儚い恋、失恋を乗り越えた先に…。

アスラン

第1話 片思いは唐突に…。

桜が散り始めたある春の出来事。


一人の青年タクト(中学3年生)は泣きながら家に帰っていた。


何故泣いているのか…。


それは今日のホームルームで担任が告げた言葉が原因だった。

「片瀬 愛さんは車との事故に合い昨日亡くなられました。」


その後も担任は何かを話していたが青年の耳には届くことはかった。


タクトは、ただ悲しくて泣いている訳ではなかった。


もちろん同級生が無くなった悲しみはあるが、その亡くなった相手が初めて恋をした相手だったことが一番の原因だ。


悲しみに暮れ、空を眺めながら帰るも、一向に涙は止まらない。


帰り道に公園の中をいつも通り歩いていると


「ミャー」と言う声が聞こえてきた。


その時、偶然にも雨がポツポツと降り始めた。


折り畳み傘をさし、声の聞こえる方へ歩いているとダンボールの中に子猫が捨てられているのが見えた。


タクトは子猫とダンボールを雨に濡れにくい場所に移動させ、念のため傘を飛ばないようにして被せた。


タクトは子猫に向かって、

「ごめんな、俺の家は猫を飼えないんだ。本当にごめんな」


タクトは止まらない涙を拭いながら何度も何度も謝っていた。


「明日からは様子を見にくるから、もちろんミルクを持ってくるからそれで許してな」


最後にそんな言葉を残しながら、タクトは泣きながら家に帰っていった。



タクトが帰った後、そこにはその様子を見ていた一人の女性がいた。







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