第7話救助




どうにか17時までにようやくたどり着いた。


途中、コンビニで菓子パンとペットボトルを物色してきた。


17時過ぎでスマホが使える時間帯になったので現在の座標位置を確認。

移動しながら位置確認しつつ防空壕を探す。


「あ!これか。植物を使って分からなくしていたのか。おーい誰か居ないかー」


ガサゴソ植物を掻き分け、1人の男性が出てきた。


「助かった。本当にありがとう。他の人は何処ですか」


「私しかいません。食料を持ってきました」


日本政府の対応や警察や報道関係など厳しい状況を説明。

暗い顔で静かになる人達を見ながら周りを確認。

防空壕の中は薄暗く、天井から小さな光が差していた。

そして異様な匂いもしている。


菓子パンとペットボトルが配られ、必死に皆は食べていた。

防空壕内が暗くなってきたので、LEDの照明を付ける。

1つしかない光源であったが、防空壕内を明るく照らしている。


足の怪我で動けない男性と腕を怪我をした女性に、赤魔石を渡し布を取り患部に当てるように言った。

不思議そうに患部に当てると徐々に傷が治ってゆく場面を見て、皆一様に驚いていた。


俺は対人恐怖症で特に女性から話掛けないで欲しいと断わった。

そして魔物を倒した事で、特別な力を授かった事を話した。

だから俺と同じ様に、力を手に入れるのを手伝う事を伝えた。

男性5人と女性3人が手を上げて名乗り出た。

明日、朝一で出発する事となり、今日はまだ早いが寝る事になった。



朝早く目覚めると、早速残りの食料を皆で食べ、出発する事にした。

最後尾にはリーダの佐藤さんが猟銃を構え警戒。

中央には女性の高木さんがシアンの鉢を持つ担当。

先頭は俺が立ち警戒しながら進む。

子供達は抱っこかおんぶをして連れて行く事になった。


俺はここに来るまでブラットを何体か倒していた。

執拗に追い駆けてきたから仕方なく倒した。

そしてSPを使って気配探知を取得している。

なので魔物が来ればすぐ分かる。


「ネズミタイプが来たぞー。5匹だ警戒しろ」


悪戦しながらも右手に2匹、左手に2匹と、さらには右足で踏みつけて1匹を捕まえた。


「足の奴から倒して下さい」


佐藤さんがサバイバルナイフで刺した。

次々に刺して、最後に高木さんが刺して終わった。

5人はステータスが現れた事に驚いていた。

3人が恩恵を貰えた様で2人は貰えなかった。

どうやら個人差が有るみたいで、貰える恩恵も個人差が有った。

高木さんは恩恵の中で、戦闘系と風魔法が有ったらしく風魔法を取得した。

後の2人は魔法が無かった為、佐藤さんはSTR強化を取得。

もう1人は隠密を取得したらしい。

隠密は、魔物から存在を隠すスキルで匂いも姿も分からなくするらしい。

恩恵が貰えなかった2人は、SPを使ってVITやSTRを上げていた。

SPの取得ポイント数や取得できる物にも個人差があったのだ。

それは新たな情報でもあった。


そしてキラーズの襲撃がもう1回あった。

それで残りの3人もようやく取得した。女性陣2人が火魔法と風魔法を取得。

男性1人が風魔法を取得した。


それを見ていた少女のミサキが、


「私にも取得させて下さい」


「分かった。魔物がやってきたら捕獲しよう」


夕暮れ前に、空き家となった家に入った。

窓やドアにバリケードを作り、明かりが洩れないよう布を幾重にも被せた。


そして水や電気やガスはまだ使える様だ。

順番に風呂場でシャワーを使って洗っている。

衣服と下着類を新しいのに着替えホッとする女性陣。

女性の2人は、途中のコンビニで集めた食料で微笑みながら夕食の準備をしている。

残りは子供の世話をしている。

ここまで来たが、人と出会うことは無かった。


その間、俺は外の気配に集中しているのだった。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る