第26話 心配

 アリーからそんな事を言われると思わなく、涙がポロリとこぼれた。

「えっ!?ど、どうしたの?」

 アリーが動揺したのか、慌てているのが分かった。そんなアリーを見て俺は反射的に

「こっこれは、ジル兄上が心配してくれてたのが分かって嬉しく…」

 何だか誤魔化しているみたいな感じになってしまった。

「ほ、本当に?」

「う、うん…こんなことに嘘なんて付かないよ」

 そんな話をしてたら、アリーが重なってる手紙に気付き

「あ、あれ?もう1枚出てきたよ…」

「えっ!?ほ、本当だ…」

 俺は驚きながら、その手紙の内容は何なのか気になった。


「えっと…」

『後、ノートの1冊はランが体験(経験)した事、気づいた事がそのノートに書かれるので色々挑戦してみてね。もう1冊の始めのページには符術を入れといた。昔、ランに文字の練習で書いてもらった紙なんだけど覚えてるかな?その紙は符術が使える紙だったんだ。その中から上手く書けてる物を使ってるんだ。だからノート2冊は符術が入ってる。…けど他の人が見てすぐに符術が入ってるノートだと分かったら、狙われるから普通のノートにしか見えない様に偽造しといたんだ。後、図鑑も同じだよ』

 俺は此処ここまで読んで驚いた。

「こ、これって符術が使われてる!?」

「そ、そうなの!?じゃあこの本とノートは…?」

「あ、まだ続きがある…」

『…本当はランが貰った符術の使い方は知ってた。

 そもそも符術とは魔道具の進化した物だ。魔道具と符術の違いは魔力を込めるか込めないかの違いなんだ。魔力を込める魔道具と魔力を込めない符術。どちらの方が使い勝手がいいか分かるよね?教えなかった理由は、父上達が知ったらランに自由が無くなると思ったから。教えたら金儲けの道具扱いをされると思ったし、ランはすぐ…顔に出るからね。それに父上達が外れスキルだと思ってるからそのままにしといたんだ。

 ラン自身が使い勝手のいいスキルだと知ったら隠せないと思い、俺は教えなかった。そのせいで辛い生活をさせてごめん…。俺の事は恨んでもいいからランは幸せになってね』

 そこまで読み終わって、ジル兄上がそこまで俺の為に色々我慢させてしまい悪いと思った。

「ひ、ひっく…ジ、ジル兄上ありがとう。…感謝の気持ちはあるけど、恨んではいないよ」

 さすがに此処ここまで読んだら、我慢出来なく泣いてしまった。

「ジル様は恨まれてもいいと思いながら、ランの事を考えてくれてたんだね」

 アリーに背中を優しく叩かれ余計に泣いてしまった。


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