ページ2 本物の天使

 人生で一度しか無い学生時代を四度の転校で棒にふりかけた主人公、三々樹謙介は高校生活最後の一年を国内屈指の偏差値を誇る城ヶ峰学園で過ごすこととなった。登校初日、自己紹介で一発ギャグを披露した謙介だったが天才たちには全くウケずに消沈していた。そんな謙介の隣になったのは謎の美女だった。



「あの、よろしくおねがいします。」


ギャグで滑った謙介に優しく声を掛けた隣の席の美女。


「始めまして、私は伊ヶ崎紗倉と言います。隣になったのもなにかの縁でしょうから仲良くしましょうね。」


『なんだこの人は』。謙介は衝撃を受けた。大きな瞳にくっきり二重、小顔な上に色白顔のパーツは全てが一級品でまさに国宝級。座っているからあまりわからないけど体は細くて大きく育った乳房、更にその美声と漫画の世界から出てきたかのようだ。


「どうしたんですか?。」


謙介はあまりの衝撃に言葉が出なかった。


「あっいや、なんでも無いです。」


「三々樹謙介です。よろしくおねがいします。」


謙介が恥ずかしそうに自己紹介すると彼女はニコッと微笑んだ。



HRが終わると謙介の前の席の人と紗倉の前の席の人が話しかけてきた。


「俺は西條道義、よろしくな。」


紗倉の前の席の西條さいじょう道義みちよし。バスケ部のキャプテンでありエースでもある。明るく運動神経が良くて面白くクラスでは中心にいる人物。頭もよく文武両道をこなしている天才だ。


「私は大塚瑞帆、瑞帆って呼んで。」


謙介の前の席の大塚瑞帆。バド部のキャプテンでエース。小2からやっているバドでは大会五連覇を果たし、個人成績通算120戦無敗の天才。もちろん勉強もできて可愛い無敵少女である。


「三々樹謙介です、よろしく。」


すると紗倉がとある質問をしてきた。


「謙介君は先程、イギリスから来たと仰っていましたがイギリスではどんな生活をしていたんでしょうか。」


紗倉の質問に前の二人も食いついてきた。


「そっかミッキー帰国子女だったもんね。私も知りたい。」


「俺も将来、イギリスに留学したいから興味がある。」


『三人の眩い視線に圧倒され危なくスルーしかけたけど、瑞帆さんは今、僕のことミッキーって言わなかったか?。』

謙介は内心戸惑っていたが瑞帆のミッキー呼びは無視できなかった。


「えっと、別にこれと言って話せるようなことは…。」


「またまた~ミッキー謙遜しちゃって。」


道義まで謙介をミッキーと呼び始めた。

『今までそんなあだ名つけられたこと無かったけどな。』


「どんな物食べていたんですか?。」


「具体的にどの辺に住んでいたんだ。」


「学校は日本と違ってた?。」


怒涛の質問ラッシュに困り果てた謙介を助けたのは右隣の席いた人物だった。


「やめるんだ君たち、彼が困っているだろう。」


彼の方をみると腕組をしながら黙ってこちらを見ていた。


「失礼した三々樹氏、私は仙巌道寺せんがんどうじみつるというものだ。この学園の生徒会長をしている。」


彼は仙巌道寺充。名前のインパクトが強すぎる彼は学園一の成績を誇る天才でありながら生徒会長を務める根っからの真面目さんである。その天才ぶりは運動でも発揮され、柔道部では主将としてチームを兼任している。個人では全国大会連覇や世界大会優勝など多方の面でその天才ぶりを見せている。


「良いじゃんかよ充、色々聞いたってさ。」


「そうだよ、どうせ充も色々聞きたいんでしょ。」


充は腕を組みながらその熱い視線を謙介に向けている。


「そんなことより三々樹氏はこの学校のことをまだ知らないんじゃないか?。ならば我々で案内してはどうか。」


充の提案に皆の口が止まった。謙介は学園内に入るのは今日で二回目だ。どこに何があるのかとかは全くわからない。


「確かに言われてみればそうだな。」


「なら放課後にみんなでミッキーを案内しようよ。」


「そうと決まれば、みんな放課後はミッキーと一緒に学校探検だ。」


と言う訳で放課後はみんなが謙介のために学校を案内してくれることになった。





―放課後―

 チャイムが鳴り、放課後の時間になる。登校初日の授業が終わり、それぞれが部活へ行く準備をする中、道義、瑞帆、充そして紗倉が謙介の机の周りに集まってきた。


「じゃあ、行こっかミッキー。」


みんなの準備ができたので出発することに。行く順番は彼らにおまかせしている。


「まずここが3年R組、この学園は1クラス35人の18クラスあって全校生徒1890人。かなり多いけど年間1000人以上の受験希望者が来るって話よ。」


『どおりで学校が大きい訳だ。』


この城ヶ峰学園は六階建てで広さが東京ドーム5個分の敷地を持つ巨大な校舎だ。五階もあれば確実に迷う人が続出しそうだ。


次に謙介達の教室から近い食堂へ向かうことに。


「ここが我が城ヶ峰学園が誇る大食堂室「タベゴロ」です。」


転校する前に見た城ヶ峰学園のホームページにも「タベゴロ」の紹介がされてあり、カレーやラーメンはもちろん和食、洋食、中華などメニューが豊富だという。


「謙介君、私好きなんです。」


紗倉から出たの二文字。紗倉、いきなりの告白!?。





―To Be Continues―




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