第16話 加藤先生

 今回は短い話です。


 剣道部師範の加藤先生は、日系の方ですが、日本語は話せませんでした。日系二世なのだそうです。


 口数の少ない方でしたが、とっても優しくていい人で。半年弱しかいなかった私にも、とてもよくしてくださいました。


 日系二世と聞くと、どういう経緯で、お父様お母様たちがアメリカに渡ってきたのかが気になります。


 直接先生に雑談を振る勇気がなかったので、エイミーとベンに、何かの話のついでに聞いてみました。


「ねえねえ、先生のご両親て、どんな人たちだったのかなぁ。聞いたことある?」


「誰もが知ってる話さ、なあ」


(なんだ、みんな知ってることなのか。だったら本人に聞けばよかった)


 ベンの言葉に重ねて、エイミーが得意げに答えました(なんでお前が得意げなんだ)。


「先生はジャパニーズマフィアの息子なんだ」


「え」


 あのー、それってつまり。


「ヤ○ザかな? 日本語だと」


 Oh..ますますなぜアメリカに渡ってきたのか気になったけど、聞けなくなったYO


 ちなみに、この少しあとに、剣道部の同志で先生の誕生日パーティーを催したのですが。


 その時手配されたレストランの店名が、なんと「ゴットファーザー」でした。

(犯人はベンとエイミー)


 遠回しにイジるなよ……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る