いだった。

 「もういい」と言って逃げたのは私の方なのに、いつまでも合鍵を握り締めてる。私が持ち続けてることにきっと気付いてない、最低で最悪で大嫌いな君のそういうところが、仲直りの希望を感じさせる。まだどうにかできるんじゃないかって思わせる。たった四文字で全部終わっちゃうなんて信じたくない。

 「ごめんね」、戻れるなら自分勝手な捨て台詞を書き換えて抱き締めたい。たった四文字で全部ひっくり返るなんて信じられないけど。

 塞ぎ込んでいた部屋から外に出た。知らない間に真っ白になってる。


 ねえ、この鍵で開けられるものは、まだある?




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今回の使用単語

「なおり。あいかぎ。ふうかく」

鳥取県米子市付近だそうです。

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