第15話 大惨事!?


 朝、俺がホテルでおっぱいに挟まれて寝ていると……。

 突如として扉を叩く者があった。


 ――ドンドンドン!


「勇者さん、勇者ジャスティスさん……!」


 俺がしぶしぶ扉を開けると、そこにはギルドの受付嬢さんがいた。

 こんな朝早くから、いったいなんの用だというのだろうか。


「どうしたんですか……?」


 俺は寝ぼけまなこをこすりながら、言う。


「それが……大変なんです勇者さん、とりあえず、服を着替えてギルドまで来てください!」

「わ、わかりました……」


 受付嬢さんはものすごく慌てているようだった。

 なにかとんでもないことが起こったらしい。

 俺はまだ眠っている女性陣3人を起こして、服を着せた。

 武器を持って、受付嬢さんに続いてギルドまで向かう。


 冒険者ギルドにつくと、そこにはたくさんの冒険者たちが集められていた。

 ギルド長らしき人物が、みんなの前に立って話をし始めた。


「えー、勇者どのも到着したようなので、それでは……。今日みんなに集まってもらったのは、緊急クエストが発生したからだ……!」


「「緊急クエスト……?」」


 ギルド長の言葉に、冒険者たちがざわつき始める。

 この世界の事情に明るくない俺でもわかる。

 なにか緊急事態が起こっていて、ギルドは俺たちの力を必要としているのだ。

 ギルド内に不穏な空気が流れる。


「ドラゴンマウンテンはみんなも知っているだろう。今朝、ドラゴンマウンテンから一体の老龍が死んだとの報告を受けた。ドラゴンマウンテンには常にドラゴンの情報を集めている種族がいるんだが……。今回何者かが、彼らのガイドを受けずに狩りに及んだらしい」


「「なんだって……!? それは禁止されているのに……!」」


 どうやら話によると、ドラゴンの狩猟には特別な許可がいるらしい。

 だが説明をろくに聴かなかった冒険者のせいで、それが破られた。


「犯人はどうやら、ギルド未登録の冒険者のようだ。素性を明かせない理由でもあるのかもしれないな。本来ならば、クエストの受注時にギルドから説明が入るはずなんだが……。どうやら犯人は勝手にクエストボードからクエストをもぎとり、受注届を出していったようだ」


「「そんな……! それじゃあクエスト泥棒じゃないか……!」」


 どうやら通常のクエストでは、そういう方法もあるみたいだった。

 冒険者の中には、クエストを事後報告するものや、受注届を勝手に出してクエストへ出発するものもいるそうな。

 そういう手合いは大体荒くれものか、せっかちな説明嫌いらしい。

 だが、今回はドラゴンの討伐クエストだった。

 ドラゴンの討伐クエストを勝手に行うことは禁じられているそうだ。


「それでだ、話を続けるが……死んだドラゴンはどうやら、ドラゴンたちからの信頼も厚い老龍だったそうで、彼らは我々に復讐を考えているそうだ。ドラゴンガイドたちから、ドラゴンが街に向かっているとの報告が入った」


「そんな……!」


「ドラゴンガイドたちもなんとか説得を試みたそうだが、ドラゴンたちは我を忘れているらしい。我々はなんとしても、街をドラゴンから守らなければならない。そして、ドラゴンを勝手に殺した不届き者をとらえるのだ……!」


「「うおおおおおおおおおお!!!!」」

 

 ギルド長の鼓舞に、冒険者たちは闘志を燃やした。

 なるほどな、ドラゴンを密猟したやつがいて、ドラゴンを怒らせてしまったわけか。

 ドラゴンというと、知能もかなり高そうだからな。

 いろいろと決まりがあるのもうなずける。

 それで、緊急クエストというのが、ドラゴンからの街の防衛ということか。

 勇者である俺に期待されているということだな。


「ふふふ……これは主人公らしいイベントだ……!」


 俺はひそかにワクワクしていた。

 ここで俺がドラゴンたちをなんとかして、みんなから感謝される展開に違ないぞこれは……!

 俺って主人公だから、ドラゴンの言葉とかわかったりするのだろうか……?

 いや、仮にわかっても中身が現代人の俺だから意味がないのか……?

 でも、この世界の言葉わかるしなぁ……。

 なんて俺が考えていると、ラフィアが俺の袖を引っ張った。


「ん……? どうした……?」

「私、ドラゴンの言葉……わかる」

「マジか……」


 話を聞くと、ラフィアは数百年間あのダンジョンにとらわれていたらしいからな。

 数百年前には、みんなドラゴンの言葉を話せたそうだ。

 さすがはメインヒロイン、俺にとって都合のいいスキルを持っている……!

 ここはラフィアの通訳を借りて、ドラゴンをなんとかする展開だな!?


「よし、俺たちに任せてくれ……!」


 俺はギルド長に向かってそう言った。


「本当か……! さすがは勇者だな! 見直したよジャスティス! 今までは怠惰な奴だと思っていたが……これは考えを改めなければな。やるときはやる男だと信じていたよ!」


 ギルド長はそう言って俺の背中を大きな手でたたいた。

 なんだろう……俺ってそんな風に思われていたのか?

 まあ、能ある鷹は爪を隠すというからな。

 普段は力を誇示しないのが、真の勇者ってものだ。

 やはり元の俺も主人公らしい性格をしているな!


 そして俺たちは、街の少し外れの草原で、ドラゴンたちの襲来を待ち構えた。



――――――――――――

あとがき


あけましておめでとうございます

今年も、みなさんに面白いと思っていただけるように頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします


面白いと思っていただけましたら、お年玉感覚でお星さまをつけていただけると嬉しく思います(*- -)(*_ _)ペコリ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る