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Share↗️          20xx/3/10 12:00

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元 天色SUNSET・kotoha、本名『葵琴葉』名義でソロ活動をスタート【ロングインタビュー】



元 天色SUNSETのkotoha(Vo./Bass.)が本名の『葵琴葉』として弾き語りでのソロ活動をスタートさせた。

天色SUNSETはkotoha(Vo./Bass.)、kanade(Gt.)、mizuki(Dr.)の三人からなる覆面高校生バンド。高校一年生で結成し、活動開始から一年目でのヒットをきっかけに、若者からの絶大な人気で日本の音楽シーンをけん引した。高校卒業と同時に突如解散を発表した彼女らだったが、解散から三年を経て、その透き通るような歌声で人々を魅了したkotohaが音楽シーンへの帰還を果たした。


3/19から配信スタートする1st.シングル『言の葉が舞い降りる』は彼女が中学生の時に初めて作った曲だという。

ギター一本のシンガーソングライターとして再出発した彼女の今後の活動に大きな注目が集まる。

今回はそんな葵にロングインタビューを行い、彼女の知られざる内面に迫っていく。



葵琴葉 ロングインタビュー

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“その言葉が私の背中を押してくれた”


天色あまいろSUNSET(以下、あまサン)時代からインタビューというのはあまりされてこなかったと思うのでお話が聞けてとても嬉しいです。


葵: ありがとうございます。当時は普通の高校生としての生活を大切にしていたので活動は最小限にしていました。今だから話せることもお伝えできればと思います。


—まず、今回活動を再開するという決意に至った経緯を教えてください。


葵: そうですね、詳しく話すと少し長くなるのですが、天サンのジャケットを全部描いてくれていた私の同級生でイラストレーターのhinataという子がいたんですが、彼が高二の時に病気で亡くなってしまったんです。それからの天サンの活動にはhinataの絵を届けるっていうのも一つの目標としてあったんですけど、私たちの解散と彼の絵のストックが無くなったのがほぼ同時で、その後は音楽活動に意味を見出せなくなっていたんですよね。


—hinataの絵を届けることが音楽活動の目標の一つだったというのは驚きです。


葵: はい、だったんですけど、ちょうど一年前に彼の沢山の絵と日記、私へのメッセージが見つかって、そこに書かれていたことが気持ち的なきっかけになって、音楽活動を再開することに決めました。


—どんなことが書かれていたか言える範囲で教えてもらえますか?


葵: そうですね、彼と仲が良かった中学二年生の時、私は彼の絵に出会ってから彼の絵を広めることに必死だったんです。彼も最初は戸惑っていたんですけど、徐々に受け入れてくれるようになって、メッセージには「僕のためじゃなくて、世界中の琴葉の歌を待ってる人たちのために歌い続けてほしい。これからは僕が琴葉の歌を沢山の人に届ける手伝いをするよ」っていうこと書いてあって、そっくりそのまま返してきたなと。(笑)

でもその言葉が私の背中を押してくれたので、感謝しています。


—当時、葵さんは現在所属しているレコード会社の社員として入社が決まっていたそうですね。


葵: はい。どんな道を歩んでいたとしてもやはり音楽が好きだったので、普通の大学生としてこの会社に就職できるようにと頑張っていたのですが、面接の時にもしまた音楽を始めたくなったら言ってくれと後に上司になるはずだった人に言われて、それで半信半疑のまま相談してみて、今に至ります。




“実は覆面アーティストというのはあまり気にしていなかったんです”


—また多くの人が気になっているであろう、顔出しについて教えていただけますか。


葵: そうですね、実は天サンが覆面アーティストだというのは、当時私たちはあまり気にしていなかったんです。

hinataのジャケットを使った配信やリリースがメインで、私たちが高校生という情報以外、あまり自分達の素性を明かさずに活動していただけでした。

それは先ほども言ったように自分たちが出来るだけ普通の高校生として、部活でバンドをやっているような感覚で活動して、それで生み出された曲を皆さんに届けられたら良いなって思ってやっていました。

なので作詞・作曲をしていたkanadeが書く歌は、等身大の高校生の歌として同年代の人にたくさん共感してもらえたんだと思います。


—なるほど、本人たちがあまり気にしていなかったというのは意外でした。


葵: はい、そこまでこだわりなかったです。ただ解散ライブだけはどうしてもあの会場が良いというのがあったので、顔出しでやったんです。


—解散ライブは私も参加させていただきました。天サンらしい、とても良いライブで今でも心に残っています。


葵: ありがとうございます。私もあの光景は一生忘れないと思います。地平線の奥まで人で埋め尽くされて、愛で溢れていましたね。ああ愛されてるんだな、って思いながらステージを降りたのを覚えています。終わった後に三人で円になって抱きしめあったのも印象的です。


—あの日舞台裏ではそんなことがあったんですね。天サンといえば二年ほど前に、その軌跡をkanadeを中心に三人の一人称視点で描いた短編小説『青空に広がった音は、どこまでも澄んでいた』を出しましたね。


葵: はい、あれは活動中に私たちを引っ張ってくれていた大人の提案で書くことにしたんですけど、書いてみると意外と楽しかったですね。

三人とも忙しかったのでメール、というかチャットやビデオ通話などを使って当時あったことをああでもない、こうでもないと振り返りながら書きました。

私の視点のパートは少なかったですが、逆にkanadeやmizukiの視点から見てみると、知らなかった事が多かったりして面白かったです。小説を書くことに関しては三人とも当時全くの素人だったのですが多くの人に読んでいただいたみたいで嬉しいです。


—私も読ませていただきましたが、バンドの成り立ちやメンバーの方は当時こんなことを考えていたのか、なんて事が知れてとても楽しんですぐに読み終わってしまいました。


葵: そう言って下さる方が本当に多くて、解散してもなお応援し続けてくれるのは有り難いなと思います。




“できるだけ当時の空気感をそのまま閉じ込めたような作品にしました”


—小説といえば今回”葵琴葉”名義でのデビューシングルは、『言の葉が舞い降りる』という一曲のみが収録されたCDと同タイトルの小説がセットという珍しい形態となりましたが、その経緯を教えていただけますか?


葵: そうですね、私の活動を新たに始めるに当たって、この『言の葉が舞い降りる』という曲と、私のここまでの物語を知ってもらうことが先ずやりたいことだなというのがあったので、少し特殊ではありますがこういう形になりました。


—私も小説の方は一足先に読ませていただきました。それについても後ほどいろいろお聞きしたいのですが、まずはこの『言の葉が舞い降りる』という曲についての思いをお聞かせください。


葵: えっとですね、この曲は私が最初に書いた曲で、書いたのは中学二年の時なのでもう十年前になりますかね。ちょっと今、十年前って口に出してみてそんなに前なのかと内心凄いショックでした。(笑)

これを読んでる方にはその辺のエピソードは小説の方を読んでほしいので上澄みの部分だけ話すとすると、当時同じクラスで良く一緒にいたhinataの人生に転機が訪れた時があったんですけど、それを祝して彼の目線で書いた曲です。

これを彼に歌った時の表情は今でも忘れられないですね。まあそんな感じで、できるだけ当時の空気感をそのまま閉じ込めたような作品に仕上げました。


—なるほど、確かに昨今の音数が多いような曲に比べて、田舎の中学校を連想するようないい意味での素朴さがありますよね。


葵: それはちょっと小説のイメージがこびり付いているような気もしますが、そう言ってもらえると嬉しいですね。(笑)


—何度も頭の中で中学校を思い浮かべたせいでもうすっかり自分の故郷みたいな感覚になっているのでそうかもしれないです。(笑)

あと、リリース日の3月19日というのは思い入れがあるんですよね?


葵: はい、3月19日はhinataの命日なんです。この日に彼に届ける事ができて幸せです。これも詳しくは小説を読んでくださいという感じですかね。




“どんな人にもそれぞれの物語があると思います”


—小説を書くにあたっては何か意識したことなどはありますか?


葵: 物語の軸は幾つか決めていました。というのも、これを書こうと思ったのは先ほども言ったhinataの言葉がきっかけだったのですが、これからは彼の為じゃなく、リスナーの皆さんの為に歌う代わりに、彼の生きた証を絵以外でしっかりと残してあげたいという思いがあったんです。

本人は少し恥ずかしがるかもしれないですけど、彼は書面で「僕の人生は琴葉に任せる」というようなことも言ってしまっているので、そこは勝手ながら物語として描かせてもらっちゃいました。(笑) 彼の視点で書かれた日記も残しちゃってますしね。

なので私とhinataの間にあった出来事を中心に描くというのは一つの大きな軸でしたね。

後は、楽しかったり幸せな時間はずっとは続かないっていう無常観みたいなものが私の中に昔から常にあって、日記を読む限りではhinataもそれを感じていたと思うんですけど、人生を進めて経験を重ねるにつれてどんどんその思いが強くなっているんですよね。なので当時考えていたことに出来るだけ忠実に書いてはいますが、そういった今感じていることだったりも反映されてしまっているかもしれません。


—なるほど、確かに言われてみれば読んでいてもそれは伝わってきていた気がします。それでも、二人の事を忠実に描いただけで物語として成り立ってしまうのが凄いなとも思います。


葵: 事実は小説よりも奇なりなんて言葉もありますが、振り返ってみると私もhinataも劇的な人生を歩んできているなとは思いますね。

ですが、どんな人にもそれぞれの物語があると思います。例えば今これを読んで下さっている方の人生でも一部を切り取ってしまうと、それはもう物語なんですよ。この世界の皆それぞれに考え、悩み、行動し、結果が出てくる。どんなにつまらない人生を送っているように見えても誰もが主人公になり得る。それは今回この小説を書いて思いました。

なのでこれを読んでいる人には明日から自分が主人公なんだというつもりで日々を送ってほしいです。


—うーん、そう言われると少し考えさせられますね。僕が主人公の物語、どうやったら面白くなるんだろう。


葵: そうやって考えながら毎日を過ごしてみるとなんだか楽しくなるのでオススメです。(笑)


—なんか良い話を聞いた気がします。あとちゃっかり名言もいただきました。『どんな人にもそれぞれの物語があると思います』これは太字で強調させていただきます。(笑)


葵: すこし恥ずかしいですが、まあ、よろしくお願いします。(笑)




“理想としては100年後くらいまで残ってほしいですかね”


—話が逸れてしまったので元に戻しますが、小説では沢山の名曲の数々からインスパイアを受けて物語が進行していきますね。


葵: はい、私の人生は音楽に救われてきたことが多いので、自分の人生を描く上ではどうしてもなくてはならないと思って歌詞を引用するなどで使わせていただきました。

この小説を誰に捧げるかと聞かれたら、hinataと全てのミュージシャンですかね。本当に感謝と尊敬しかしかないです。逆に私も再びミュージシャンになる立場としては、誰かのそういう存在でありたいですね。たったの一人でもいいから誰かの心の支えになれていれば活動できます。

天サンを解散した時とはだいぶ考え方が変わってますが、今のこの考えに至るにはやはり解散という決断があったので後悔はしてないです。


—葵さんの願いの片鱗のようなものを感じる事ができましたが、今後の活動の目標や方針のようなものはありますか?


葵: そうですね、これもここまでに話してきたことと重複してしまうかもしれないんですが、やはりこれからはリスナーの一人一人、これを読んでいるあなたに届けるために歌っていきたいですね。ただもう一つのhinataの人生を残すという目的もどうしても捨て難さはあるので、彼とのことを描いた曲もたくさんできると思います。

私の理想としては100年後くらいまで残ってほしいですね。昔、葵琴葉っていうシンガーがいて、そのデザインをやってる人とのことを描いた曲がめっちゃいいんだよ、なんて伝説みたいになってくれたらめちゃくちゃ嬉しい。それが最終目標かもしれません。少し大きすぎますかね?


—いやいや、とても素敵な目標だと思います。後はリスナーの皆さんに何か伝えたい事などはありますか?


葵: これからもずっと歌い続けるので、もし良いなと思ったら付いてきてほしいです。生きるのが辛かったりするあなたに寄り添えるような歌もいっぱい書くので、みんなで長い人生を生き抜きましょう。

あとは今回の小説と曲の方、よろしくお願いします。





リリース情報

シングル『言の葉が舞い降りる』3/19発売

・通常盤(CDのみ) 1,000円

・物語盤(特装版CD,文庫版小説,特典付) 3,500円


単行本『言の葉が舞い降りる』3/19発売

1,500円




プロフィール

葵琴葉

覆面バンド”天色SUNSET”のベースボーカルとして精力的に活動後、高校卒業と同時にバンドが解散。

今回のデビューで6年ぶりに音楽業界への復帰を果たす。



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