愛しいたべもの

あかり香

たこ焼き

 私が好きな食べ物の一つに、たこ焼きがある。小さいころに、スーパーで祖母よく買ってきてくれたので、おやつとして食べていた。そのスーパーは、新鮮組という名前だったが、今思うとなかなか直球で、シャレている。そのスーパーのたこ焼きは、ものすごく美味しいというわけではないのだが、たこ焼きは多少まずくてもまた良いのだ。それこそがたこ焼きという気もする。


 隣の市のショッピングモールのたこ焼き屋さんは、美味しかった。ショッピングモールに併設されている百貨店に入っていたからか、他のスーパーで食べるたこ焼きよりも美味しい。買い物をした帰りに、そこでたこ焼きを買って食べるのは、百貨店のお惣菜を買うより私にとっては嬉しいことだった。


 実家の近くの別のスーパーにもたこ焼き屋さんが入っていて、そこは少し変わった味を提供していた。最初は、醤油ばかり食べていたが、キムチや梅しそ味なんかもあった。私はそこのキムチ味のたこ焼きが大好きで、いくつ食べても飽きないほどだった。8個入りなどのたくさん入っているたこ焼きでも、最後の1個になると、とても惜しく感じた。


 というように、私は小さいころからたこ焼きが大好きだったので、たこ焼きならいくつでも食べられると思っていた。10個入りなどの大箱でも物足りないのだし、1個は小さいからいくらでもお腹に入るし、一体どれだけのたこ焼きなら私を満たせるのだろうと思った。


 大学を卒業するとき、友人と大阪に遊びに行った。それまで大阪で遊んだことはほとんどなく、私はどうしても本場のたこ焼きを食べておきたかった。それで、2件はしごすることにした。1件目で8個入りを食べたが、まだまだ入りそうだったので、次の店では16個頼んだ。半分は通常のたれで、もう半分は明太マヨだったと思う。これがいけなかった。明太マヨがとても重たく、私たちは16個食べ切るのが精一杯だった。一度に食べて満足できるたこ焼きの数は24個だと学んだ。もちろん、味はとても美味しかった。


 上記の経験によって、食べられるたこ焼きに限界があることはわかっていても、やはり8個では足りない気がして、16個入りを2パックほど買ってしまう。ああ、たこ焼きを腹一杯食べた!という実感がないと、物足りない。だから、きっと私には、たこ焼きは多すぎるくらいがちょうどいい。

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