第3話 何も起きてはいない

何も起きてはいないのである。


赤が好きな人から見れば赤が善であり、

赤が嫌いな人から見れば赤は悪なのである。


ただそれだけである。


円柱の図形を、一方から見れば円であり、

他方から見れば長方形に見えるのである。


視点に偽りは無い。

しかし、ここでは、正確か不正解かが問題なのではない。


何故意見が違うのか。

相手を認めなければ、永遠に答えが出ないものを、相手の答えを認め、自分の答えを信じ、そして両方を踏まえた上で、新しい視点が持てた時に、新たな正確が生まれる。


争えば答えが出ることは無い。

しかしお互いの言い分を活かして、

別の角度から見たならば、

新しい世界が生まれるのだ。


世の中は何も起きてはいない。

自分がどのように見たいか、どの角度から見ているか、どの世界にいるか。

ただそれだけなのである。


あちら側も、こちら側も、DSとやらも、宇宙空間も、月も太陽も時間も、空間も、大切な友人も家族も、過去の歴史も、すべて自分が創作した、物語の一部なのである。


何も起きてはいない。


病気も、お金も、学校も仕事も、すべて自分が創造した物語なのである。


確かに、アカシックレコードという共通の記憶、意識という、もともとの台本はある。


だから創作したのでは無く、『思い出した』と言ってもいいのかもしれない。


あなたと出会う事、あなたと一瞬だけすれ違う事、憎しみあう事、死別する事、すべて決まっていたと言えるのかもしれない。


きっと意味があるのだろう、遠い過去の記憶を知るために。


思い出していく作業は、フッと浮かんだ、直感の中にヒントがあるようだ。


それこそが遠い記憶を思い出した瞬間なのかもしれない。


しかし、これだけは言える。

一人一人、個々人は一つの受精卵から分かれて、

無数の細胞から出来たと言われているように、

もともとは一つであり、全体を構成する仲間であり、一連托生である事を。


そこに上下などなく、一蓮托生なのである。


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