私は、、、探偵ごっこはもう十分だ

 さすがに抜かりないな。しかし、尾行対策のためにシッポを配置するとは、派手すぎる。ここにいますと言っているようなものだ。まあ、今のうちにほくそ笑んでいればいいさ。


 ユリに行かせて良かった。


――気付かれている。離脱しろ。


 さあロバート、お前の行き先は分かっているんだ。そのまま来いよ。


 それにしても寂れた神社だ。管理している地元の人たちもほとんどが高齢で、そのうち取り壊すか、でなければ倒壊してしまうのも時間のうちだろう。私のように、時間に置いてけぼりをくらっているみたいだ。


「仕方ないさ。俺たちは同じ、諸行無常を受け入れられない者の末路だ。今日は倒れないでくれよ」


 日が沈み、麓の視界が霞む。双眼鏡はお役御免だ。監視カメラは便利だが、通信は必ず傍受される。じっと待つが正解だ。

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